【Vol.904(2025.06.04)】塾運営の原点! 「退塾ゼロ」なら生徒は減らない

今回は塾運営の原点と言いますか、基本に立ち返る内容でお届けしたいと思います。
記事を通して言語化することで、私自身も良い自戒の機会としたいです!

さて現代、多くの塾が何らかの形で少子化の影響を受けているでしょう。
弊塾もその一つです。

中には、少子化に比例して年々問い合わせが減り、
今後の塾運営に不安をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

生徒数が減少してくると「入塾させないと……」という思いが強くなり、
無理な営業や強引な勧誘、自塾に合わないタイプの生徒さんの入塾、
入塾特典として過剰なサービス(無料期間を延ばす・割引率を上げる)を行うなど、
「背に腹は代えられない」行動に染まってしまいがちです。

しかしそれは、一時の延命にはなっても、
最終的には自塾の首をどんどん締めてしまう自転車操業に陥ります。

確かに、生徒数が減ってきたのなら、入塾者を増やしたいと考えるのは理解できますが、
実はこういった塾さんの多くでは、共通する「ある現象」が起きています。

それは「退塾」です。

「退塾で生徒数が減り、減った分をなんとか入塾させないといけない」というわけですね。

ただ、当メルマガやセミナーでも口酸っぱくお伝えしておりますが、
生徒さんが辞めなければ(辞めない塾を作れば)生徒は減りません。

むしろ教室満足度が高くなって紹介が増え、結果として生徒数は増えます。

増やすことではなく減らさないことに目を向けてください。
自分で言うのも恐縮ですが、これは塾運営の基本であり「真理」だと思います。

「(生徒さんを)入れないと」とばかり考えてしまう前に、
自塾内で起きていることに目を向けて内部充実を図り、
まずは退塾ゼロを目指すことが大切なのです。

内部充実を図る取り組みというのは、正直山ほどあるでしょうし、
みなさんの頭の中にもたくさんあると思います。

それ自体は決して難しいことではないですし、
ユニークで奇抜なアイデアである必要もないのです。

シンプルに、「それをやるかやらないか」に尽きます。

例えば、元気なさげに見える生徒さんがいたとしましょう。

そう見えたにも関わらず何も対応しないようでは、その生徒さんは退塾予備軍まっしぐらです。

面談室に呼んで「元気なさそうだけど、何かあった?」といった声掛けや、
保護者さんへ「元気なさそうに見えたのですが、どうかしましたか」と連絡するなど、
行動に移すことで、生徒さんや保護者さんからも信頼度がアップしていきます。

生徒さんへの愛情に限らず、「思い」は、思っているだけでは伝わらないのです。

また、「テスト前の勉強時間がもっと増えたら成績アップできるのにな」と感じるなら、
勉強時間を増やす取り組みを考え実行しましょう。

例えば、「テスト前の土・日に無料勉強会を開催する」、「授業前後の30分、自習してもらう」、
「テスト期間中は13:00から教室に来てもらう」など、すぐにできることがたくさんあります。

「保護者さんに高校入試(大学入試)の仕組みを理解してもらいたい」と感じたら、
「保護者対象の説明会を実施する」、「説明会を録画したものを保護者へ配信する」、
「専門家を招いて講演していただく」こともできるでしょう。

「講師が足りない」と感じたら、「大学の入り口で許可をとり門配する」、
「大学周辺のワンルームマンションにポスティングする」、
「現講師に紹介してもらう(紹介料もつけて)」ことだってできるはずです。

他にも「教室が汚れている」と感じたら、「タイルカーペットを新調する」、
「机・イスを新しくする」、「断捨離する」と行動するなど……

気付いた問題点を、一つずつ潰していってください。

とにかく、「やるべきこと」に気付いているのに、何となくそれを流してしまったり、
後回しにしたりしているから、最終的にそれが「退塾」という形で結果に表れるのであって、
そのとき慌てて入塾者を増やそうとしても(あるいは増えたところで)、
生徒さんが減る根本的原因が改善されていないのですから、結局は同じことなんですよ。

塾運営の問題点の一つは、今それをやらなくても、今すぐ影響がでないことです。

「まあいいか」で終わらせても、その日は無事に終わるでしょう。

しかし、その積み重ねがボディーブローのように満足度の低下に繋がり、
教室運営にダメージを与え続けます。

退塾が出るということは、なんらかの原因が塾側にあるものです。

恋愛に例えるなら「お付き合いしてみたけど、思っていたのと違うから別れたい」と
言われているのと同じような感じですね。

私や教室長は、自身や塾のことをそんなふうに思われるのがとても嫌です。

そうではなく「素敵だと思ってはいたけど、付き合ってみてますます好きになった」と
感じてもらえる自分(塾)でいるための努力を怠ってはいけませんよね。

退塾がどんどん出るような塾に未来はありません。

穴の空いたビニール袋に水が入っているようなもので、
いくら入塾に力を注いだところで結果は目に見えています。

まずはビニール袋の穴をふさいでください。
そうすれば、水は減ることなく増えていきます。

ちなみに私は、高3生の大学進学が決まった高3が塾を辞めるのは、
退塾ではなく「卒業」と捉えていますが、
中3が高校継続せずに辞めるのは「退塾」だという認識を持っています。

自塾に高等部があるにも関わらず継続通塾しないのは
「あなたの塾の高等部には魅力がない」と言われているのと同義だという考えです。

その意味で言えば、みなさんにも
「高校継続しないのは仕方ない(退塾ではない)」という考えは捨てていただきたいです。

さらに厳しい目線で見ると、「引越すから辞める」も退塾だと思うようにしています。

生徒さんや保護者さんが心から信頼する塾であれば、
「引っ越し後も、オンラインで対応してもらえないか」という希望があるはずです。

厳しい定義かもしれませんが、それぐらい魅力ある塾を作っていきたいですよね。

繰り返しになりますが、足元が固まっていないのに入塾ばかり気にしても意味がありません。

まずは、みなさんがふと抱いた小さな課題も、
一つひとつきちんと改善をすることにこだわりを持ちましょう。

すぐに目に見えた成果にはなりませんが、3ヶ月後・半年後、
そして1年後には大きな花が咲くはずです。

【今回のまとめ】
・思ったことを形にできるかどうかがポイント
・生徒さんが辞めなければ、生徒は減らない。むしろ増える。

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安多 秀司のアバター 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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