【Vol.769(2024.02.16)】災害時の心のケア

今年のお正月、能登地方を襲った大きな地震。
被害に遭われた方や関係者のみなさんに、心からのお見舞いを申し上げます。

また、これをふまえて当メルマガでも
「自然災害時の塾での対応を決めておきましょう」というテーマでお届けしました。

<授業中に地震! あなたならどうする!?>
https://note.com/yasuta_rp/n/n5d7d31898792

ぜひみなさんも教室でも、いざというときに落ちついて対応できるよう、
子どもたちを守れるように準備をしておいてください。

その一方で、こんなニュースも見つけました。

日本ユニセフ協会が発表している「災害時の子どもの心のケア」についてです。
https://www.unicef.or.jp/kokoro/

東日本大震災の教訓をふまえて作られたものとのことですが、
先日の能登半島地震が起こったことで、再びその重要性が注目されているようです。

私も読んでみましたが「これは、知らずに悪気なくやってしまいそうだ」といった
NG行動もいくつかありました。

ぜひ、みなさんも参考にしていただき、貴塾の子どもたちのために役立ててください。

同協会が指摘する「災害時の子どもの心のケア」で大事なのは、主に以下の4つのポイント。

1.「安心感」を与える
2.「日常」を取り戻すことを助ける
3.被災地の映像を繰り返し見せない
4.子どもは自ら回復する力があることを理解し、見守る

この中で私が特に「ハッ!」としたのは、1と3です。

「1.安心感を与える」の解説を読んでみると、
「子どもの不安を笑ったりせず子どもたちの言うことに耳を傾け、疑問や心配に思うことには、
安心感を与えながら、簡単な言葉で、穏やかに、そして正直に答えてください」
とあります。

例えば大きな自然災害などが起こり、子どもたちが不安な状況にあるとき、
つい「大丈夫、大丈夫!」などと声掛けしてしまうことってあると思います。

そんなに大ごとに捉えなくてもいいよ、みたいな感じですかね。

そこに根拠がなくても、とにかく安心させてあげたい一心で言ってしまうのです。

しかし、これは良い対応とは言えないそうです。

確かに、実際に子どもが「怖い」と感じているのに、
それを頭ごなしに「怖くない」と言うのは
子どもの心に寄り添っているとは言えず、問題がありそうですね。

まずは「怖いね」と受け止めてあげて、「でも守ってあげるからね」など、
不安な気持ちを否定しないで、そして安心を与えてあげることが大事なのでしょう。

もしかしから私も、元気づけたいあまりに
「大丈夫!」などと笑い飛ばす対応をしていたかもしれません。

みなさんもぜひ意識して、気を付けてくださいね。

もう一つの「3.被災地の映像を繰り返し見せない」も、
悪気なくついやってしまいそうなので注意したいところです。

特にこれは、直接の被害を受けていない地域でも
十分に起こりうることだと思うので、なおさら意識する必要がありそうです。

例えば、被災地の現状を正しく伝えたいとか、自然災害の恐ろしさを理解して欲しいといった
教育的な目的で、被災地の画像や映像を生徒さんに見せることがあるかもしれません。

しかし、それも内容や程度には注意が必要です。

同協会によると、子どもの感受性はとても強いので、
必要以上にこうした映像に触れさせることで、感情移入しすぎてしまうことがあるのだそう。

また、世の中で起こっていることと自分との境界線があいまいで、
実際にはそんなことはなかったとしても
「同じことが自分にも起こるのでは」と、不安に染められてしまうケースもあるとのこと。

教育的な意味で災害の実情を伝えること自体は大切かもしれませんが、
それが子どもたちを傷つける場合があることを忘れてはいけません。

私たち大人が意図的にそれを見せなかったとしても、
子どもたちがYouTubeなどで動画を見つけてきて、思わず引き込まれてしまい
あれもこれもと視聴を続けてしまう可能性だってあります。

そうした点にも注意が必要ですし、
保護者のみなさんにも家庭での対応に注意を促したほうがいいかもしれませんね。

このように、良かれと思ってやっていることでも、
子どもたちに悪影響を及ぼしかねない対応ってあると思います。

個人的な感情論や価値観だけにとらわれず、
客観的で科学的な根拠に基づいた対応をしていきたいですね。

【今回のまとめ】
・災害時の心のケアは、思い込みだけで対応しない
・良かれと思ってやったことでも、逆効果の場合がある

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安多 秀司のアバター 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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