【Vol.598(2022.06.24)】部活動が無料の時代は終わった!?

昨今、議論が活発化している「部活動の地域移行」。

学校の先生たちの過重労働を改善して働き方改革を進めるため、
中学校の休日の部活指導を、地域スポーツクラブなどに委ねる施策です。

来年度から段階的に導入が進められる予定で、
これについて議論を進めてきた有識者会議は、スポーツ庁に提言を提出。

指導者の確保や大会運営の在り方など、さまざまな視点で提案がなされました。

<部活の地域移行、まずは受け皿を整えたい>
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/925930/

その議論の中で、特に私が目を引かれたのが「費用」に関する問題です。

従来、個人の用具代や遠征などの経費を除いて、
学校の部活動に指導料(費用)が発生することはありませんでした。

しかし、これが地域スポーツクラブなどに移行すると、そうもいかなくなります。

実際、先行して部活動の地域移行を進めている地域もありますが、
そこでは費用が発生しているようです。

例えば渋谷区では、区内の8つの中学校が一緒に行う
「合同部活動」の取り組みが始まっています。

その中の「ダンス部」では、プロのダンサーが指導してくれますが、
会費は年間17,000円です。

個人差はあると思いますが、月額に換算するとさほど大きな額ではないように感じます。

保護者からも「普通に民間のダンス教室に通わせるよりは安い」と、
おおむね評価する声が挙がっているようです。

合同部活動の運営は地域の一般社団法人が担っていますが、
もちろん、上記の費用だけではとてもまかなうことができません。

そこで渋谷区は、委託料を予算に計上することで、これをフォローしています。

もしかしたら、「部活動は無料」という考え方が、今後は変わってくるかもしれませんね。

そうなると、私たちのような学習塾にもビジネスチャンスとなるかもしれません。
塾でスポーツ指導の分野に乗り出すのもいいでしょう。

・学校で賄いきれない指導を、民間(=塾)がフォローする
・それによって費用が発生することに、今のところ大きな反発はない

と考えると、現状の塾の存在意義やビジネスモデルと大きく変わらないからです。

つくば市では、実力のある大学生がテニス部の指導を行うという事例も
すでにスタートしています。

部活指導の専業学生講師を雇うのもありかもしれませんね。

また、部活のスケジュールと授業日の折り合いをつけるのが難しく、
調整に苦労するという塾あるあるも少しは軽減されるかもしれません。

部活動指導と、授業のバランスを塾側である程度握れるとしたら、
かなりやりやすくなるのではないでしょうか。

一方、スポーツを行うには相応の広さの場所を確保する必要がありますので、
そこは課題になるかもしれませんが、朗報もあります。

有識者会議は、文化部も地域移行する方向で議論を開始しているそう。

これだと、教室を使うことも可能かもしれませんよね。

実際、数年前から塾企業が民間学童事業にも参入しています。

「塾=勉強のフォローをするところ」という枠を外して考えると、
いろんなチャンスが見えてきそうです。

【今回のまとめ】
・部活動の地域移行は、塾にとってもチャンス?
・「塾=勉強するところ」という枠を外して考えてみよう

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安多 秀司のアバター 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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