【Vol.863(2025.01.17)】教室運営に100%集中できない場合の対処例

私は良くも悪くも体育会系の気質があって、
「最後は気合と根性!」みたいな考え方をすることもあります。

「時間がないのは単なる言い訳!」
「やりたいことがあれば、時間を作ってやればいい!」
「結果を出したければ、経営者は頑張るべきだ!」

当メルマガでも、しばしばそんな激しい檄を飛ばしていますが、
改めて文面で見ると怖いですね(汗)。

ただ、最近はこの考え方と並行して、「とは言え」という考え方も大切だなと感じています。

育児、介護、自身の体調管理、パートナー(家族)との関係構築など、
仕事以外も大切なことがあり、そこに力を注がないといけない方も
たくさんいらっしゃいるはずです。

そんな方まで、寝る時間を削って仕事ばかりに時間を費やしてしまうと、
すぐに行き詰まってしまいます。

そうした方は、しっかりとバランスをとった教室運営をしていただきたいです。

私自身、幸いにしてまだ親の介護はしていませんが、
その必要性が出てきたら今のような働き方はできません。

そう考えると、今後の運営についても色々と思うところがあります。

例えば弊塾は年間355日開校していますが、
「本当にそれがマストなのか、自己満足ではないのか」などと思うこともあるのです。

私の知人でも、教室運営を頑張りすぎて
身体を壊しがちの個人塾経営者が何名かいらっしゃいます。

生徒さんのため、保護者さんのためという情熱に押されて、
ある意味で囚われて、無理しすぎておられるのです。

特に50代の先生方に多い傾向があります。

しかし、体調を崩して塾運営に支障が出れば、自身もさらにしんどくなりますし、
結局は生徒さん・保護者さんに迷惑がかかります。

そう考えると、体調を崩さない程度に、細く長く教室運営をすることも大切ではないでしょうか。

最近は、顧問先の塾さんにもこうした類のアドバイスをさせていただくことが増えてきました。

そこで、実際にどんな塾運営スタイルなら、
無理なく、かつ顧客満足度の低下を防ぐことができるのか提起してみたいと思います。

もし自分自身が親の介護がすることになった場合、
「こんなふうにすれば、自身の気持ちも少しは楽になるかな」という発想で考えてみました。

まあ、自分へのアドバイスでもありますね(笑)。

中にはすでに、実施しているものも一部あります。

なお、弊塾個人塾である都合上、個人塾向けの内容になることはご了承ください。

具体的には、おおむねこんなイメージです。

(1)開校曜日の1〜2日、通常授業がない日を作る
(2)土日の開校時間を短縮する(特別日だけ土日開校する)
(3)平日は16;:00出社、講習会は午後開校
(4)塾長の担当授業を減らす
(5)事務員さんを雇う

(1)開校曜日の1〜2日、通常授業がない日を作る

個別指導塾の場合、月曜日〜土曜日に通常授業を組まれているケースが多いと思います。
月曜日が休校日の塾さんは、火曜日〜土曜日ですね。

通常授業の生徒さんが毎日いると、当然ながら授業管理も毎日やる必要があります。

そんな中で生徒さんや学生講師が急に休んだりすると、
(仕方ないとは言え)心が削られる方もいらっしゃるでしょう。

そこで、週に1〜2日、通常授業を組まない日を作ることをお勧めします。

実際に弊塾でも、毎週水曜日は通常授業がありません。
その代わりに、少人数の授業を行なっています。

週に1日でも通常授業がなければ、授業準備を始め、
生徒さんや講師の欠席・欠勤に気をもまないで済む日が丸一日できますし、
いっそ、そのまま休校日にしてしまう設計も可能なはずです。

月曜日を休みにしている塾さんがまさにそうですね。

月曜日が休校日の塾さんでも、火曜日〜土曜日の中で1日だけ
通常授業を入れない日を作るのも良いかもしれません。

弊塾のように少人数授業を実施するもよし、休んだ生徒さんの振替実施曜日にしてもよし、
柔軟に対応することができます。

もちろん、そのぶん通常授業がある日に様々なものが集中するということでもあるので、
教室のスペースや講師数確保の問題は出てくると思いますが、
それをクリアできるようなら非常に運営しやすい仕組みとなるはずです。

(2)土日の開校時間を短縮する(特別日だけ土日開校する)

土日もずっと開校しておられる塾さんも多いと思います。

弊塾も週末は10:00〜19:00で開校していますが、
開校を午後からにして、13:00〜19:00に設定してみるのもアリだと思います。

午前中が空いているだけでも。だいぶ気持ちに余裕が持てますよ。

テスト前の土日だけ開校するのも一つの方法ですね。

「土日は朝から勉強したい!」という熱量の高い生徒さんが多数いる場合は、
スマートロックなどを導入して生徒さんご自身で解錠・入室してもらうやり方もあります。

ただし、セキュリティの強化は必須です。
防犯カメラの設置や警備会社との契約など、やるべきことはきちんと行ってくださいね。

一方、私が尊敬しているある塾長さんは、
「社員にはしっかり休んでもらって、プライベートを充実させてほしい」という考えで、
一貫して土日祝は原則休校にしています。

そのぶん、生徒さんが自宅で勉強してもらうためのアプローチや、
平日(通常の通塾時)のカリキュラムは、徹底して作りこんでいるそうです。

「土日に勉強したい(教室を使いたい)」という生徒さんは入塾に繋がりませんが、
このやり方で賛同してくれる生徒さんたちがしっかり集まってくれているので、
経営上もまったく問題なく回っていると言われていました。

それどころか、複数教室展開でどの教室も数千万円の売上を誇っておられますので、
机上の空論でも理想論でもないということです。

(3)平日は16:00出社、講習会は午後開校

一般的な個別指導塾の場合、出社時間は13:00〜15:00ごろかと思います。
夕方までは授業準備や事務作業などを行い、18:00ごろから授業という感じですね。

しかし、授業準備を前日に終えるとかか、
事務作業を軽減する(事務員さんにお願いする・Comiruを導入するなど)とかできていれば、
16:00出社も大いにありです。

テスト期間中などは13:00~14:00開校にすれば良いと思います。

業務効率を上げて単純に労働時間を減らすことができれば、
精神的にも肉体的にも、かなりゆとりが出てくるのではないでしょうか。

また、講習会期間中は午前中から開校されている塾さんも多いと思いますが、
午後開校という選択肢があってもいいかもしれません。

夏期講習・冬期講習がどうしても無理であれば、春期講習だけでも良いでしょう。

普段は22:00まででも、講習会期間中は20:30までにするなど、
「講習会期間中は終了時間を早める」のもおすすめです。

生徒さんや保護者さんへ告知し、意図をご理解いただいた上で準備すれば、
フルタイムで開校できなくても顧客満足度は下がらないと思います。

(4)塾長の担当授業を減らす

原則として個別指導塾の場合、塾長が授業を行う必要はないと思います。

たいていの場合「講師が足りずに入らざるを得ない」という理由でしょうが、
私たちおじさんおばさんより、歳の近い大学生の講師のほうが
生徒さんのモチベーションが上がる可能性が高いです(笑)。
(もちろん、若い塾長さんもおられるでしょうが)

また、塾長であるあなたが授業を担当すると、
塾長しかできない仕事がおろそかになるかもしれませんし、
教室全体を俯瞰できなくなって、退塾リスクも増えます。

講師が足りないのであれば、講師採用にお金と時間をかけて、
あなたが授業に入らなくてもいいようにするのが先決です。

自分が担当する授業が多すぎて、
自らの首を絞めている塾長さんもいらっしゃるかもしれません。

授業は講師にどんどん振る、塾長は運営に専念する、が基本ですよ!

(5)事務員さんを雇う

これ、めちゃくちゃお勧めです。

塾長さんが雑務もすべてやっている個人塾さんは多く、それはそれですごいですが、
やはり塾長は塾長にしかできない仕事をするほうが良いです。

個人塾で社員を雇うのはハードルも高いですし、何かと大変ですから、
子持ちのお母さんに、パートで入ってもらうなどがおすすめです。

勤務時間も午後から夕方までで大丈夫ですし、日頃から家事で慣れている方であれば、
教室もめちゃくちゃ綺麗に掃除してくださいます。

もちろん人選は、面接である程度見極める必要がありますが、
雑務などを片っ端から任せられる方であれば、かなり助かるはずです。

また、土日に勤務してもらえる方を雇えば、あなたが土日に出社する必要もなくなります。

仮に土日に出社する場合であっても、今までなら「生徒たちが待ってるから急がねば」と
常に時間に追われていたのが、「スタッフに任せて、自分は用事を済ませてから出社しよう」という余裕も持てるはず。

実際、今の私がまさにそうです。

その他にも、もし「塾長以外でもできる業務を塾長がやっている」部分があれば、
積極的に手を放していきましょう。

経営に集中したり、いざというときに臨機応変に動くためにも、
塾長の日常は、多少は手持ち無沙汰ぐらいでちょうど良いのです。

いかがでしたでしょうか。

縁起でもない例えで恐縮ですが、もしあなたの親御さんが急に倒れ、
今日いきなり入院や介護が必要になったとして、
あなたの塾は対応できるようになっていますか?

「イエス」と即答できるようになっておきたいところですね。

私自身も仕事をまだまだ抱え込む傾向があるので、
どんどん周りに振って。身軽になれるように心がけています。

【今回のまとめ】
・いい意味で手を抜けるところは抜く
・業務を抱え込まず手放すクセをつける

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安多 秀司のアバター 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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