【Vol.797(2024.05.29)】弊塾・新人研修の仕組みを大公開(後編)!

前回に引き続き、弊塾での新人研修の仕組み(後編)をお伝えしたいと思います。

前回の記事(前編)をご覧いただいてからお読みいただくと、
新人研修の流れのイメージがいっそう理解しやすいと思いますので、
未読の方はぜひお目通しください!

【弊塾・新人研修の仕組みを大公開(前編)!】
https://r-partners.jp/1132/

さて、弊塾での採用後の育成フローは、
(1)研修期間(2週間) →(2)試用期間(2ヶ月) → (3)本採用(1年)となっています。

前回は「(1)研修期間」について詳細をお伝えいたしましたので、
今回は、「(2)試用期間」を掘り下げていきましょう。

育成のイメージとしては、(1)研修期間で6割ほど、
(2)試用期間で8割ほど仕上げ、本採用につなげ流れです。

まず弊塾での大前提として、(2)試用期間に移行した新人講師の約9割が本採用となります。

研修期間中にふるいにかけ、弊塾に合うかどうかの見極めを行なっているためです。
この間に「この人材はいける!」となれば、ほぼ本採用となります。

そのため、(2)試用期間の2ヶ月は、指導方法や生徒さんとのコミュニケーション方法など
技術力を徹底的に磨いてもらう期間だと考えてもらうのが分かりやすいです。

(2)試用期間も、基本的に勤務は「週2回・1回2コマ」がベースとなるので、
2ヶ月で「16日間勤務・32コマ」が目安になります。

基礎のロープレなどは(1)研修期間で実施していますので、
(2)研修期間に入れば、さっそく実際の指導に当たってもらいますが、
最初の2〜3回は「1(講師):2(生徒さん)」ではなく、「1:1」としているのがポイントです。

1人の生徒さんへきっちり指導しつつコミュニケーションを図り、
1コマ75分という時間を体感してもらうことを優先しているためで、
まずは慣れてもらい経験を積むことで、「授業は楽しくできる」と自信を持ってもらいます。

いきなり「1:2」だと、2人の生徒さんへのバランスを取るだけで精一杯になり、
すべてが中途半端になって自信をなくしてしまう場合もあるので注意したいところです。

「1:2」の授業は、ある程度「1:1」に慣れたタイミングで
段階的に組み込むようにしています。

ここで大切なのは、新人講師の授業を私たちがしっかりと見守ることです。

採用して2週間足らずの新人に、「あとは任せた」は無責任すぎます。
彼らが円滑に授業を進められるようにサポートすることは、私たちの責務です。

例えば、授業が始まる際に社員が授業ブースに向かい、
「○○(生徒)くん、こんにちは。今日担当してくれる△△先生です」と、間を取り持ちます。

講師も話すきっかけを作りやすく、良い立ち上がりになりやすいです。

また私は、いつもこのタイミングで生徒さんに
「△△先生はめちゃくちゃ説明がうまいから、分からないことは気軽に聞くといいよ」
と声をかけ、講師を持ち上げるようにしています。

こうした第一印象はとても大切で、良い印象を持つことができれば
生徒さんも「この先生すごい!」となります。

逆に「△△先生は今日が初めて授業だから、とても緊張しています」とか
「ちょっと分かりにくい部分もあるかもしれないけど許してね」などというフォローはNGです。

「新人だから許してあげてね」という気遣いなのは分かるのですが、
これでは生徒さんも「この先生は教えるのが上手ではない」というバイアスがかかります。

こうなると、いくら良い指導をしていたとしてもそのような先入観で講師を見てしまうため、
最悪の場合、「講師を交代してほしい」「なぜ未熟な新人講師に我が子を担当させるのか」
などのクレームが出てきてしまいます。

そのため、新人講師自身にも、こうしたエクスキューズは口にしないよう指示しています。

厳しいようですが、それは言い訳や逃げ道を事前に作っているにすぎません。

このような言い訳は、その瞬間は責任回避ができて楽かもしれませんが、
結局は自分自身を追い込むだけになってしまいますので、デメリットだらけです。

新人講師にも「自分が生徒さんの立場でそんなことを言われたら、その講師を信頼できる?」
と問いかけますが、全員が「できません」と答えます。

そして、この時点で自覚を持ち、腹をくくって全力で頑張ってくれます。

生徒さんの前に立つ以上はプロなわけですし、
生徒さんや保護者さんからすれば「新人だから許してね」など知ったことではありません。

だからこ、プロとして生徒さんの前に出せるレベルまで
きっちり育てることが私たちの責任でもありますし、研修の重要性でもあるのです。

初めての授業であれば、多かれ少なかれ指導のアラや改善点は出てくるものですが、
それ以上に熱意がカバーしてくれます。

そして経験を重ねることによって、少しずつ余裕が出てきたり、話す内容を工夫したりと、
RPGのようにどんどん経験値が増え、レベルアップしていきます。

こういうやりとりを事前に行っておくためにも、
私たち社員と新人との間でのコミュニケーションの構築が大切です。

こうして2〜3回ほど1:1の授業で経験を積んでもらった後は、いよいよ1:2です。
1:1が無難にこなせるようになったタイミングで1:2に移行していきます。

特に気を付けるのは、授業の「入り」の部分です。

1:2の場合、同時に生徒さん2人と話すことはできませんから、
仮に新人講師が生徒Aくんとコミュニケーションをとっている間は、
社員がサポートしてもう片方の生徒Bくんと話をします。

そうしないと、Bくんは数分間ほったらかしになり、
することがないまま待たされてしまう可能性があるためです。

そうしてコミュニケーションをとりつつ
「じゃあこのページから進めていこうか」などとAくんが学習できる準備が整えば、
今度は新人講師がBくんに話しかけることができます。

弊塾では、この始業前サポートを「ダブルサポートシステム」と命名して
1:2の欠点をできるだけなくし、新人か否かに関わらず、普段から実施するようにしています。

担当講師が片方の生徒さんと話していて、もう片方の生徒さんが暇そうにしていたら
すぐさま誰かがサポートし、授業が円滑に進むようにしているのです。

ただ、担当する2人の生徒さんが同時に来て、同時に着席することもよくあるので、
ベテラン講師でもうまく捌けないタイミングが存在します。

そのため、(サポートに入る)教室長は、
授業と授業の間の10分間がいつも一番忙しくしていますね。

もちろん新人講師の授業も基本的にはずっと見て(聞いて)いる状況なので、
授業中に困っている様子やミスをしている様子が確認できれば、即座にサポートに入ります。

また、授業を数回担当してもらった後に、授業見学や模擬授業を行うこともあります。

実際に指導を経験した上で、再度先輩の授業を見ると、
今までとは違った部分が見えてプラスになる場合が多いです。

それを共有・解決することで、指導力の幅がグッと広がります。

そして一番大切なのは、(1)研修期間でも実施している「教室長と毎回シェア」です。

新人講師が出勤した日は、
生徒さんが帰った後の残務時間に必ずシェア(振り返り)を行います。

今日の授業はどうだったか、うまくいった点や失敗した点、
授業から得たことなどを話してもらいつつ、こちらから改善点の提案なども伝えていますが、
工夫しているのは、ベテラン講師もシェアに参加してもらうことです。

新人講師の後ろでベテラン講師が授業をし、
合間をぬって新人講師の授業をチラチラ見てもらい、後からアドバイスをするのです。

ベテランと言っても同じ大学生ですから、新人講師もアドバイスを受け取りやすいと思います。
ここでコミュニケーションが生まれ、講師同士が仲良くなれるのもメリットです。

さらに、(2)試用期間に入ると、ベテラン講師にお願いして、
できるだけ新人と一緒に(電車で)帰宅するようにしてもらっています。

1人でとぼとぼ帰るより、先輩たちと一緒に帰るほうが楽しいですし、
勤務時間外というリラックスした環境で
相談したりアドバイスを受けたりするにも良いタイミングです。

社員だけだとできることは限られてきますので、
先輩講師のみんなにも手伝ってもらい、新人講師を育成している感じですね。

これを2ヶ月続けてもらい、よほど問題がない限りは、そのまま本採用です。

そして可能であれば大学卒業するまで働いてもらえるよう、
私たちも働きやすい環境作りに努めていきます。

いかがでしたか?

(2)試用期間(2ヶ月)はがっつり実地研修ですね。

授業を担当してもらう際は、「任せた!」と投げるのではなく、しっかり周囲がフォローしつつ、
「うまくできた」「2人の生徒さんともしっかりコミュニケーションはかれた」など、
達成感を抱いてもらえるようにすることが大切です。

採用・研修期間・試用期間、それぞれにめちゃくちゃこだわっていますが、
それが弊塾の良さでもあると信じています。

大切な生徒さんを担当してもらうわけですから、ここは絶対に妥協しないようにしましょう!

【今回のまとめ】
・2ヶ月で授業力(指導・コミュニケーション)を徹底的に高める
・新人講師の育成には、周りのフォローが非常に重要

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安多 秀司 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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