【Vol.925(2025.08.06)】生徒さんがスマホを触れない時間を作る

先週の当メルマガで、2025年に実施された全国学力テストにおける
記述式問題の平均正答率の低さについて取り上げました。

記述問題に対応できない背景には、作文スキル以前の
「論理を言語化する力」の不足が隠れていて、白紙回答をする子どもたちの多くは
「考えてはいるけれど、どう書けばいいか分からない(のではないか)」という内容です。

詳しくは、下記をご覧ください。

【Vol.924(2025.08.01)記述式問題を、白紙で提出する子どもたち】
https://r-partners.jp/1701/

そんな矢先、日頃からお世話になっている先生がSNSで
今回の全国学力テストについて発信されていた内容に「ハッ!」となりました。

<一部抜粋>
=====
色んな原因分析は専門家にお任せするとして、
僕からすると、単純に生徒が自分で勉強しなくなった
(学習時間が減った)。
ただそれだけ。
そしてその一番の原因は、指導者(学校、塾、予備校)を含めて
「やり切らせる指導」ができていないから。
=====

本当にそうだなと思います。

ICTなどのツールもどんどん進化して、とても勉強しやすい環境になっているにも関わらず、
学力が伸びない・下がっているのであれば、
どこか根本的な問題があるとしか言いようがありません。

仮にそれが「子どもたちが勉強しなくなった(学習時間が減った)」からだとすると、
その元凶の一つがやはりスマホでしょう。

スマホを持つことにより、子どもたちのほとんどは中毒状態になります。
大人でもなかなか自制できないのですから、子どもならなおさらです。

ここは家庭内での話し合いや管理がとても大切になります。

中学生になった我が家の娘もこの春からスマホを持たせましたが(正確には貸し出し)、
案の定中毒状態に陥っています。

そこで、そうなることを予想して契約書を作成し、
1日の利用時間を決めたり、ルールを破った時のペナルティなどを決めたりしました。

今のところ、たまにやらかしつつも何とかルール通りに仕えていますが、
その自律心は本当にすごいなと、我が子ながら感心しています。

自分で管理できない状況や、いつでもスマホが使える状況で自室にスマホを持ち込んだら、
昼夜逆転したり、外へ出る意欲などが奪われたりする可能性はかなり高いでしょう。

スマホと距離を置く時間もとても大切です。

自宅でのスマホの管理に関しては、各家庭の考えや方針があるので、
私たち塾側がそこまで深く関与できません。

したがって、せめて私たちの「ホーム」でもある教室内では、
スマホとの距離を取り学習時間を増やしてもらうのは、
未来ある子どもたちのためにできることの一つだと思います。

では塾として、スマホを封印しつつ、
学習時間を増やすにはどうすればよいでしょうか。

シンプルではありますが、今すぐできるのは「塾での自習時間を増やす」ことに尽きるでしょう。

・自習中はスマホを触らない
・自習中はスマホはカバンの中に入れる
・もちろん、他の人としゃべらない
・適度にスタッフが巡回する

というルール設定が基本です。

当たり前と言えば当たり前の内容ですが、
この「当たり前」をどれだけ徹底できているかが大事だと思います。

また、今の時代、スマホで調べ物をしたいという生徒さんもいるかもしれませんが、
自習中にスマホの閲覧を許してしまうと、結局ついLINEやインスタをチェックすることになり、
自宅のようなゆるい環境になるおそれがあるので、私は推奨しません。

弊塾では禁止にしていますし、「休憩中にスマホで調べときなさい」と伝えています。

なお、SNS等をインストールしていないiPadなどのタブレットは使用OKにはしています。
基本的には、SNS等がすぐに見られる状況か否かが基準です。

ただ、タブレットもネットサーフィンできてしまうので、
調べ物をするつもりが、ついつい脱線してしまうこともあり得ます。

以前、その流れで高校野球を視聴していた高3生を強く叱ったこともありました。

ちなみに、画面を暗くする生徒さんや覗き見防止フィルターを貼っている生徒さんほど、
そういう「いらんこと」をしているような気がします(笑)。

さすがにそこまでは管理しきれないので、自分で律してもらいたいですが、
自習一つにしても、本当に難しいところです。

生徒さんが教室で自習する時間が増えると、
自宅で同じ時間勉強するのと比べ、何倍も効率がよく捗るケースがほとんどです。

スマホを手元に置きながらの勉強は、勉強になりません。

何かの通知が来ると、気になってすぐにチェックして返信しての繰り返しで、
結局何もはかどらないというパターンに陥るのは目に見えています。

これが教室であれば、スマホをカバンに入れるルールにしておくだけでも、
勉強中にスマホから完全に離れることができるはずです。

ポイントは、とにかく「カバンに入れておく」ことですかね。

ポケットに入れたままにすると、通知が来た瞬間に気付いてしまい、
そちらに気を取られて集中力が途切れますから。

中には、通知に気付いてこっそり見てしまう生徒さんもいるはずです。

このあたり、昔はもう少し楽でした。

自習に来てもらって、とりあえず私語をさせない環境さえ整えておけば、
勉強量は増やすことはできましたしね。

今はスマホという(便利だけど)面倒な道具の登場で、
自習管理が一段と難しくなってきたと感じます。

今回はスマホを悪者扱いしていますが、スマホのおかげで世界が縮まり、
私たちもできることが飛躍的に増えました。

しかし、使い方を誤ると、人間の生産性や能力を著しく低下させる
悪魔的なツールとも言えます。

生徒さんがスマホに依存することなく、自力でうまくコントロールできるまでは、
家族や私たち塾がサポートしていったほうがよいでしょう。

もちろんスマホ規制をしても生徒さんは喜ばないでしょうが、
それが学習量の増加につながり、学力向上への貢献になるはずです。

何が大事なのかという本質を忘れてはいけませんし、
そのためにやることはめちゃくちゃシンプルなのかもしれません。

大切な生徒さんたちの未来が明るくなるためにも、
まずはできることから凡事徹底でチャレンジしてみたいですね。

【今回のまとめ】
・学力向上においてスマホの隔離は必須
・集中して勉強できる時間を作るのが塾の役割

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安多 秀司のアバター 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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