4~5月は、学生講師の採用が活発な時期かと思います。
あなたの教室では、講師採用は順調でしょうか。
弊塾もいろんな種まきが功を奏し、講師応募はこの4~5月で20件を超えました。
しかし教室長の採用基準が鬼のように厳しく、まだ1人も採用に至っておりません(笑)。
まあ、今週・来週も面接が続きますので、素敵な出会いに期待です。
あせって妥協した採用はトラブルの元ですからね。
さて、今回は講師採用後の研修について。
前・後編の2回にわたって、弊塾の新人研修の仕組みをお伝えいたします!
以前、スターバックスコーヒージャパンの元CEO・岩田松雄さんにセミナーをお願いした際、
「アルバイトは80時間の(新人)研修を通して、
働く一人ひとりがミッションを実行できるように人材育成しています」
と語られていたのがとても印象的で、私も少しでもそこに近づけるよう心がけてきました。
まず、研修の「期間」について。
弊塾では「めちゃくちゃいい人財」を採用することができた場合、
初めは「研修期間(2週間)」の契約となります。
そこで特に問題がなければ、「試用期間(2ヶ月)」に入り、本採用(1年)となるのが前提です。
(1)研修期間(2週間) → (2)試用期間(2ヶ月) → (3)本採用(1年)という流れですね。
前編となる今回は、このうち最初の「(1)研修期間(2週間)」で
どういった研修を行なっているのかを具体的にお伝えします。
当たり前のことばかりですので新鮮味はないかもしれませんが、
少しでも参考にしていただければ幸いです。
研修期間を設けている理由は、「面接では見抜けなかった部分」や
「お互い一緒にやっていけるかどうか」、「個別指導に向いているか」などを確認することです。
「いいな!」と思って採用してみたものの、
「意外と微妙だった」「いいだけど、感覚が何か合わない」というケースも稀にあります。
その状況で働き続けてもらうほど、お互い辛いことはありません。
「お見合い」の感覚で、お互いがお互いを見極めるというスタンスだとお考えください。
まだ採用するかどうかは不明ということもあり、
研修期間中に生徒さんの指導をしてもらうことはありません。
また、研修初日に、研修期間クリア項目といった紙を渡し、
どういうことができれば良いかを明確に伝えます。
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◆研修期間(2週間)クリア条件 ※一部抜粋
□理念を理解している
□服装・頭髪が適切である
□予め決められた出勤曜日・時間を守れる
□生徒の顔を見て、(作業中は席から立ち上がって)挨拶ができる
□相手の立場に立って考えようとする
□生徒・講師・社員と目を見て話せる
□笑顔で人と接する
□他の講師と円滑にコミュニケーションが取れる
□答えや解き方を一方的に教えすぎない
□解説や例題を生徒が読むように促せる
□生徒役の目線で接することができる
□コーチングの基礎が分かる
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研修期間は2週間ですが、勤務は週2日×2週=4日が基本です。
1日あたりの勤務時間は3時間前後ですから、労働時間は約12時間となります。
かなり限られた時間内ですが、この中で具体的に行っている取り組みがは下記の通りです。
(1)講師マニュアルの読み込み
(2)授業見学
(3)コーチング研修
(4)模擬授業(シミュレーション)
(5)教材研究
(6)教室長と毎回シェア
一つずつ詳しくお伝えしていきます。
(1)講師マニュアルの読み込み
12ページにもわたる講師マニュアルを読み込んでもらいます。
教室の理念に始まり、具体的な指導例、時間割、確認テストや宿題の出し方、
引き継ぎの仕方など、弊塾で講師として働くための方法論が
ここにすべて詰め込まれているといっても過言ではありません。
そのため、まずは1時間ほどかけてマニュアルを繰り返し読み込んでもらいます。
また、研修最終日には講師マニュアルの穴埋めテストがあります。
ベテラン講師曰く「大学受験の科目テストより難しい」そうです(笑)。
(2)授業見学(3〜4回)
ベテラン講師が行っている1(講師):2(生徒さん)の授業を、真後ろから見学します。
後ろから見学することで、指導法はもちろん、1:2のバランスや声かけのタイミング、
コミュニケーションの取り方、授業の組み立て方などを学ぶのです。
これを3〜4回実施しますが、1~2回目は授業の仕方や1:2のバランス、
コミュニケーションなど、各項目に注目した「点」の部分を中心に見てもらいます。
3〜4回目は、授業の導入部分の会話、宿題の出すタイミング、
考えさせるための問いかけなど、授業の組み立て方を「線」で考えてもらうイメージです。
(3)コーチング研修
弊塾では、コーチングの要素を取り入れて授業を行なっています。
ご存知の方も多いと思いますが、「コーチ」の語源は馬車です。
目的地まで導く存在だということですね。
弊塾講師たちにも、その意識で生徒さんへアプローチしてもらっています。
コーチングの研修動画を見てもらい、
基礎知識や概念、アプローチ法などを学んでもらいますが、
講師によってはコーチングの概念がまったくしっくりこない人もいるのが事実です。
「ティーチング」一辺倒の環境で生きてきた人に多いと感じますね。
そういった場合、弊塾での勤務は合わないと判断することもできる要素となります。
ちなみに、あくまでもコーチングは手段にしか過ぎないので、
コーチングがすべて正しいとは思っていません。
ティーチングとコーチングのうまい使い分けが大切だと感じています。
(4)模擬授業(シミュレーション)
ベテラン講師や社員(教室長や私)が先生役や生徒役になり、
新人講師と模擬授業を何度も行います。
授業の時間割が1コマ75分なので、
25分(20分模擬授業+5分シェア)×3セットです。
1回目は新人講師が先生役で、2回目がベテラン講師、3回目がもう1度新人講師。
山本五十六の名言「やってみせ〜」のように、
きちんとした型を見て学んでもらうことを大切にしています。
この模擬授業を研修期間中に3回ほど行なってもらい、経験を積んでもらう形です。
ベテラン講師にも協力してもらうので人件費が余計にかかりますが、
そこは必要経費であり投資であると考えています。
(5)教材研究
教室の棚にある教材を見てもらって、どういったテキストがあるのか、
どれぐらいの難易度なのか、使いやすさなどをレポートでまとめてもらいます。
良くも悪くも人によってまとめ方が違うので面白いですよ。
新人講師の分析力を見つつ、それ以上に教材研究をしている時の姿勢、
例えばテキストの片づけ方や生徒さんへの挨拶など、
どういった振る舞いをしているかをウォッチしています。
(6)教室長と毎回シェア
これが1番のキモかもしれません。
弊塾の方針として、新人講師が出勤した日は
生徒さんが帰った後の残務時間に必ずシェア(振り返り)を行うのが定番です。
今日の研修はどうだったか、どう役にたちそうか、
何が印象に残ったのかなどをヒアリングするほか
こちらから改善点の提案なども伝えています。
「今日は○○が課題だったので、次回は○○をクリアできるように意識していきましょう」
みたいな感じですね。
いかがでしたか?
こうした研修を2週間行なった上で、試用期間(2ヶ月)に進んでもらうかを判断します。
3〜4回これだけみっちり研修を行い、一緒に働けば、
自塾にとって必要な人財かどうかはある程度判断がつくと思います。
大切な生徒さんを預かっているので、講師採用に妥協は絶対したくありません。
その思いが今の仕組みとなっています。
非常に厳しい基準ですが、そのぶん研修期間・試用期間を乗り越えた講師は、
本当に優秀だと自負しています。
このこだわりが弊塾の良さでもあると信じています。
来週か再来週の回に、研修期間をクリアした後の試用期間中の研修内容をお伝えします!
お楽しみに。
【今回のまとめ】
・研修は時間とお金をしっかりかける
・絶対に妥協しない