弊社では毎年、「高等部つくりかたセミナー」を開催させていただいています。
その中で口酸っぱくお伝えしているので「大学受験に詳しく(強く)なりましょう」ということです。
強い高等部を作りたいのであれば当然の話ですよね。
その際「具体的にどう強くなればいいのか」というご質問をいただくこともあるのですが、
そこで今回は、弊塾生徒さんの事例を用いたケーススタディとして、
弊塾で実際に行っている出願戦略をご紹介したいと思います!
まず、ステータスは以下のとおり。
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・志望校・・・A大学>B大学>C大学 (私大のみ)
・難易度・・・A大学>B大学>C大学
・本人の学習科目・・・英語・現文
・A大学の受験科目・・・学校推薦型(英・現)、一般前期(英・現)、一般後期(英・現)
・B大学の受験科目・・・学校推薦型(英・現)、一般前期(英・現古)、一般後期(英・現古)
・C大学の受験科目・・・学校推薦型(英・現)、一般前期(英・現)、一般後期(英・現)
B大学のみ、一般選抜で古文が必要というパターンです
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まずは1つ目の戦略としては、
11〜12月に実施される学校推薦型選抜で合格を勝ち取ることでした。
A大学に合格すればその時点で受験終了ですが、仮にダメだったとしても、
B大学・C大学に合格することができれば、併願校として抑えておき、
一般選抜でA大学対策に特化することができます。
一方で、3大学の対策を同時進行すれば、対策が中途半端になって分散するリスクもあり、
戦略としては始めからB大学・C大学を狙う(A大学はあきらめる)ことも考えられます。
しかし今回は、本人がどうしても第一志望のA大学を受験したいということで、
3大学の受験となったのです。
ここまでを整理すると、
・ベスト・・・A大学合格
・次点・・・B大学合格(A大学不合格)
・最低ライン・・・C大学合格(A・B大学不合格)
ということになります。
ここで一番避けたいのは、やはり「全落ち」です。
こうなるとメンタルを削られるだけでなく、
一般選抜で再度3大学向けの対策をすることになりますし、さらに志望校を増やして
(C大学より合格可能性が高い)D大学の対策も必要になってきます。
学校推薦型で1度不合格になっているC大学に、
一般選抜で確実に受かるとは言い難いからです。
そのため、C大学に関しては
・ほぼ確実に合格できる大学(もちろん本人が行ってもいいと思っているのが前提)
・開催される日程はすべて受験し、合格可能性を上げる(今回は2日間)
という抑え方を行いました。
結果は、C大学合格(A・B大学不合格)。
最低ラインをクリアして併願校を確保し、
少なくとも「行ける大学がない」事態は回避できることは確定です。
これで一般選抜ではA・B大学の対策に集中できる形ですから、まあ想定内と言えます。
しかし、ここでネックになるのはB大学の一般入試は、国語に古文が含まれることです。
そこで、あくまでA大学が第一志望であること、すでに併願校は確保できていること、
効率と合格可能性などから総合気に判断してB大学の受験は取りやめ、
12月から、A大学のみにトコトン特化した学習を進めることに。
欲を言えば、古文のいらない学校推薦型でB大学に合格しておきたかったところですが、
まあこれは仕方ありません。
あとはA大学合格に向けて、一般前期・中期・後期という形でチャレンジするのみ!
……と言いたいところなのですが、
実は、B大学の一般後期日程に限り、「1科目判定型」があったのです。
つまり、古文ありの国語はなしで、英語のみの1科目で受験が可能ということになります。
A大学の一般前期・中期が不合格だった場合、
A大学の一般後期(英・現)とB大学の一般後期(英)を受験する戦略が取れますよね。
冒頭で「大学受験に詳しくなりましょう」と申し上げたのは、
まさにこういう情報を押さえておき、“軍師”的にサポートできるかという部分なんです。
このあたりは、中学受験塾さんも強い分野ですよね。
したがって、当該生徒さんには
・一般中期まではA大学の対策に特化
・中期日程が終わったあとは、後期に向けてA大学対策+B大学の英語対策を実施
という提案を行いました。
今回のように「B大学の一般後期日程に限り、1科目判定型がある」という
情報を知らないと、学校推薦型でB大学が不合格だった時点で
(本当は受験できていたのに)「B大学はあきらめましょう」となります。
受験機会の損失は、受験生にとってデメリット以外の何物でもありません。
こうした情報を知っておけるかどうかが、高等部を運営するなら当然のことですし、
各大学の受験要項をくまなく確認しておくことは欠かせません。
これがフィクションであれば、
「ここでA大学に晴れて合格!」というハッピーエンドも待っていたのでしょうが、
残念ながら私たちの力不足もあり、A大学の一般前期・中期は不合格でした。
生徒さんは今週前半にA大学の一般後期を、
そしてまさに今日、B大学の一般後期を受験しているところです。
生徒さんはここまで本当によく頑張りましたし、あとは祈るのみ。
なんとか夢を叶えてほしいです!!
いかがでしたでしょうか。
大学は情報戦と言いますが、まさにその事例をお伝えできたのではないでしょうか。
大学の受験方式は山ほどあります。
1回の入試で「3科目判定・高得点判定・2科目判定・内申点加点」など、
オプションが山ほどついてくるケースも珍しくありません(その分お金がかかりますが)。
今回のB大学の1科入試のように、よく調べてみれば
「おお、こんな受験方式があるのか!」という発見もあります。
もちろん、必ずしも毎回よい結果(第1志望合格)が出るとは限らないでしょう。
しかし、こうした積み重ねが生徒さんのチャンスを切り拓くのは事実ですし、
塾の進学実績や満足度アップにもつながっていきます。
まずは、地元と隣接する都道府県すべての大学(生徒さんが志望する可能性が高い大学)の
資料を請求し、受験方式などを熟読してみてください。
これをするだけで、来年度の進路指導の質がぐんとアップするはずです。
めちゃくちゃ大変ですが、高等部を作る以上当然の責務でもあります。
質の高い高等部を一緒に目指していきましょう!
あとは、今回のモデルケースになったこの生徒さんが、
後期日程で合格できることを一緒に願っていただけると嬉しいです。
【今回のまとめ】
・大学受験情報は細部まで目を通す
・情報量に裏打ちされた戦略が塾の信頼を作る
