【Vol.855(2024.12.18)】学生講師を採用・育成するためのポイント/育成編

今回は、「学生講師を採用・育成するためのポイント」全3回の最終回、
「育成編」をお届けします。

前回・前々回とお届けした「採用編(前編・後編)」こちらです。
ぜひご一読の上、育成編をご覧ください。

【学生講師を採用・育成するためのポイント/採用編(前編)】
https://r-partners.jp/1366/

【学生講師を採用・育成するためのポイント/採用編(後編)】
https://r-partners.jp/1368/


「採用編「では、いかに講師応募の母数を増やすかという観点でお伝えしてきましたが、
そうして集まってくれた講師人材を、どう戦力化するのかが今回の「育成編」です。

弊塾で実施している育成方法は、前述のように応募数を増やして
素材の良い人材を採用できていることが前提となります。

妥協して採用した(失礼ながら)イマイチな学生講師ばかりだと、
効果も半減すると思いますので、その点はあらかじめご了承ください。

例えるなら、いくら良い調理法を駆使しても元となるお肉の質が悪ければ、
料理としてのクオリティにも限界があるのと一緒ですね。


さて、弊塾の学生講師育成のポイントは以下の3点です。

(1)研修期間・試用期間の設定
(2)社員と信頼関係を築く
(3)いきいきと働いてもらう

ひとつずつ説明していきますね。


(1)研修期間・試用期間の設定

弊塾では、採用してすぐに本採用(1年)をするのではなく、
まずは研修期間(2週間)と試用期間(2ヶ月)を設けています。

採用して即1年契約なんてしてしまうと、
万が一問題行動を起こすような人物だった場合、地獄を見ます。

研修期間はお見合い、試用期間はとりあえず付き合ってみるという感じです。


面接で「いいな」と思って採用してみたものの、
一緒に働いてみたら「うーん……」というケース、みなさんも多数経験されていると思います。

面接だけで相手を100%見抜いたり、
把握したりすることは不可能です(高める努力はできますが)。

つまり、面接で見抜けなかった部分を見極めて、
必要であれば本採用は見送ることができるようにする仕組みですね。


特に研修期間の2週間が非常に重要です。
この2週間でその人となりを見る機会としています。

2週間もあれば、自塾に合いそうかどうかを判断できるはずです。

また、学生講師当人からしても
「あっ、ちょっとこの職場は自分には合ってない」と感じるようなら、
採用を辞退してもらうこともできるので、お互いにとって良いと思います。

当人が「合わない」と思っているのに無理やり続けてもらっても、
いつか途中で辞めることになりますし、トラブルの原因にもなります。


研修期間の2週間が終了したら、次は2ヶ月の試用期間です。

そこで徹底的に授業のやり方や指導法、生徒さんへのアプローチ法など、
シミュレーションや実践で経験値を積んでいってもらい、
一人前になるようトレーニングを行なっていきます。



(2)社員と信頼関係を築く

社員(教室長)と学生講師がいかに信頼関係を築くことができるかは、
育成において不可欠な要素です。

しかし、信頼関係を築くには時間がかかりますので、
社員には一つずつの言動を積み重ねていく根気と粘りが求められます。

例えば、研修期間・試用期間中は生徒さんの帰宅後に
1on1の時間をとり、今日の研修の振り返りを行います。

できたことやできなかったこと、次回に向けた課題などを
膝を突き合わせてしっかり共有していくのです。

時間で言えば10〜15分ほどですが、研修期間と試用期間の2ヶ月半、
週2回で勤務すれば20回も1on1を行う計算になります。

これだけやれば、通じ合えるものも増えてくるのではないでしょうか。


また、社員自体が憧れられる存在になることも必要です。

「◯◯先生、すご!」と(口に出さなくても)思われるぐらい、
教室では私たちが輝いている必要があります。

その輝き方は塾さんによってそれぞれだと思いますが、
間違っても「◯◯先生、いつもサボってスマホ触ってる」や「楽しくなさそう」と
感じられてしまうようなことはないようにしましょう。



(3)いきいきと働いてもらう

何にせよ、人は「楽しい」と感じるものには、時間を忘れてのめり込みますし、
優先順位が高くなります。

そうした「いきいき感」を自塾の仕事の感じてもらえるかが大切です。

そのためには、担当生徒のことを相談し合うなど、
サークルの延長のようなイメージで楽しい職場環境を作り、
学習指導に対して責任感を抱けるようにすることをお勧めします。


この際、いわゆる“やりがい搾取”にならないように、
責任を持って取り組んだり、しっかり結果を出せたりした場合は
きちんと評価することも欠かせません。

具体的には、感謝の言葉を伝えることと、時給のアップです。

弊塾では評価シートを作っており、そのシートをもとに時給アップの査定を行なっています。

講師にも評価シートを渡していて、
「次はこの項目ができるようになってほしい」など期待を込めて伝えています。


また、学生講師が「働き続けたい」と思ってもらえる
サービスや環境を作ることも重要でしょう。

例えば弊塾では、外部から講師をお招きして就活セミナーやマナー研修を実施しています。


近年は、入学と同時に就活や就職先のことも考える大学生も多いそうです。

だとするなら、就活や社会人になる際の役に立つ取り組みを行えば、
学生講師にとって魅力的な職場になると考えました。

ここまでやってくれるバイト先などそうないと自負していますし、
満足度が高まればより業務に意欲的になって、勤続も長くなり、
お互いにとってもメリットがたくさんあると自画自賛しています(笑)。


さらに、親睦会も定期的に行なっています(年3回)。

学生講師同士が仲良くなるきっかけにも、私たちと学生講師とが話すきっかけにもなります。


「最近の大学生や若者は飲み会なんて行かない」と思われるかもしれませんが、
それは厳密には違うんですよね。

正確には「飲み会に参加したくない」のではなく、
「しゃべりたくもないおじさんがいる、楽しくない飲み会には参加したくない」のです。

事実、弊塾の学生講師たちに聞いても、
飲み会自体はしょっちゅうあるし好きだと言っています。

私たち自身も魅力ある人間になって、
「◯◯先生がいる飲み会に参加したい」と思われるように努力する必要がありますね。



いかがでしたでしょうか。
全3回にわたってセミナーの要約をお伝えいたしました。

割愛した部分もまだまだありますが(なんせセミナーは80分ありましたので)、
かなりお伝えできたのではないかと思います。


講師応募が増え、きちんと研修することができれば、
あなたの気持ちに余裕が生まれますし、人選を妥協しなくて済みます。

妥協して採用してしまった講師を見てイライラすることもなくなりますし、
生徒さんや保護者さんからのクレームもなくなって、いいことしかないのです。

だからこそ、時間とお金と命をかけるだけの価値があると思います。

徹底的に講師応募の数を増やし、しっかり研修する仕組みを作ってみませんか?
間違いなく、毎日が楽しすぎる教室運営になるはずです。

みなさんの教室が素敵な学生講師でいっぱいになることを願っています!



【今回のまとめ】
・採用後も、人材をしっかり見極める時間を作る
・塾側も、信頼を得ることや、就業環境を充実させることへの意識を高める

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安多 秀司のアバター 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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