【Vol.929(2025.08.20)】同じ講師が担当することの大切さ

夏期講習あるあるですが、講師が不足する問題、みなさまの教室ではいかがでしょうか。

弊塾ももれなく当てはまっていて、
私や教室長も日頃ではありえないような回数の授業を実施しており……

今回は、そこで感じたことをシェアしたいと思います。

私が夏期講習などで座席組みを行う際に心がけているのが、
「同じ講師が、できるだけ同じ生徒さんを担当する」ことです。

複数教科を受講している場合は、
数学だとA先生が担当、英語だとB先生が担当という形ですね。

私は月2〜3回、打ちっ放し場でゴルフレッスンを受けているのですが、
私も意図的に同じ先生に固定し続けています。

先生が変わると、微妙なニュアンスが異なり、混乱してしまうのです。

生徒さんと講師にも同じことが言えるのではないでしょうか。

個別指導塾の場合、講師のシフトと生徒さんの通塾曜日をいかにうまく組んでいけるかで、
教室の満足度が決まると言っても過言ではありません。

しかし、夏期講習中は生徒さんも帰省や部活などの予定が入ることはよくありますし、
講師も帰省や旅行の予定を入れたいでしょう。

そのため、思ったように座席を組むのは至難の業です。

「同じ講師ができるだけ同じ生徒さんを担当する」というキーワードを外せば、
パカパカはめ込むだけで済みますが、それだと毎回先生が変わります。

今年の夏期講習も、私や教室長が担当する生徒さんも含め、考えに考え抜いて
できるだけ同じ講師が同じ生徒さんを担当できるように座席を組みました。

座席作りをされている方だと共感いただけると思いますが、もう一種の芸術ですよね(笑)。

それだけこだわってでも同じ講師が見続けるのは、
やはりメリットづくしだと思うからです。

(1)生徒さんの成長度合いや細かい部分が把握できる
(2)指導法が一定で伸びやすい
(3)前回話した続きができるなど、距離が縮まる
(4)引き継ぎ業務が不要
(5)講師のモチベーションが上がる

といったところでしょうか。それぞれ解説していきます。

(1)生徒さんの成長度合いや細かい部分が把握できる

毎回指導することで、ビフォーアフターを感じることができるのはとても大きいと思います。

「前回できなかったこの問題が、今日はできている」、
「前回言えなかった解の公式が、言えるようになった」など、
生徒さんの成長や伸びをダイレクトに感じることができるのは、
指導する側からしてもめちゃくちゃテンションが上がるはずです。

伸びた部分を褒めるなど、生徒さんが成長を実感できることを明確に伝えられるのも
同じ講師が見続けているからこそできる利点です。

また、指導内容などでも具体的にもっと細かい部分まで把握できるようになります。

例えば、数学なら因数分解の問題を解くまでの時間が短縮されたり、
英語ならSVOCMの取り方が上手くなっていたり、その違いや変化に気づくことができます。

これができるのとできないのとでは、差は一目瞭然です。

生徒さんの変化をキャッチして伝えていくのも私たちの仕事ですが、
それができる環境かどうかは、実は座席組みというオペレーション次第なのかもしれません。

(2)指導法が一定で伸びやすい

いくら指導法の研修を行なっても、個々の伝え方や表現は少しずつ異なります。

まあ、それが機械ではなく人間らしさでもあるといえますから、
ある意味ではいろいろな学びとなるのですが、
同じ講師が見ることで、指導法が一定となるメリットは大きいでしょう。

もちろんきちんと指導できる前提ですが、特に夏期講習期間中は、
毎日のように授業を入れているような生徒さんの場合、
同じ講師が担当するほうが一貫性があり生徒さんも理解しやすいはずです。

毎回、講師が変わってしまえば
「この前の先生はこのやり方を勧めてたけど、この先生は違うやり方を勧めてくる」など
混乱させてしまうおそれがあります。

ここは講師研修などで、できる限りの同じ指導法ができるようにしておくべきですが、
どうしても個人差はあるものですから、やはり担当講師は固定できたほうがよいです。

(3)前回話した続きができるなど、距離が縮まる

授業の入りで、「この前の授業で言ってた、部活の試合どうなった?」など話せるのは、
相互コミュニケーションを深めるのにもってこいです。

毎回、講師が変わってしまうと、
その都度生徒さんはコミュニケーションを取らないといけませんし、
同じことを何度も聞かれてうんざりという場合もあります。

講師からしたら初めての質問であっても、
生徒さんからすると複数の人から同じ質問を受け続けていることになるからです。

生徒さんも前回話していたことを覚えてもらえていたらとても嬉しいですし
少なくとも嫌な思いは絶対にしません。

そういった積み重ねが心理的な距離を縮め、
よい関係で指導に臨むことができるようになるでしょう。

こういう関係になれると、生徒さんもとても素直になりますし、さらに伸びる要素が増します。

生徒さんが素直でないのは、関係性が作れていないからです。

「素直じゃないな」と感じる生徒さんもいるでしょうが、
それは生徒さんが悪いのではなく、
講師との関係性が作れる環境を整備できていないこちらの責任かもしれません。

(4)引き継ぎ業務が不要

授業ごとに講師が変わる場合、生徒さんの進捗などの情報を社員に共有する
引き継ぎ業務が必要となります(こういった引き継ぎをしないようでは論外ですよ!)。

しかしこの引き継ぎ業務、意外と負担が大きいのも事実です。

一方で、担当が毎回同じだと、引き継ぎ業務自体を簡素化することができます。

毎回毎回、生徒状況や進め方を説明する手間やストレスから解放されますし、
これにかける時間を生徒対応や保護者連絡などに使うこともできるはず。

同じ講師が見続けることは、生徒さんだけでなく、
私たち社員の業務オペレーションにも好影響を及ぼすのです。

(5)講師のモチベーションが上がる

同じ生徒さんを担当していれば情もわきますし、
「この生徒さんに合格してもらいたい」「もっと伸びるためにこんな工夫をしてみよう」といった
気持ちが芽生えるのは当然です。

講師のモチベーションも自然と上がり、その結果、勤務年数が伸びたり、
大学を卒業するまで勤務してくれたりと、講師の離職率の低下にも好影響を及ぼします。

毎回、指導する生徒さんがころころ変わると、
いくら全力で指導しても、結果の実感や責任の所在が分かりにくく、
講師が達成感や責任感を持つことも難しいです。

逆にずっと担当していれば、少なからず責任への意識は高まります。

これらの繰り返しが責任感のある講師を作り出し、教室運営にもプラスに働くはずです。

いかがでしたか?

同じ生徒さんを同じ講師が見ることができるメリットは非常に大きいです。

それを考えると、自立指導塾さんや1:10〜20などのシステムを確立している塾さんは、
生徒さんのことを把握しやすいと思います。

一方で、1:2などの個別指導塾の場合、
在籍しているたくさんの講師が担当することになりますので、
その舵取りが私たちの役割と言ってもよいでしょう。

どうしても代講が発生することもあるでしょうが、
日頃から「同じ講師が生徒さんを担当し続ける」という意識は持っておきたいですね。

【今回のまとめ】
・毎回同じ講師が指導できればメリットだらけ
・業務効率や講師のモチベアップにも

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安多 秀司のアバター 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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