「ついに来たか!」という感じですね。
<「日本版DBS」導入 有識者会議設置し検討へ こども家庭庁>
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230616/k10014101411000.html
DBS(Disclosure and Barring Service)は、
「前歴開示および前歴者就業制限機構」と訳されます。
イギリスが導入している制度で、政府が個人の犯罪履歴を記録していて、
雇用(就業)をする際には「無犯罪証明書」を発行してもらい、
その人がその仕事に適格性があるかの判断材料にするという仕組みです。
まあ平たく言えば、悪いやつや危ないやつを雇ってしまうリスクを
回避するための制度だということですね。
ニュースは、その日本版を導入するために具体的に動き始めるぞ!という内容です。
イギリスのDBSは犯罪歴全般を対象にしていますが、
日本版ではこれを、保育や教育に関わる職業に適用する予定で計画を進めています。
つまり学校などで働こうとする人は、性犯罪歴がないことを証明しなさいということです。
少し調べてみたところ、日本で導入の機運が高まるきっかけとなったのは、
2020年にベビーシッターの男2人が、子どもへの強制わいせつ容疑で逮捕されたことだそう。
児童に対するわいせつ行為で懲戒免職になった元教員が、
児童福祉関連施設に再就職していたというケースもありました。
しかしこれが実現すれば、性犯罪歴がある人は保育園や学校などでは
事実上働けなくなります。
個人的には、子どもたちを守るために、とても画期的で素晴らしい仕組みだと思います!
と、やはりここで気になるのは「塾はどうなるの?」ということですよね。
現時点では保育士や教員など、
国家資格などが必要な職業から対象にしていくのではないかと思われますが、
「子どもと関わる仕事」と言っても、職業は多岐にわたります。
塾講師もそうですし、ベビーシッター、スポーツインストラクター、
学童保育などの支援員、補助員、医療や福祉の世界も含めれば
児童福祉司や臨床心理士などなど……
これらすべてを制限しようとすると、
職業選択の自由の観点からは問題も出てきそうです。
仮に、保育士や教員など、公教育に関わる仕事に限定した場合、
どんなことが起こりうるでしょうか。
真っ先に思いつくのは、「公教育がダメなら塾で働こう」と、
性犯罪歴のある人がこちらへ“流れてくる”ケースです。
正直、これは勘弁してほしいですよね。
したがって、「子どもたちを守る」という本質に立ち返って考えるなら、
塾を含む民間教育界もその対象とするのが適当であると思います。
さらに懸念されるのが、起訴されなかっただけで、
性犯罪行為の前歴がある人も少なくないということです。
実際に、まだ明るみになっていないだけで犯罪に手を染めている人もいるでしょう。
また、刑事裁判などにならなかっただけで、示談で終わらせたケースも多数あるはずです。
刑法34条にある「刑の消滅」に照らすと、基本的に10年たてば
犯罪人名簿から前科歴は削除されます(前科そのものは消えません)。
犯罪者の社会復帰を支援するという意味では重要なことですが、
性犯罪者は再犯率が非常に高い傾向があります。
そうした人をどうやって見抜くのか、
本当に「犯罪歴」の照会だけでいいのかは議論の余地がありそうです。
塾もDBSの対象になることを期待しつつ、自分たちでできる防衛策も練っておきたいですね。
【今回のまとめ】
・性犯罪者が塾に就職できなくなるように期待
・自分たちでも防衛策を