保険会社のジブラルタ生命さんが、ユニークな調査を行っているのをご存じでしょうか?
「高校生の意識に関する調査」というリサーチで、
高校生の悩みやトレンド、興味関心、学習への考え方などをまとめたもので、
毎年の恒例になっています。
その最新結果(2023年版)が、昨年末に公表されました。
<高校生の意識に関する調査2023>
https://www.gib-life.co.jp/st/about/is_pdf/20231226.pdf
個人的に毎年興味深く拝見しており、生徒さんたちに接する上でも
彼らの中で流行っていることやメンタリティを把握しておくことは、非常に有益です。
調査の対象は多岐にわたっており、今年は結婚願望について尋ねた質問のほか、
「蛙化現象」を経験の有無を尋ねるなど、時流をふまえたユニークな調査もあります。
(ちなみに、男子の15.5%、女子の30.0%が蛙化現象の経験ありだそうです)
もちろんこれらは「高校生のイマ」を知るにはかなり興味深い調査結果ですが、
特に塾運営に直接的に関係しそうな調査もいくつかあったので、
ここでシェアしつつ、みなさんと一緒に考えてみたいと思います!
さて、中でも私が印象深かったのは
「先生から言われて最もうれしかったコトバ」は何ですか、という質問です。
ここで言う「先生」とは学校の先生のことですが、
塾の先生に置き換えても同じことが言えると思います。
みなさんは、1位に輝いた言葉は何だと思われますか?
正解は、「頑張ったね・頑張っているね」(496票)。
2位の「すごいね」が180票ですから、実に倍以上の差をつけてぶっちぎりの1位です。
ここから分かるのは、成果そのものよりも、
自分が「頑張った」という過程に対する評価を褒められるのを喜んでいることでしょう。
言い換えると、そういう自分を「見てくれていた」のが嬉しいのだと思います。
これを塾で考えると、「テストで100点を取ったから褒める」ことも悪くないですが、
たとえ結果は85点だったとしても、100点を目指して頑張ったことを
認めてあげるのが大切なのでしょうね。
コーチングを学んでいる方からすれば当たり前のアプローチに思われるかもしれませんが、
こうして高校生本人の口から直接聞くと、ますます信憑性が高まります。
ただ、「頑張ったね・頑張っているね」は男女別でもそれぞれ1位ですが、
より詳しく見てみると、男女では傾向に差があるようです。
496票の内訳は、男子が180票、女子が316票と、
女子のほうが圧倒的多数でこの言葉を支持していました。
また、男子では「頭がいいね」が8位に入っているのに対し、女子ではトップ10圏外。
逆に女子は「頼りにしているよ・頼りになるね」が8位に入ってきています。
一般に、男子は能力を褒められることを、
女子は自己有用感が満たされることを喜ぶと言いますが、
このあたりも、まさにその通りの結果になっており興味深いです。
ふだんの生徒さんへの声掛けにも、大いに活かせそうですね。
他に気になったデータとしては、以前の当メルマガでも取り上げた「理想の先生像」です。
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メルマガVol.738<理想の先生1位は「○○が分かりやすい」>
https://r-partners.jp/904/
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上記記事で取り上げた際のデータは長崎県の調査によるもので、
今回はソースが異なるにも関わらず、やはり1位は同じく「授業がわかりやすい」でした。
2位に「生徒とのコミュニケーションが上手」、3位に「生徒の気持ちが分かる」が入っており、
これらももちろん重要ですが、“先生”たる者まずは教務力ということなのでしょうね。
つい、単なる人気取りに走ってしまう先生(講師)もいるかもしれませんが、
ここは勘違いせず、軸をブラさずにいたいところです。
また、「勉強に関する情報を得るために欠かせないメディア」は、
1位が「動画共有サイト・アプリ(Youtubeなど)」、2位が「SNS」、3位が「WEBサイト」でした。
トップ3がすべてインターネットメディアであることから、もはや現代の子どもたちにとって、
学びもネット経由なのが当たり前になっていることが分かります。
アナログの良さも十分に理解しつつ、適切に使い分けていく必要がありそうですね。
さらに、悩みに関する調査では「お金」が1位(40.0%)だったものの、
2位に「進路」(33.2%)、3位に「学業の成績」(31.4%)、6位に「受験勉強」(21.8%)と、
学習関連の悩みが3つもトップ10入りしています。
このことからも、塾や高等部のニーズは十分高いことが伺えますし、
彼らの「悩みを解決する」ために私たちは存在するのだと思うと、
改めてやりがいを感じ、背筋が伸びる思いがします。
塾は学校と違って、自分(塾長)が良いと信じる学びを提供することができる存在です。
個人塾なら、その自由度はなおさら高いでしょう。
そのためにも、子どもたちが本音では何を考え、何を大事にし、何に悩んでいるのか
知っておくことはとても大事です。
ともすればプロダクトアウトで自分のエゴに陥りがちな私教育産業ですが、
マーケット(生徒さん・保護者さん)の求めに応えようとする視点は
欠かさないようにしたいところです。
【今回のまとめ】
・先生に言われて嬉しいのは「頑張ったね・頑張っているね」
・塾運営のためにも、生徒さんのリアルな現状に関する情報収集を怠らない