【Vol.845(2024.11.13)】やっぱり「最強」は「生徒さんが辞めない塾」

先日、関東地方のある塾長さんが、
「ここ数年は塾の宣伝を一切していない」とおっしゃられていました。

私も驚いて理由を尋ねたたら、即答で「退塾がほとんど出てないからです」と。

それだけで「良い塾」であることが確定できる、強すぎるパワーワードですね。

ちなみに100名近くの生徒さんがいるにも関わらず、
今年に入ってから退塾者は1名とのことでした。

私も当メルマガなどを通してかねがねお伝えしていますが、
「退塾がなければ生徒さんは減らない。むしろ紹介で増える」というのが基本の考えですから、
めちゃくちゃ共感してしまいました。

このご時世、少子化も進み、言葉を選ばずに言うと
塾業界では「生徒さんの取り合い・奪い合い」が繰り広げられています。

どうしても「いかに、新規塾生に入塾してもらうか」に意識がいくのは当然ですし、
大きく間違ってもいません。

しかし、新規塾生ではなく既塾生から「退塾が出ない」という図式にも目を向けてください。

「退塾が出ない=生徒数が減らない=顧客満足度が高い」ということです。

そして、顧客満足度が高ければ紹介やきょうだい入塾が発生し、新規塾生も自然と増えます。

このループが、今までもそしてこれからの塾運営にも非常に重要だと思うのです。

「入会(数)目標」を設定している塾さんももちろん多いと思いますが、
そこだけに意識がいき、退塾も多いようでは意味がありません。

例えば、とある月に「新規入会5名」でも「退塾5名」なら、生徒数はプラスマイナスゼロです。

それなら新規入会が2名であっても、退塾0名のほうが生徒数は増えます。

また、退塾したということは、多くの場合、何らかの不満があったからでしょうから、
そこから地域の悪評に繋がることだってあります。

これに絡んで、「3:33の法則」という記事を見つけました。

【「3:33の法則」――悪いうわさが広まりやすいのは何故?】
https://note.com/oh1ta/n/n8b5671bf405f

悪いうわさは良いうわさの11倍のスピードで広まるという内容ですが、
もしその通りなら、数年後には塾の商圏地域全体に悪評広まってもおかしくありません。

問い合わせすらなくなり、少子化とのダブルパンチで、
生徒数がみるみる減っていくことになります。

つまり、入会5名で退塾5名は、中長期的視野で塾経営を考えた場合、
決してプラスマイナスゼロではないのです。

むしろ大きくマイナスだと考えるべきでしょう。

とても大事なことなのであえて強い言い方をしますが、
「退塾数を入塾数でカバーする」という考えは、今すぐにでも捨ててください!

一方で、「3:33の法則」にもあるように、良いうわさというのは広がりにくい傾向があります。

だからこそ、丁寧に目の前の生徒さんを向き合い続けて地道に良いサービスを提供し、
じわじわと良い噂や評判を広げていく必要があるのです。

時間がかかりますが、ファンを増やし、定評を得るためには
結局それが近道だということなのでしょう。

また、退塾を減らす(ゼロに近づける)ことができれば、
上述の「宣伝をしていない」先生のように、入塾にそこまで力を入れずに済みます。

表面的な数字だけ見れば「入会5名・退塾5名」も、
「入塾0名・退塾0名」も同じプラスマイナスゼロです。

しかし、入塾(新規募集)に関するコストが要らない(少ない)のは、大きな違いです。

塾生1人に入会してもらうためのコストは、3〜7万円が相場と言われています。
入会面談をするために、あなたの時間も割かねばなりません。
体験授業を実施するなら、大切な授業コマの1枠を使うことにもなります。

退塾対応も、保護者さんへの連絡や返金対応など、何らかの時間コストが発生します。

それが月にそれぞれ5人なら、
いったいどれだけのお金と時間を奪われることになるのでしょうか。

これらのお金や時間を、目の前の生徒さんや保護者さんに向き合って、
満足度を高めることに使うほうがはるかに建設的だと思われませんか?

少なくとも、「入塾させないと」というストレスやプレッシャーからは解放されます。

ところで、退塾数はゼロが理想なのは当然ですが、
実際にどのくらいの退塾数であれば許容範囲なのでしょうか。

当メルマガでも何度かお伝えしていますが、
私が日頃目安にしている、シンプルな計算法があるのでぜひ参考になさってください。

まず、受験学年(中3、高3)をのぞいた
昨年度のMAX生徒数と年間退会数を出してください。

この「年間退会数÷MAX生徒数」から出てきた数値が「退会係数」です。
私が基準としている目安は以下の通りです。
=====
退会係数0~0.05・・・内部充実がきちんと出来ている塾
退会係数0.05~0.08・・・内部充実がまあまあな塾
退会係数0.08~0.12・・・内部充実が甘い塾
退会係数0.12以上・・・内部充実ができてない塾
=====

仮にMAX生徒数60名で退会数が6名だったら、退会係数は6÷60=0.1。
9名だったら、9÷60=0.15となります。

共に退塾数が多すぎるという評価です。

MAX生徒数が60名であれば、
年間の退会数は2〜3名に抑えるのが基本ラインかなと思いますね。

実際、集客がらみで悩んでご相談に来られる塾さんの退会係数を計算してみると、
残念ながらほとんどの塾さんが、0.12以上という結果になっています。

やはり数字は正直です。

退塾係数が0.08以上の塾さんは、
入塾してもらうための努力より、退塾が出ない努力をすることを強くお勧めします。

複数教室を経営しているオーナーさんは、生徒数目標だけではなく、
「退塾の少なさ」を重点評価項目にすることで、
各教室長の教室運営がいっそう丁寧になるはずです。

経営者の大好きな言葉の一つに「集客」がありますが、
以前から何度もお伝えしておりますように、
「集客」とは「お客さんを集める」ことのではなく「お客さんが集まる」仕組みを作ることです。

生徒さんを「集めないと……」と言っている時点で、
スタートとなる発想からして掛け違えていると思ってください。

「生徒さんが集まる仕組みをどうやって構築するか」が大事であり、
その一つが「生徒さんが退塾しない環境を作る」ことなのです。

学習塾業界の先行きは正直不透明な部分も多いですが、
少なくとも、「どんどん入会者数を増やそう!」一辺倒の時代ではないと思います。

だからこそ、地域に根付く学習塾を目指して内部充実度を高め、
生徒さんの出入りの少ない運営を心がけることが大切だと思います。

ちなみに個別指導塾の場合、内部充実のカギを握るポイントの一つが「講師の質」です。

では、講師の質を高めるにはどうすれば良いか……

それは、12月5日(木)開催予定の
「外部からも優秀な学生講師を採用・育成するためのポイント」セミナーに
ぜひご参加ください(笑)。

=====
<外部からも優秀な学生講師を採用・育成するためのポイント>

■詳 細   : https://r-partners.jp/1326/
■日 程   : 12月5日(木)11:00~12:30
■配信方法 : Zoomを使ったウェビナー
■対 象 : 学習塾関係者(塾オーナー・塾長・教室長・社員・講師スタッフなど)
 ※アーカイブ(後日視聴)はありません。
■受講費用 : 無料
■申 込 : https://contents.comiru.jp/seminar/20241205-3/
 ※塾内で複数名参加の場合、1名ずつお申し込みください
 ※申込情報は株式会社POPERと共有いたします
=====

最後にちゃっかり宣伝をさせていただきましたが、閑話休題、
退塾をなくす(減らす)教室運営こそが最強だという考えは、何度でもお伝えしたいです。

「退塾は半年前の通知表」。

今出ている退塾は半年前のあなたの行動の結果だととらえてください。

逆に言えば、今、行動を変えることができれば、
半年後の退塾をなくすことができる可能性が高まるのです。

視野を長く広く持って、今から教室の満足度を高めていきましょう!

【今回のまとめ】
・入塾より退塾にフォーカスする
・退塾が出なければ、生徒は必ず増える

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安多 秀司のアバター 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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