【Vol.888(2025.04.16)】人気を集める塾さんの特徴

先日、弊社の有料会員・A塾さまの教室へ訪問させていただいたのですが、
そのとき感じたことなどをシェアさせていただこうと思います。

この塾長さんは大手個別指導塾のFCオーナーさんで、1教室を経営されています。

看板は大手FCではありますが、
塾長さんのカラーが全面に出た個人塾のイメージに近いです。

3月の時点ですでに生徒数100名を超えておられ、FC内では常に表彰されているそうです。

ちなみに社員さんはいらっしゃらず、
塾長さんおひとりで生徒数100名以上を管理されていると言うから驚きます。

詳細を伝えすぎるとどの塾さんなのかすぐにバレそうなので(笑)、
可能な範囲でお伝えしていきますね。

お話を聞いていても、とても共感できる部分や感心する部分がてんこ盛りで、
「そりゃ生徒さんがたくさん集まるよね」納得せざるを得ません。

私が理想とする教室像が目の前にあったとさえ感じます。

そんなA塾さんの強みとして私が感じた5つのポイントをまとめてみました。

(ポイント1)塾長自ら授業中のサポートを行う
(ポイント2)問題が起きたら、すぐに向き合って解決する
(ポイント3)自分が率先して動く
(ポイント4)講師やスタッフを巻き込む
(ポイント5)良いと思ったことはすぐに実践する

私なりの解釈で解説してみたいと思います。

(ポイント1)塾長さん自ら授業中のサポートを行う

塾長さん自ら、授業中は授業ブースを巡回し、
生徒さんの様子や講師との会話に聞き耳を立てておられます。

生徒さんの様子も把握できますし、楽しそうに会話しているかなども一目瞭然です。

講師がきちんと指導しているかも確認できますし、
講師の立場で考えれば、塾長が巡回していると背中がピンと伸びるでしょう。

緊張感を持った指導をしますので、変な方向に脱線しづらくなります。
もし脱線した場合でもすぐに塾長がサポートに入り、軌道修正することが可能です。

私も昔から、教室長や塾長は授業ブースを巡回してサポートに入る
「ダブルサポートシステム」を推奨してきました。

指導担当の講師と教室長が、生徒さんをダブルでサポートする仕組みです。

生徒さんの表情をたくさん見ることができますので、
例えばもし通塾時より帰宅時のほうが表情が曇っているなどした場合は、
授業に問題があった可能性が高い判断し、講師と話して改善に繋げることができます。

元気がなさそうな生徒さんがいたら、家庭連絡もすぐに対応できるはずです。

こうした積み重ねをされ続けることが、結果として満足度アップとなり、
良い評判や紹介を増やす要因になります。

授業中に塾長が巡回もせず、カタカタとパソコンを触っているようでは話になりませんよ!

(ポイント2)問題が起きたら、すぐに向き合って解決する

A塾の塾長さんは、何かトラブルが起きた(起こりそうな)際に、
先延ばしにせずできる限りすぐに対応されます。

例えば講師の指導がうまく、生徒さんが自分で考えてどんどん進めるようになったとき、
講師は良い意味で手持ち無沙汰になります。

場合によってはついウトウトしたり……

そうした現場を把握したら、すぐに
「生徒さんも先生と話すことを楽しみにしているから、
生徒さんの気分転換がてら、雑談を一つ二つ伝えてみるのはどう?」
などとアドバイスされています。

講師を責めずに良い方向に持っていかれるのが、マネジメントとしてもうまいですね。
私なら速攻で説教してしまいそうです(笑)。

「すぐにでも改善しないとマズイ」と感じられたら、
即座に応される姿勢が本当に素晴らしいです。

(ポイント3)自分が率先して動く

「まず何をするにしても自分から動きます」とおっしゃられていたのも印象的でした。

頑張る人を応援したくなるのは人間の本質です。

指示だけ出して「あとはよろしく」で済ませてしまう塾長さんもいらっしゃいますが、
誰よりも頑張る自分の背中をしっかり見せることで、
講師やスタッフも「塾長についていこう」「塾長をサポートしよう」という意識が強くなります。

塾長が自塾のビジョン達成に向けて率先して動けば、
自ずとみんなが同じベクトルで進んでくれるようになるでしょう。

スタッフを「信じて任せる」のはもちろん大事ですが、順番というものがあります。
こうした姿勢を見せるからこそ、そのような信頼関係も成立するのではないでしょうか。

(ポイント4)講師やスタッフを巻き込む

塾長と講師という立場の間に上下関係があるのは当たり前なのですが、
A塾長さんはできる限りフラットな関係で接しておられるように感じました。

それでも「最後は私が責任取るから」と覚悟を決めておられる部分も
講師やスタッフからするととても心強いと思います。

「私はちょっとこの作業は苦手だから、お願いできない?」と
講師の自己有用感が上がるような懐への入り方も本当にお上手です。

講師も、自分が承認され、尊重されているという実感を持てるでしょう。
「塾長にお願いされたらやりますよ!」と、協力的な空気を生むはずです。

同じ「指示」でも、誰に指示されるかはとても大切です。

みなさんも尊敬できる人からの頼まれごとなら進んでやるでしょうし、
嫌いな人や関係が薄い人にお願いされたら
「やらされている」というネガティブな受け止め方をしてしまうはずです。

日頃の人間関係の構築が、いざというとき塾長を助けてくれます。

(ポイント5)良いと思ったことはすぐに実践する

塾長さんから教室運営の相談を受けた際、
私も自塾の事例などを交えてアドバイスするのですが、
自分が良いと感じたことはすぐにそれを形にされます。

このスピード感と実践力は私も頭が下がるばかりです。

何度か当メルマガでもご紹介している弊塾の「英語教科書音読・暗唱講座」も
速攻で自塾なりの形にして実践されていました。

まずは私がお伝えしたやり方を完コピして1年間実施され、
その上で自塾にあった形でアレンジし、パワーアップした講座を作っておられます。

他にも弊塾で取り組んでいる「高3生の強制自習と、厳しいルールを盛り込んだ誓約書」、
「毎週の単語テストの実施」なども、すぐに形にしておられました。

0から1を作る大変さはみなさんもご存知の通りですが、
生徒さんの成績や志望校合格の可能性がアップするのであれば、
しんどくても信じてやり切る強さをお持ちなのです。

いかがでしたか?

今回はA塾長さんが日頃から気を付けておられる部分などをご紹介しました。

それぞれの取り組みは、塾経営の基本中の基本と言えばそうなのですが、
やはり当たり前のことを当たり前に続けられるのは素晴らしい強みです。

厳しめな目線でご自身を振り返ってみて、
「果たして自分はどうだろうか」と客観的に考える機会にしていただけると嬉しいです。

他塾さんの取り組みを「良いなと思う」と「実践している」はまったく違うものですから。

結局、生徒募集や退塾、講師が定着しないなどの悩みは、
塾長のアプローチ不足に起因するものが多いです。

塾経営において何かを「やった(やらなかった)」としても、すぐに目に見えた結果は出ません。

頑張って実践しても、今日いきなり生徒数が増えるわけではないですし、
「まあいいか」とサボっても、明日すぐに困ることはないでしょう。

いずれもそれが積み重なったときに、ボディーブローのように効いてくるのです。

思えば、個人塾の経営ほど公平な競争はないかもしれません。
それほど、属人性の強い部分でもあるとも言えます。

自分が丁寧に目の前の生徒さんや保護者にアプローチするか否かだけなのですから。

みんなで切磋琢磨して、生徒さんが辞めない教室を作っていきたいですね!

【今回のまとめ】
・アンテナ感度をどれだけ高められるか
・「やる」か「やらない」か、これに尽きる

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安多 秀司のアバター 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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