【Vol.738(2023.10.27)】理想の先生1位は「◯◯が分かりやすい」

長崎県教育委員会が県内の小中高生を対象に実施したアンケートで、
興味深い結果が出ていたようなのでシェアしたいと思います。

<長崎県の学校・教育に関する子どもアンケート調査>
https://www.pref.nagasaki.jp/shared/uploads/2023/10/1696476463.pdf

中でもぜひみなさんにも知っておいてもらいたいと思ったのは、
「理想の先生はどんな先生ですか? どんな先生に教わりたいですか?」
を複数回答で尋ねた質問です。

これは学校の先生であれ塾の先生であれ、
共通して言える部分も大きいと思いますので、ぜひ押さえておきたいところです。

これによると1位は、小中高とも「授業の教え方が分かりやすい」ことでした。

学校は塾と違って担任や部活動顧問など、学業以外の教育活動も行う場所です。

つまり「勉強を教えるだけが先生ではない」ということですが、
それにも関わらず教務力が理想の先生の1位に挙げられているということは
単に先生は優しければいいとか、面白ければいいというわけではないのでしょう。

翻って学習塾は、原則として学業サポートに特化した教育機関です。

ということは、学校の先生方以上に、
塾の先生(講師)は「勉強を教える専門家」としての能力が求められると言えます。

もちろん講師の人柄も重要ですが、子どもたちは、
学校の先生の教え方では分からないから塾に来ているのだという
原理原則を忘れてはいけないと改めて感じました。

他に上位を占めたのは「ユーモアがあって面白い」ことと、
「どの子にも公平に接する」という回答です。

特に後者の「どの子にも公平に接する」は重要です。

「公平に接するのは当たり前だろう」と思うかもしれませんが、社員や講師も人間です。
生徒さんとの相性や、得意・不得意、もっと言えば好き嫌いだってあると思います。

厄介なのは、それが無意識の行動に現れるものだということです。

「あの子にはよく話すのに、私にはあまり声もかけてくれない」とか、
子どもたちはそのあたりを非常に敏感に見ていますよ。

子どもたちが持つ大人の観察力を決して軽く見てはいけません。

ただ、アンケートでは「公平」という表現をしていますが、「公平」と「平等」は違います。

子どもたちはこれを混同している場合も多いですので、
扱いとしては「公平」であったとしても、それが子どもたちにとっては
「差別だ、えこひいきだ」と映るかもしれません。

このあたりも、生徒さんへの接し方は注意しなくてはいけないでしょう。

傾向として興味深かったのは、小→中→高と学校段階が上がるのに比例して、
「意見に耳を傾けてくれる」という回答も増えていたことです。

年齢が上がれば子どもたちも自分の意見をはっきりと持ち始めます。

「こうしなさい」と指導することも大事ですが、
同時に意見を聴く姿勢も大切だということでしょう。

特に塾の先生は良くも悪くもこだわりや思いが強く、
自身のやり方や教え方に信念めいた自信を持っておられる方は多いです。

その矜持は尊敬に値しますが、柔軟性も忘れずにいたいですね。

加えて調査結果とはまた別に、私たち学習塾も学びたい点がありました。

それが、調査の基本趣旨です。

この調査は「子どもたちから直接意見を聴き」、
「子どもたちに意見を表明する機会を確保し」、
「調査結果を活かしてより実効性のある教育につなげる」ことを目的としているそう。

特に「子どもたちから直接意見を聴く」という姿勢は、塾にも欠かせないと思います。

上述の「意見に耳を傾けてくれる」先生であるという意味でもそうですが、
経営的視点で顧客の声を聴くことも非常に大事だからです。

特に塾は、支払者が保護者さんで、受益者が生徒さんという特殊な構造です。

ここで「顧客=保護者さん」という意識が強く働きすぎて、
保護者さんのほうばかりを向いて塾運営をしてしまう方もおられます。

自塾のやり方に自信があるから、保護者さんが求めるからというばかりでなく、
子どもたち自身が自塾のサービス(授業以外も含む)をどう感じているのか、
しっかりと吸い上げておきたいところです。

繰り返しになりますが、子どもたちの感性を決してバカにしてはいけないのです。

ちなみにこの「子どもたちに意見を聞き、その機会を確保する」という趣旨は、
今年4月から施行された「こども基本法第11条」に保障された子どもたちの「権利」です。

この法律は、子どもたちが権利を持つ主体であることを保証する国際条約
「子どもの権利条約」に基づいて定められています。

子どもたちの意見を聴くのは、
単により良い塾運営や顧客満足度のためだけではありません。

彼らが「意見を言う権利を持っている」という視点で耳を傾けてあげてください。

ビジネスとしてできること、できないことはあると思いますが、
子どもたちと一緒に塾づくりができたら、きっとみんなが幸せになれるのではないでしょうか。

【今回のまとめ】
・先生はやっぱり教務力!
・塾運営にもっと生徒自身の意見を取り入れてみよう

この情報をシェア
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

安多 秀司 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

目次