【Vol.818(2024.08.09)】子どもたちは、他人から○○と思われたい

先日、なかなか興味深いデータを目にしました。

博報堂教育財団が行った、子どもたち(小中学生)の他者評価に対する意識調査です。

要は、「自分が他人からどう思われているか」について
子どもたちがどう考えているのかを調べたものですね。

<人からどう見られたい?>
https://kodomoken.hakuhodofoundation.or.jp/topics/1059/

これによると、自分が他人からどう見られているか「気になる」としたのは、全体の約7割。

男子よりも女子のほうが、同じく小学生よりも中学生のほうが
「気になる」という答えが多かったようです。

まあこのあたりまでは予想の範囲内とも言えますが、
塾経営者として特に知っておきたいデータが2点ほどありました。

1つは、「誰の目が気になるか」という質問です。

9割近くが「仲のいい友だち」と答えた一方で、
「先生」という答えが77.3%、「親」という答えも65.0%にのぼっていました。

この数値に対してどのような感想を持たれるかは個人差があると思いますが、
私は「思ったより多いな」という印象です。

私たち大人の想像以上に、「大人にどう思われるか」を気にしているということです。

そう考えたとき、普段から生徒さんを「褒める(認める)」ことは大事だなと改めて感じました。
また、思っているだけではだめで、行動や態度で示すことも大切だと思います。

例えば成績向上を褒めてあげるのはもちろんながら、
まだ結果が伴っていなくても普段の頑張りを評価するなど、内容を問わず
「私はあなたをこう(肯定的に)見ているよ」という意思表示をすることが大事なのでしょう。

塾をやっていると、つい指導がシステマチックになったり、
深いコミュニケーションが取れなかったりすることがあるかと思いますが、
改めて意識したい点ですよね。

また、親よりも先生のほうが数値が高かったことにも意識を向けたいところです。

親と先生(塾の先生含む)は社会的役割が違います。

親は無条件の愛情や承認を与えてくれる存在ですが、
先生は基本的に「評価者」という存在です。

子どもたちは、先生からの評価が自分の学校生活や友人関係に
どう影響するかを気にするため、自然と先生の意見や視点を重視するのだと思われます。

もし、子どもたちにとって先生が親のように「無条件に自分を認めてくれる存在」だったら、
どんな結果が出ていたか興味深いですね。

ただし、先生が親のような存在になることが果たして正しいのか、という視点は必要でしょう。

無条件に子どもを認めることはもちろん大切ですが、先生(特に塾の先生)はある程度、
評価者としての立場を保ったほうがいいという考え方もあるはずです。

子どもたちとの信頼関係を築きつつ、親でもない、友だちでもない、
あるいは学校の先生ともまた違う存在として、
どのような距離感やコミュニケーションの取り方がベストなのか意識したいと思いました。

もう一つ気になったのは、他人から「どんなふうに見られたいか」という質問です。

全体を通して、トップは「やさしそう」で47.5%、
次いで「明るい」(35.5%)、「親しみやすい」(31.5%)、「おもしろそう」(30.3%)と続きます。

内面的な評価を気にしているということですね。

これらに対し「頭が良さそう」という回答は28.0%と、あまり高くない結果に終わりました。

つまり「頭が良い(良さそう)」という要素は、
「こう思われたい」という自分の理想像においてあまり重要ではないということです。

これも正誤で語れる問題ではありませんが、
「頭が良い」ことがもっと重視されてもいいのになという気はしました(笑)。

「頭が良くなりたいか」ではなく「頭が良いと思われたいか」という質問なのですから。

思えば、学校でスポーツなどに一生懸命取り組み、
夢を追いかけている生徒は友達からもあこがれの対象となりやすい一方で、
死ぬほど勉強を頑張っている子は、逆に「ガリ勉」などと揶揄されがちです。

この違いって何なのでしょうね?
本当なら、同じように認められていいはずです。

おそらく、子どもたちの意識の中に、
スポーツ(部活動など)は自分がやりたくてやっているもので、
勉強は大人からやらされているものという前提があるのでしょう。

だから、スポーツを頑張る子は自分の目標に一生懸命なかっこいい存在に見えて、
勉強を頑張る子は「大人に媚びている(大人から褒められるためにやっている)」
いけ好かないヤツといったイメージに見えるのかもしれません。

だとしたら、「勉強を頑張ることってかっこいいんだよ」というイメージを作るのも
私たちの務めだと言えるのではないでしょうか。

それが勉強へのモチベーションを高めることにも繋がるはずです。

成績を向上したい、志望校に合格したいという目に見えた目標はもちろん大事ですが、
そこに向けて頑張る行為そのものがかっこいいんだよ、と伝えていきたいですね。

【今回のまとめ】
・子どもたちは、親より先生の評価のほうが気になっている
・勉強を頑張ることはかっこいい、という文化の醸成を目指す

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安多 秀司 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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