【Vol.851(2024.12.04)】未入金は百害あって一利なし

今回のテーマは「未入金」について。

学習塾関係者の立場からすると、「未入金」と聞くと
お月謝の未納が真っ先にイメージされるのではないでしょうか。

一方で私たちも、業者さんに対しては「お支払いする立場」です。

もちろん「ついうっかり」があるのが人間だということは分かっていますが、
商取引において未入金は「信用」を一瞬で失わせます。

せっかく時間をかけて関係を築き積み上げてきたものがあっという間に崩れ去るのです。

未入金のあった生徒・保護者さんにしても、業者さんから見た私たちにしても、
関係を再構築していくことは非常に難しくなります。

お月謝の未入金は、言うまでもなく私たちにとって大きな問題ですよね。

いくら売上を作っていたとしても、それがきちんと入金されなければ、
数値上は良く見えても現金が全然ないという状況になります。

逆に私たちも、家賃、教材、模試、コピー、ICTコンテンツなど、
さまざまなサービスの支払い義務があるわけで、
それが遅れれば業者さんに同じご迷惑をかけることになるわけです。

そこで今回は、お金をいただく側、支払う側の両方の立場から、
未入金について一緒に考えてみたいと思います。

まずは、私たちが保護者さんからお月謝などでお金をいただく立場です。

お月謝の口座振替を行っている場合、
未入金の原因はその大半が口座の残高不足によるものです。

弊塾では毎月20日(土日祝の場合、翌営業日)を口座振替日としており、
20日に引き落とせない場合、25日に再度振替を行うよう設定しています。

20日に振替が確認できなかった場合、
電話や塾運営システムのComiru(コミル)を利用して、翌日にはご家庭へ連絡し、
25日の再振替に間に合うよう入金をお願いします。

また必要であれば、「次回の授業時に現金でお持ちください」や、
「ご自宅までお月謝をいだだきにあがる」旨を伝えれば、たいていお支払いいただけます。

残高不足の場合、そもそも、ほとんどが口座への入金忘れなどの「うっかり」ですので、
このやりとりをすることで大半が問題なく解決するのですが、
それでも入金が滞ることもあります。

これが毎月続くと、ツケが積もり積もって支払いができなくなる恐れもあります。

また、額が大きくなれば保護者さんも「もう払えない」や、
「そんなに言ってこないから知らないふりをしておこう」などとなるかもしれません。

その流れで生徒さんが急に塾に来なくなり、
そのまま焦げついて……という最悪のパターンも考えられるでしょう。

したがって、未納金が積もらないうちに早く手を打つ仕組みが大切です。

そこで弊塾の場合の取り組みとしては、未入金が2ヶ月続いた時点で、
生徒さんの通塾を断るようにしています。

たいへん心苦しいのですが、生徒さん本人に
「未入金が2ヶ月続いている」という事実を伝えます。

もちろんかなり言葉を選び、申し訳ないという謝意を織り交ぜつつですが、

・お月謝を2ヶ月間滞納されている状態であること
・支払うのはお父さんやお母さんであって、あなたに責任はないこと
・ルールとして、2ヶ月滞納した場合、通塾ができない決まりになっていること
・支払いが完了するまで、明日以降通塾を控えてほしいこと

を理路整然と伝えています。

「お金のことを生徒さんに言うのはどうか」というお考えも十分に分かります。

しかし、それでも弊塾の方針として、家族である以上、
連帯して事実を知っておくべきだという厳しい姿勢をあえて取っています。

きちんとお支払いしてくださっている方に説明がつかないからです。

正直者がバカを見る仕組みを作ることは避けなければいけません。

もちろん私も子を持つ親ですから、本当に心が痛みますが、
そこは心を鬼にしてブレないようにしています。

弊塾は開業して17年目になりますが、こうした早め早めのリマインド連絡や、
必要に応じた厳しい対応を実施していることで、
幸いにして未入金のお月謝が焦げ付いたことが1度もありません。

もちろんこうした厳しい対応を取るのは、支払えるにも関わらず、
悪意や怠慢から起こる未入金の場合です。

コロナ禍の影響や物価上昇もあって、
経済的に本当に困窮しているご家庭もあるかもしれません。

そうした場合は杓子定規に考えず、こちら側ができる最大限の提案やサポートを行います。

そうしたやむにやまれぬ事情があるケースは別にしても、
そもそも、未入金(特に悪意のあるもの)が続く場合、こちらも人間ですから、
その保護者さんに対して良い印象を持つことができなくなりますよね。

「塾のことを軽視されているんじゃないか」と思ってしまいますし、
保護者さんからしても「また催促の連絡がきた! しつこい!」
「お金、お金ばっかり!」と感じられるかもしれません。

結局は未入金が原因で、信頼関係が破綻し、お互いが嫌な思いをするわけです。
最悪は退塾につながりますし、百害あって一利なしです。

別の言い方をすれば、未入金さえ出さなければ、
そもそも起きない問題だと考えることもできるわけで、信頼関係も築けたままです。

したがって、このような無益なやり取りを少しでも減らすために、
「口座振替」や「現金持参」をしている塾さんは
オペレーションを見直すことも大切かもしれません。

未入金を出す保護者さんを一方的に責め立てるのは簡単ですが、
そうなってしまう仕組みを作っているこちら側の問題であると考えるのです。

例えば最近では、クレジット決済ができる教室運営システムもあります。

その代表格が、弊社でもお世話になっているComiru(コミル)ですね。
決済手数料も業界最安水準の1.7%〜(一般的には3%ほど)ですから、本当におすすめです。

【決済手数料は「1.7%~」!請求金額の登録も作業なしで完了(Comiru)】
https://comiru.jp/feature/card

クレカ決済ができると、保護者さんがクレジットカードを解約しないかぎり、
確実に決済することが可能です。

決済後1ヶ月ほどで口座振替されますから、
ひとまず直近の支払いに困っているご家庭であれば、
実質1ヶ月先送りすることにもなるので便利だと思います。

未入金の連絡をする労力や、双方の心理的ストレス、信頼関係が壊れることを思えば、
1.7%の手数料を支払う価値は十分にあるのではないでしょうか。

次に、こちらが支払いする立場にある場合を考えてみます。
仮に、業者さんへの支払いが1日遅れ、翌月になってしまったとしましょう。

「1日ぐらい、いいじゃないか」と思われますか?

実際に先方も「1日くらいなら別にいいですよ」と言ってくれるかもしれませんが、
先ほどのお月謝の未入金のように、逆の立場で考えてみてください。

業者さんも強くは言ってこないにせよ、内心では
「あの塾さんは支払いがたまに遅れる。大丈夫かな」という印象が蓄積されていきます。

これが、今後の取引にプラスに働くかマイナスに働くかは明白ですよね。

信頼関係がある・ないで、「いい情報があるけど、あの塾さんには教えたい(くない)な」
「値引きしてあげたい(くない)な」と思われることは多いと思います。

とにかく支払いに関しては、どのみちお支払いする義務があるのですから、
早めに振り込む習慣をつけるに越したことはありません。

結果として同じ金額を払っているのに、たった数日で、
相手に与える印象が真逆になるのはもったいないと思いませんか?

授業開始の10秒前に来るのと、10秒遅刻するのでは、
たった10秒なのにまったく意味が違ってきます。

それなら10秒前に来ておいて、怒られずに済むほうがでいいですよね。

私の場合、月末期限の支払いは、
基本的に20日~25日の間で済ませるよう心がけています。

支払期限最終日に慌てて振り込もうしすると、
請求書の支店・口座番号の間違い、支店名が変わった名前で読めない、
請求書がそもそも手元にないことが発覚……など小さなトラブルが起こり、
支払いたくても支払えないといった状況に陥る可能背もありますしね。

早め早めの入金を心がけておくことで、取引先も
「この塾さんはいつも期日までに入金があり安心・信頼できる」と感じていただけますし、
「あの塾はしっかりしているから我が子を通わせよう」なんてこともありえます。

取引先と言えども、いち消費者であることを忘れてはいけません。
顧客になる可能性はあるわけですから。

支払いする側・される側の両側に私たちはいます。

期日までに「確実に」入金することは、取引における最低限のマナーです。

支払いにルーズな人が、未入金のご家庭に対して何も言う権利はありませんよね。
授業料の未入金をなくすためにも、まずは業者さんへのお支払いを確実に行いましょう。

未入金は百害あって一利なしです!

【今回のまとめ】
・月謝の未入金が出ない仕組みを構築する
・支払いは早めに済ませる習慣をつけておく

この情報をシェア
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

安多 秀司のアバター 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

目次