【Vol.820(2024.08.16)】社員不在時に、生徒が教室を自由に出入りするメリット・デメリット

コロナ禍の影響も大きかったと思いますが、さまざまな業界で
何かと無人化が進んでいますね。

無人化の走りといえば、24時間営業している餃子の無人店舗ではないでしょうか。

【餃子の雪松】
https://www.yukimatsugyoza.com
https://www.yukimatsugyoza.com/howto/buy/

ご存知の方も多いかと思いますが、冷凍庫から餃子を取り出し、
代金の1,000円を料金箱に入れるシンプルな仕組みですね。

個人的な味の好みは餃子の王将派ですが、それでも夜中に気軽に買えることは利点ですし、
人件費を極限まで減らせるビジネスモデルで、発想がすばらしいなと思いました。

また、スポーツジムでもほぼ無人かつ24時間営業で行うモデルとして、
「チョコザップ」や「エニタイムフィットネス」が有名です。

【チョコザップ】
https://chocozap.jp
【エニタイムフィットネス】
https://www.anytimefitness.co.jp

さらに最近では、インドアゴルフもスタッフ不在の時間帯もある24時間営業が進んでいます。
弊塾の近くでも増えてきました!
https://www.golfwing.jp/article/article.html?p=553
https://www.firstgolf24.jp/index.html

弊塾の隣のテナントが空いているので、勢いで私も
インドアゴルフを立ち上げようかと思うぐらいです(自分も使うために・笑)。

勢いだけの事業はまず失敗すると思うので、やめておきますが。

このように、スタッフが不在でもサービスと受けることができる仕組みが
少しずつ広がっていると思います。

これを塾に置き換えることはできるでしょうか?

可能な範囲でメリットやデメリットを考えてみましょう。

学習塾でこのようなサービスをイメージしたときに最初に頭に浮かんだのが、
「社員不在時でも教室を自由に出入りして自習室を利用する」です。

私の知っている塾さんでも実践されているところが複数あります。

一般的には、生徒さんがスマートロック(電子錠)を自身で解除して教室に入り、
勉強するという形ですね。

最初に入室した生徒さんは、電気やエアコンをつけるルールが多いです。

大手塾さんは、リスクヘッジの観点からそこまで思い切ったことは難しいと思いますので、
もしやるなら、個人塾や5教室ぐらいまでの塾さんが該当するのかなと感じています。

もし自習室がいつでも自由に長時間使えたら、勉強したい生徒さんにはメリットだらけです。

塾ではありませんが、実際に
「24時間利用可能の有料自習室」を事業化している会社もたくさんあるようです。
https://idesknakano.com

この無人有料自習室を塾で行う場合ですが、私の結論から申しますと
「スタッフ不在時の利用は基本的にナシ、色々と条件付きで何とかアリ」という感じです。

個人の主観ですが、デメリットの方が多いと判断して、
基本的にはあまり乗り気ではありません。

ここでは、「社員不在時でも教室を自由に出入りして自習室を利用する」ことの
具体的なメリット・デメリットを一緒に考えていきましょう。

ざっと、こんな感じでしょうか。

【メリット】
(1)社員(塾長)の出社日数や拘束時間が減る
(2)生徒さんの勉強時間がかなり増える
(3)土日や年末年始、お盆休みなどの休校期間も利用できる

【デメリット】
(1)防犯面の不安
(2)休みの日も気が気でなく、休んでいる気になれない
(3)管理者がいないと、自習室の質が低下する

ひとつずつ解説していきます。

【メリット】

(1)社員(塾長)の出社日数や拘束時間が減る

自習室が充実している・勉強したい生徒さんが多い・高校生が多い塾ほど、
「日曜・祝日も開校してほしい」「土曜は午前中から開校してほしい」など、
要望が出てきやすいと思います。

個別指導塾の場合、「1教室に1社員」が基本の形となりますので、
仮にそうした要望をすべて叶えるなら、
担当社員(もしくは塾長)は数ヶ月後に倒れる可能性が大です。

そのため、社員が従来休みである日曜や祝日、土曜の午前中などは、
生徒さんが自由に教室に出入りできれば、出社日数や拘束時間を抑えることができ、
お互いがハッピーになれます。

(2)生徒さんの勉強時間がかなり増える

受験生は、いかに勉強時間を増やすかが大切です。

例えば夏休みの間、もし7:00~23:00まで自習室を使用することができたら、
1日16時間近く勉強できるわけです。

これを40日(夏休みの間)続けたら、効果は絶大に決まっています。

勉強する上で環境はとても大切で、自宅で16時間も勉強するのは
かなり意志が強くないと難しいです。

勉強できる環境に身を置くことが大切なのは、私自身も心から思っています。

自習室をフル活用できる仕組みは、特に意欲的な生徒さんにとってメリットしかありません。

(3)土日や年末年始、お盆休みなどの休校期間も利用できる

学習塾は、週1〜2日の休校日を設定されているケースが多いと思います。
また、お盆休みや年末年始、GW期間は、1週間程度休校にされるのではないでしょうか。

勉強したい生徒さんにとって、その休校日に自習室を自由に使えるメリットは大きいです。

同じ勉強するのでも、家と塾とでは質も量も変わる生徒さんも多いでしょう。
「塾に行きたくても、休校だから行けない」というケースに十分応えることができます。

ここまで話すと、いいことづくめでメリットしかなさそうですが、そういうわけでもありません。
社員(塾長)不在のデメリットも大いにあります。

私はそれが不安で、無人化にはまだかなり強い抵抗を感じています。

【デメリット】

(1)防犯面の不安

なんといっても防犯面の心配があります。

中高生だけが教室内にいる状況を少し想像してみてください。
私はぞっとしかしません(笑)。

極端な例ですが、生徒さんがスマートロックを解除して入ろうとした瞬間を狙って
変質者が教室に侵入してくるかもしれません。

また、教室の入り口を閉めていても、教室内が明るかったら人がいると判断し、
宅配業者さんなどの部外者が入ってこようとします。

この場合どう対応するのか、重要な荷物を生徒さんに受け取らせていいのか、
業者さんを装った変質者が来たらどうするかなども考える必要があります。

それだけではありません。

社員(塾長)がいないのをいいことに、
いたずら心などから生徒ファイルを勝手に閲覧したり、
引き出しや棚を物色する生徒さんがいるかもしれません。

この隙に、盗撮目的でトイレにカメラを設置することだってできるわけです。

「うちにはそんな生徒さんはいない!」とおっしゃる方も多いでしょうし、
信じたい気持ちは私も同様ですが、あくまでリスクヘッジの問題です。

人間誰しも魔が差すことはありますから、可能性がゼロではない限り、
魔が差す環境を初めから作らないのも効果的な防衛策だと言えます。

教室が一瞬で吹き飛ぶ要素が多いので、
私はこういったことを想像するだけで、社員不在は基本的には厳しいと思うのです。

(2)休みの日も気が気でなく、休んでいる気になれない

自分が休みでも、自習室が稼働している以上、
「みんな大丈夫かな」「体調が悪い子はいないかな」「戸締りはちゃんとできたかな」
などと考え出したら休みどころではなくなります。

遠隔カメラを使ってスマホでリアルタイムな教室の様子を見ることもできますが、
塾長(経営者)ならまだしも、休日の社員にそれを強いることはできません。

高確率でストレスとなり、退職リスクが増します。

また、社員(塾長)がいるときでも、教室内で小さなトラブルが何かと起きます。

例えば蛍光灯が切れた、入退室システムが反応しない、
ゴキブリがでた、リコモンの電池が切れたなどです。

これが社員(塾長)不在時に起きたときに対応ができる仕組みを作っておく必要もあります。

(3)管理者がいないと、自習室の質が低下する

やはり見張っている人がいないと頑張れなくなるのが人間です(はい、私です・笑)。

見られているからこそ、気を張って勉強に集中できる生徒さんは多いはずで、
管理者がいなくなった途端にだらけてしまったり、寝てしまったり、
友達と喋り出したりしてしまう可能性があります。

高校生よりも、中学生に起こりがちかもしれませんね。

こうなると、もう塾や自習室どころではなく“自分の部屋”にいるのと同じです。

騒がしい自習室など、勉強したい生徒さんにとっては地獄でしかありません。

クレームのもとになりますし、
ちゃんと勉強したい生徒さんが退塾してしまう最悪のパターンにもなります。

つまり、管理者がいなくても自習室の質が低下しない仕組みが作れるのかということです。

いかがでしたか?

社員(塾長)が不在でのメリットやデメリットがそれぞれにあります。
あなたの教室だと、メリットとデメリットのどちらが多いでしょうか。

「スタッフ不在時の利用は基本的にナシ、色々と条件付きで何とかアリ」と先述しましたが、
次回はこの「色々と条件付き」に関して具体的にお伝えしてみたいと思います。

「デメリットばかりだからやらない」だけだと面白くありませんよね。

どこまで徹底すればアリになるかをお伝えしますので、お楽しみに!

みなさんも次回配信までに
「自塾だったら、こういうやり方でアリにする」などと考えてみてください。

私からみなさんへの宿題です!

【今回のまとめ】
・社員(塾長)が不在時の教室利用、自塾のメリットとデメリットを考える
・アリでもナシでも生徒さんの安全を第一に考える

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安多 秀司 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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