日本財団が、さまざまなテーマを設けて定期的に実施している「18歳意識調査」。
全国の17~19歳の男女を対象にインターネットアンケートなどを実施しており、
イマドキの18歳の価値観やトレンドを知る材料として、とても役に立つ情報ソースです。
先ごろ、その第61回目(最新)の調査結果が発表されたのですが、
今回のテーマはずばり「教育!」。
<日本財団18歳意識調査結果 第61回テーマ「教育」>
https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2024/20240306-99713.html
いまの教育について、子ども(18歳)たち本人はどう感じているのでしょうか!?
やっぱり気になりますよね。
先生への信頼度や教育支出についてなど、さまざまな観点から調査していたのですが、
私が特に興味深かった項目についてご紹介させてください。
「義務教育期間にもっと学んでおきたかったと思うこと」という質問だったのですが、
みなさんは、1位は何だったと思われますか?
ちょっとクイズ形式で考えてみてください。
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正解は「金融リテラシー」(20.5%)でした。
おそらく、意外だったという方が多いのではないでしょうか。
先行きが見えにくい「VUCAの時代」と呼ばれ、
決して景気が良いとは言えない社会世相を反映しているのかもしれません。
生きていくために必要なお金に関する知識や能力を、
もっと教えて欲しかったと言っているのです。
しかし、学校や家庭での金融教育の現状を考えてみましょう。
公民科や家庭科で金融教育を実施している割合は以前に比べ増えているそうですが、
それでも実際に授業でそれを実施している先生は3人に1人程度にとどまるという
調査結果も明らかになっています(日本損害保険協会調べ)。
それどころか、いまだ「お金」に関する話題をタブー視するとか、
お金を汚いものと見なすかのような価値観は根強いです。
「お金持ちになりたい!」という子どもをたしなめたり、
お金儲けは悪いことであるかのような教えを施したり大人は少なくありません。
お金儲けそのものが悪いのではなく、誰かをだましたり傷つけたりなど、
お金儲けのために人として大事なことを忘れてしまうのが良くないのです。
「人生はカネではない」「カネで買えない幸せがある」という意見には賛成できますし、
「お金はどうでもいいんです!」という気概で働く人の人間性は尊敬できますが、
それと「子どもたちにお金のことに触れさせない(教えない)」ことは、イコールではないはず。
そうやって、大人のエゴにも近い価値観で、
「お金のことを考えるな」というのは、子どもたちにとって何の利益にもなりません。
新NISAなど、政府は国民の投資意識を育てようと躍起になっていますが、
それでも「いや~、よく分からないし怖いので投資はやらない」という大人も多いですよね。
もちろんそこは個人の判断ですが、
これまで「お金」をなんとなく忌避してきた教育の結果がこれではないかと思います。
イギリスでは金融教育が必修化されているのは有名な話です。
何でもかんでも海外のマネをすればいいというものではありませんが、
実際に子どもたちが「金融リテラシーを学びたかった」と言っているわけです。
そこは、真摯に考えるべきだと思います。
場合によっては、今後は塾でもニーズが出てくるのではないでしょうか?
「そんなバカな」と思われるでしょうか?
でも例えば20年前に、プログラミングや探究が塾のメジャーコンテンツになるなんて
予想できた人はほとんどいなかったはずです。
金融教育にも、その可能性は十分にあるのではないかと思います。
また、「金融リテラシー」以外で他に目立ったのは「コミュニケーションの方法」、
「国際社会できるための意識・姿勢・知識・能力」といった回答でした。
いわゆる受験学力(基礎学力)は、トップ5にかすりもしていません。
(だから無駄だという意味ではないです)
逆に、「(実際に)義務教育で重視されていたと思うこと」という質問では、
「基礎学力」がトップでした。
つまり、学習者である子どもたちが学びたいと思っていることと、
実態には大きな差があるということです。
学校がこれを変えていくには、指導要領の改訂など時間がかかります。
しかし、塾(特に小規模な個人塾)では、こうした対応も臨機応変に行えるのが強みです。
ビジネスの原理はシンプルで、現存する消費者のニーズに応えるか、
消費者のニーズを掘り越して創造するかです。
そう考えると、塾コンテンツの可能性はまだまだ広がりがありそうですね。
【今回のまとめ】
・金融リテラシー教育のニーズが高い
・学校ではできないことも、塾でならできる