【Vol.910(2025.06.20)】日本一のマンモス女子大が共学化!今後どうなる!?

みなさまもご存知かもしれませんが、大学関係者を震撼させるレベルの報道がありました。

そう、日本一の学生数を誇るマンモス女子大・武庫川女子大学が
「2027年度(現高2)からの共学化」するというニュースです。

ちなみに「ぶこがわ」ではなく、「むこがわ」と読みます。

関西では、武庫女(ムコジョ)という通称で知られる素敵な女子大です。

同大は院生まで含めると、学生数1万人を超えるマンモス女子大。
弊塾の卒業生も20名以上(毎年1〜2名)が進学しています。

ちなみに共学化後は、武庫川大学(仮称)と名前も変わるそうです。

以下、共学化に関する記事や考察、動画です。
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【武庫川女子大学 2027年度から共学化へ(NHK 兵庫 NEWS WEB)】
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kobe/20250617/2020028890.html

【武庫川女子大学に共学化報道~影響の大きさを専門家が解説(大学ジャーナリスト・石渡嶺司)】
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/fd3d339ac7d3bdfcbed9fceda19e8aa63b35366c

【武庫川女子大学が男女共学化(大学イノベーション研究所・山内太地)】
https://www.youtube.com/watch?v=e7NrnS0Bfj4
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私がいつも勉強させてもらっている大学ジャーナリストの石渡嶺司さんの記事や、
セミナーで何度もお世話になっている山内先生の動画になりますが、
みなさんさすがの分析力ですね。

それにしてもこのタイミングでの共学化はびっくりしました。

いつかは共学化すると確信していましたが、
早くても2〜3年後ぐらいかなと思っていたためです。

今回は、上記リンクにあるエキスパートお二人のお考からも学びつつ、
毎年のように生徒さんが武庫川女子大学に進んでいる塾の塾長として、
私見を述べてみたいと思います。

まず、武庫川女子大学は、同志社女子・京都女子・神戸女学院などと並んで、
「関西4女子大」と称される大学群の一角です。

総合大学として、文・教育・心理社会福祉・健康スポーツ科・生活環境・社会情報、
食物栄養科、建築・音楽・薬・環境共生・看護・経営など13もの学部を擁しています。

女子大に建築学部や薬学部があるのは珍しいですし、この規模は本当にすごいです。
あとは、理・工などのガチ理系と経済学部さえあれば、フルコンプに近くなります。

立地も非常に良く、メインキャンパスは駅徒歩7分。

大阪(梅田)と神戸のちょうど真ん中に位置し、神戸以西、
大阪や京都からでも通えるという最強の立地にあるのもとても強いです。

このところ、関西圏の女子大は激震続きで、
神戸海星女子学院と京都ノートルダム女子大学が募集停止しました。

神戸親和、神戸松蔭女子学院、園田学園女子なども相次いで共学化していますが、
それが「大成功」しているかと言えば、厳しい状況にあります。

理由の一つとして考えられるのは、従来の女子大へのニーズにも応えるべく、
女子大に多い系統の学部を存続したまま共学化しているため、
男子にとって魅力的に映る学部が少ないからでしょう。

先日の当メルマガでも、性的マイノリティーをテーマにお届けしましたが、
ジェンダー的に考えるなら、学問を男女で分けて考えるのは本来ナンセンスです。

しかし実態として、女子大に設置されている学部に興味を持つ男子が
まだ少数派であるということなのでしょう。

正直なところ弊塾でも、共学化した女子大を志望した生徒さんは今のところいません。

共学化すれば、受験生の母数は単純計算で2倍になるから、
志願者も2倍になるというわけではないですしね。

その点で見ると、武庫川女子大が共学化しても、
男子からの人気が高い学部(学問分野)が多いことがわかります。

特に教育学部や建築学部などは、関西の私立大学には意外と少なく、
潜在ニーズはかなり高かったのではないでしょうか。

共学化によって変動する可能性も十分ありますが、現状の難易度的に見るなら、
教育学部であれば関西学院大学の併願校として、
建築学部であれば近畿大学と同等という位置づけになろうかという感じがします。

内部事情は分かりませんが、仮に将来的な共学化を見越して、
男子からの支持が見込める学部を揃えることを長期的に準備してきたのであれば、
なかなか思い切った戦略だと感心しますね。

実際に武庫川女子大さんは人気の大学ですから、
苦肉の策として仕方なく共学化したと言うよりも、
勢いがあるままに共学化を打ち出したのも、大学関係者のド肝を抜いた部分です。

共学化は数年単位で進めるプロセスですし、公式発表前から
どこからともかく「業界のうわさ」的に情報が流れることはよくありますから、
まったく寝耳に水ということはないかもしれませんが、
女子大だけでなく、関西の私大(特に兵庫・大阪)にとっても大きな衝撃だと思います。

おそらく、相当数の受験生が武庫川大学に流れると想像できます。

なお、そもそも「関関同立」「MARCH」などという偏差値帯によるグループ化は
あまり好きではないのですが、以下、便宜上そのような表現を使うことをお許しください。

まず、塾として受験指導している立場の肌感で言えば、
武庫川女子大学は、いわゆる「関関同立」ほどの受験難易度ではないですが、
「産近甲龍」群と同等くらいに位置してくるのではという感覚です。

そのため、産近甲龍より難易度が下のランクに当たる大学は、
相当ダメージが大きくなるのではないでしょうか。

遅かれ早かれ、少子化による大学の統廃合や募集停止が起こることは
誰でも予想がつくことかもしれませんが、今回の衝撃的ニュースによって、
より急速に進む可能性があるのではと私は考えます。

ただ、共学化によるデメリットも存在するのは事実です。
女子大を希望する層は、他の女子大に流出してしまいますからね。

このあたりは、私立の中学・高校選びと同じと言えるかもしれません。

ちなみに私も中・高と男子校で、男子校特有の学生生活を謳歌できましたし、
今でも男子校で良かったなあと思っています。

今回のニュースが出た時、ある生徒さんの姉が武庫川女子大学生で、
「大学から急にメールで知らせがきて、めちゃくちゃびっくりした」と話していたそうです。

まあ彼女は、自身が卒業した後に共学化する形ですので、
自分の学生生活に大きな影響はないでしょう。

しかし、現在の大学1・2年生は、在学中に男子が入学してくることになります。

「男子が苦手で女子大を選んだ」、「女子だけという環境が自分には合ってい」
という学生さんにとっては深刻な問題です。

早くも共学化に反対するオンライン署名が始まっているようですし、
もし反対の声が大きくなりすぎた場合、
現在の在学生が全員卒業するまで先送りするかもしれませんね。

また、現高3の受験生にも影響は必至です。

志望理由の一つとして「女子大だから」と考えていた生徒さんは、
志望校変更を余儀なくされるかもしれません。

逆に考えれば、この1~2年については、
他の関西圏の女子大における学生募集にとっては追い風になるかもしれません。

しかし、当然ながらそれも一過性のもの。

もし、自身が共学化することになったときに、致命的なダメージを受けます。

そう考えると、武庫川女子大学は、この1~2年に起きる多少の痛みは覚悟の上で、
体力のある今のうちに決断したのかもしれませんね。

とにかく、今回の武庫川女子の共学化は
関西の私大の勢力図を塗り替えるぐらいの影響力があると思っています。

もしかすると他の女子大の共学化や大学の統合も加速するかもしれません。

当然、私たち塾も進路サポートのあり方を見直す必要も出てくるでしょう。

これからの動向に注目ですね。

【今回のまとめ】
・武庫川女子大の共学化が、関西圏の私大入試勢力を塗り替えるかも
・塾の進路サポートもアップデートを

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安多 秀司のアバター 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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