先日「はあ~、広告もここまで来たか!」と驚いたニュースがありました。
兵庫県の高専と地元企業の間で、学校施設の一部について
ネーミングライツ(命名権)を与える協定が結ばれたというものです。
<オークラ輸送機、明石工業高等専門学校とネーミングライツ協定を締結>
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000147727.html
ご存じの方が多いとは思いますが、ネーミングライツとは、
施設やイベントなどに自社の企業名や商品名などを愛称として命名できる権利です。
例えば「京セラドーム大阪」「味のスタジアム」「渋谷C.C.Lemonホール」などは有名ですし、
スポーツの大会などに「○○(社名など)カップ」と名付ける場合もあります。
歩道橋に命名している事例もよく見かけますよね。
「みずほPayPayドーム」のように、異なる複数の企業が命名権を持つケースもあるようで、
一つのビジネスモデルとしてすっかり定着してきましたが、
今回のニュースは、学校内の一部施設(教室)に命名権を与えたという珍しいニュースです。
詳しくはリンク先のニュース記事をご覧ください。
確かに広告効果は絶大なようで、もし塾でも同じようなことができたら楽しそうですよね。
しかし、このような広告モデルは莫大な費用がかかるため、
「面白そうだけど大企業じゃないと無理」と思っている方も多いのではないでしょうか。
ところが、私も気になってちょっと調べてみたところ、命名の対象によっては
まったく手が出ないほど高額なわけではないことが分かりました。
確かに野球場などの命名権は年間で数億円かかります。
しかし、劇場やホールなどの文化施設なら年間100万円~、
歩道橋なら年間20万円~ほどで契約できるようです。
企業でなくとも、個人事業主でも可能だとのこと。
他の広告媒体(チラシなど)費用と比べてもそこまで高額ではないですし、
文化施設や歩道橋といった地域の人に供用される施設は、
地域ビジネスである学習塾の広告媒体ともかなり相性が良さそうです。
さらに調べてみたところ、実際にネーミングライツを行っている塾さんもありました。
大阪府岸和田市の「中央公園」は、
「学習塾まなび」などを運営されている株式会社Blue Skay FCさんが
ネーミングライツ契約を結び「まなび中央公園」となっているようです。
こう考えると「案外、自塾もいけるかも!?」という気にもなりますよね。
ただ、目立てばいい、名前が知れ渡ればいいという発想ではリスクもあるようです。
まず、塾という事業との相性を考えなくてはいけません。
リンク記事の高専では、教室に企業の名前をつけています。
これは、同校が工業高専であることと、企業側が地元の製造業企業であったことから、
地域の教育支援や地域活性という公益性の意味でも
有意義であったことが評価されています。
したがって塾でも、そうした要素は意識したいですね。
また、先ほど、地域の人に供用される場所やモノは相性が良いかもと書きましたが、
公共性の高いものは、逆に地域からの反感を招く可能性があります。
例えばナイキジャパンは、東京都渋谷区の「宮下公園」の命名権を得て
「宮下NIKEパーク」とする予定でしたが、地域住民からの反発などを受けて
最終的には命名権を行使せず「宮下公園」のままに据え置くという事態も起こっています。
ナイキ社と公園は相性が良さそうにも思えますが、地域の人たちの思い入れが深い場所は、
かえって「自分たちの場所(施設)を宣伝に使っている」と思われてしまうのかもしれません。
このように、気を付けないといけない部分もありますが、
やり方次第では、ネーミングライツにも一考の価値があるかもしれません。
例えば単に命名権を買うだけでなく、そこで自塾の名前を冠したイベントを行うのも
認知度拡大に効果がありそうですよね。
学校側がネーミングライツを提供するケースとしては、
大学ではけっこう前から一般的になっているようですし、
これがうまく機能すれば講師募集にも活かせる可能性があります。
もちろん、安易にネーミングライツを勧めるものではありません。
塾の広報宣伝は「チラシかWEBか」「いや、ブログだSNSだ」など多様な意見がありますが、
手段の一つとしてそういう選択肢もあることを知っておくのは悪くないと思います。
新しい広告手法にも、常にアンテナを張っておきたいですね。
【今回のまとめ】
・塾もネーミングライツで広報できるかも?
・やり方を間違えると逆効果なので注意も必要