【Vol.965(2025.12.19)】部活動の地域移行、あなたの塾はどうする

みなさんもご存知の通り、中学校での部活動運営を地域のスポーツクラブなどへ移す
「部活動地域移行」が徐々にすすんでいるようです。

自治体によって進捗に差はあるようですが、
みなさんの地元の自治体での進捗はいかがですか。

国の方針として段階的・長期的に進められている政策で、
「いつから完全に地域移行する」という全国共通の日付が決まっているわけではありません。

<部活動の地域移行の全体スケジュール(国の方針・進行中の段階)>

1.改革推進期間(〜2025年度)
休日(土日)の部活動から、地域クラブ活動や地域との連携を進める段階。
学校だけでなく、地域のスポーツ団体・文化団体などとの協力が進められています。

2.改革実行期間(2026〜2031年度)
2026年度以降の6年間を「改革実行期間」と位置づけて、
前期:2026〜2028年度、後期:2029〜2031年度として
休日は完全な「地域展開(※)」を完了し、平日も段階的に以降することが想定されています。

※今後は「地域展開」という表現をしていくようです

弊塾の地元・兵庫県宝塚市でも、地域移行に向けて準備が進行中です。

【部活動の地域移行について〜令和8年(2026年)の各種大会後に地域クラブに移行〜/宝塚市教育委員会】

https://www.city.takarazuka.hyogo.jp/school/res/projects/project_school/_page/006/011/949/bukatsudo.pdf

宝塚市は、令和8年度(2026年度)」の中体連(総体)等大会後に学校部活動を廃止し、
2026年度の大会・コンクール・発表会等が終わった後(=中3が引退した後)から
地域クラブへ移行する計画になっています。

宝塚市のように来年度から移行していく地域も多いでしょうし、
「6年かけて徐々に」という地域もあるでしょうが、とにかく言えることは、
6年後には日本全国で部活動が地域移行しているということです。

平日の以降も含めてこれが完全に実現した場合、学習塾にどんな影響が出るでしょうか。

個人的には、思っている以上に大ダメージを受けるのではと、結構ビビっています。

学習塾にとって最大の懸念点は、地域クラブの練習時間です。

今までなら、学校の授業が終わった16:00ごろから18:30ごろまでが活動時間で、
そのあとで塾に来るというスケジュールを組むことができました。

しかし、地域移行によって、例えば平日19:00〜21:00など、
活動時間が遅めの時間帯になる可能性はかなり高いです。

そうなると、塾のコアタイムと完全にバッティングするわけで、
ここをどう対応していくのかを考えておく必要があります。

特に集団塾はかなり難しい舵取りを求められるのではないでしょうか。

そう思ってチャッピー(ChatGPT)に相談してみたところ、
「集団塾は壊滅的」という身も蓋もない回答が返ってきました……

映像授業も兼ね備えたハイブリット型を確立していくのか、
部活動をしない生徒さんに絞って今までの形を貫くのかなど、
大きな変化に対応していく必要があるでしょう。

もしかすると、集団塾から個別指導塾へ業態転換するケースが増えるかもしれません。

ただ、個別指導塾の場合、まだ個別に授業を組むことができるので、
ある程度対応はできそうな感じがしますし、講師のシフトも減らす必要などもなさそうです。

座席組みの調整能力は問われますが、まだなんとかなりそうなイメージはあります。

前向きにとらえるなら、個別指導塾にとってはチャンスだとも言えるわけですから、
事前に受け皿を広げておくことが大切です。

もちろん、個別指導塾にもデメリットはあります。

地域クラブの活動日程(曜日)が固定されない場合、
例えば「あなたの授業は毎週水曜日の5講目(19:00〜)」という形で
定期予定として組めないのは痛いです。

その分を振替対応するのか、毎週曜日を相談しながら日程を決めていくのかなど、
やり方はいろいろあると思いますが、考えるだけで業務量が増えてぞっとします(笑)。

また振替授業の回数制限も「月1回」にするのか
「振替はしない(するほうが悪い)」という強気のスタンスで貫くのかなど、
舵取りを迫られることになるでしょう。

どちらにせよ、生徒さんはもとより、保護者さんも私たちも不利益を被らないよう、
みんながハッピーになれる落としどころを見つけていきたいですね。

地域移行にともない、おそらく最初は色々な問題が噴出してくるでしょう。
予想だにしなかった落とし穴も出てくるかもしれません。

何であれ、改革をすれば「ひずみ」は必ず出てくるものですから、
「何かが起こる」という前提で、私たちがドンと構えておくことが大事です。

私たちはオロオロしていては、生徒さんや保護者さんも、
塾としての対応に不安を感じさせてしまいます。

今のうちから関係をさらに密にし、移行による多少のドタバタがあったとしても、
「この塾に任せておけば大丈夫」と思ってもらえる関係性を構築しておきましょう。

このような大きな変革への対応力は、やはり大手塾さんはしっかりされているので、
早め早めに方針や進め方などを確立される気がします。

地域の大手塾さんをベンチマークにして、参考にするのもいいかもしれませんね。

もしかすると、今回の地域移行は、学習塾の形そのものを大きく変えていくかもしれません。

今までの当たり前が当たり前でなくなる形を恐れず、
対応していく力を身につけていきたいですね。

【今回のまとめ】
・部活動の地域移行が塾に影響を与えるのは必至
・今から動いて、対策を想定しておこう

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安多 秀司のアバター 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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