【Vol.833(2024.10.02)】個別指導塾での性犯罪をどう防ぐか

先日、弊塾の隣市(伊丹市)で個別指導塾を経営されている仲の良い塾長から
「伊丹市、なかなかいろんな奴が揃ってて困ります(汗)」とURL付きのLINEが届きました。

【学習塾で教え子の中学生にわいせつ行為 経営者の男逮捕「口止めで陰部を触った」兵庫・伊丹市/読売テレビ】

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全国の塾のイメージを低下させる行為に心から軽蔑しますし、
何より被害にあった中学生が本当にかわいそうです。

容疑者は実名報道されているようですし、LINEを送ってくださった塾長さんも
「それで良かったです。変に我々が疑われるのも心外ですので」と言われていました。

保護者さんの立場からすれば、こういう事件があると
「我が子が通っている塾は大丈夫かしら」と一瞬でも不安がよぎるはずです。

もちろん同じ市だからと言って他塾はまったく関係ないのですが、
実際にはこういう大迷惑を被るわけです。

ここ最近、月1回ペースで学習塾での性被害のニュースを目にしているような気がします。

これだけ性被害のニュースが飛び交っている状況では、
どの塾に行かせればよいか保護者さんも頭を悩ませているのではないでしょうか。

小学生の娘を持つ我が家でもとても悩んでいます。

本来ならシステムや指導面を塾選びの基準にすればいいのに、
「本当に子どもを預けて大丈夫なのか」まで考えないといけないなんて、
不健全な状態極まりないです。

また、性被害を受けるのは女子生徒で、加害者が男性である場合が多いですが、
今回のように男子生徒が被害を受ける場合もあります。

生徒さんの性別を問わず誰もが、被害者になる可能性があるのです。

それにしてもなぜ、学習塾でこのような性犯罪が起きるのでしょうか。

そもそも学習塾という業界自体が子どもを相手にするものですし、
小児性愛の志向がある人からすれば罪を犯しやすい環境であるとか、
「先生と生徒」という上下関係がそれを助長してしまうとか、
業界構造の問題もあるとは思います。

ただし今回については、学習塾全体ではなく個別指導塾にフォーカスして考えてみましょう。

個別指導塾で性犯罪が起きてしまう理由として、私が大きな問題だの一つだと思うのは、
 「1教室・1社員(1塾長)」という仕組みです。

個別指導塾の場合、生徒数が80名未満であれば社員は1人で十分です。
1教室に複数の社員を置く必要はありません。

生徒数が80名を超えている教室の比率は低いことから、
たいていの個別指導塾では「1教室・1社員(1塾長)」となるでしょう。

ただ、性犯罪防止の観点からはこれが非常にやっかいなんです。

1教室に1社員になった場合、社員は自分が配属された教室を
自分の城と勘違いするケースがあります。

実績もないのにただ「人が足りない」という理由で、教室長になることもザラです。

それを勘違いして「この教室は俺のものだ」みたいな思い上がりを抱く人材もいますし、
しかもしれが歪んだ性志向を持つ人間だったら、もう最悪です。

教室が自分の城と化してしまえば、
目をつけられてしまった生徒(被害者)が1人きりになる状況を作ることも可能です。

「特別にテスト対策してあげるから、授業後に残っておいて」、
「補講するから日曜日の夜に教室においで」など、
自分の都合の良い状況を作れてしまいます。

これは塾全体にも言えることですが、
 「先生」という立場を利用し、弱い立場の「生徒」を利用するケースですね。

また、配属された社員が男性の場合、教室内にある女子トイレを掃除することになります。
これも普通に考えたらあり得ない話です。

学校で、男性教員が女子トイレを掃除していたら大問題ですよね。

こうしたことが普通にできる環境が、個別指導塾には存在しているのです。

ちなみに私は、女子トイレに関わることはありません。
女性社員や女性スタッフ、女性の事務員が毎日掃除してくれています。

私もこうして書いているだけで寒気がしますが、要は教室自体がスキだらけだということです。

「道にお金が落ちまくっているのに、拾うな」と言っているようなものです。
お金が落ちていたら、拾う奴は絶対にいます。

今回のテーマとはずれますが、教室の現金をくすねるのも「1教室・1社員」のパターンです。

模試代や教材費、追加授業費用などを現金で持ってくるように保護者さんに伝え、
そのまま自分のポケットに入れてしまうパターンです。

したがって、こうした環境を作らないことが、塾長やオーナーの役割と言えます。

当メルマガでも何度か事例として取り上げていますが、
マクドナルドの制服にはポケットがありません。

デザイン上、ポケットっぽく見ている部分も実はすべて縫いつけられており、
中にお金を入れることができない構造になっているのです。

犯罪志向のない人間でも、その環境に置かれたら魔が差してしまうことはあるものです。

塾もこのように「仕組み」による抑止力を作ることによって、
性被害がなくなっていくのではないでしょうか。

具体的な対策としても至ってシンプルで、

・塾オーナーやマネージャーが週1〜2回は教室巡回する
・死角がなくなるよう、教室全体に防犯カメラを設置する
・女子トイレは女性スタッフに管理してもらい、男性は一切立ち寄らない

などを実施するだけでも、かなり改善されるはずです。

人間は基本的に弱い生き物なので、誰かに見られていないと油断したりサボったります。
そして悪さを思いつきます。

週1〜2回でも上司の巡回があれば、理性が働くはずです。

防犯カメラも同様で、「ずっと見られている」状況があれば、
悪いことはできないなという気持ちになります。

女子トイレについても、女性スタッフに清掃してもらうなど、いくらでも方法はあります。

ちょっとしたことの積み重ねですが、その「ちょっとしたこと」を怠った結果が
性犯罪が起こる条件を整えてしまうのではないでしょうか。

99.99%の塾関係者が、生徒さんのために日々試行錯誤して頑張っているにも関わらず、
0.01%の犯罪者が塾業界の評判を下げることに怒りしか覚えません。

私はとにかく性犯罪については厳しい考え方を持っていて、
加害者に関しては一生許す必要はないと思っているくらいです。

もちろん個人的な意見ではありますが、それくらい憤りを感じているということです。

これ以上被害者を出さないためにも、みなさんの塾でできる対策や整備を始めていきましょう!

【今回のまとめ】
・性犯罪は、塾の「仕組み」自体にも問題がある
・「仕組み」の改善を意識した対策や努力をするべし

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安多 秀司のアバター 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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