残念なことに、また学習塾の品位を下げるニュースを目にしました。
東京の塾経営者の男が、女性バイトスタッフの体を触って逮捕されたというものです。
報道された内容では、アルバイト初日の10代の女性(多分大学生でしょう)と、
2人きりで食事し、その後カラオケに行って犯行に及んだとのこと。
アルバイトの女性の立場で考えると、
ただでさえ相手は塾長、自分はバイト初日という環境で、本当に怖く辛かったはずです。
現時点では容疑を否認しているとのことで確定めいたことは言えませんが、
もし事実が報道の通りだとして、自分の娘が同じ目に遭ったらと思うと
怒りを抑えることができません。
生徒さんを盗撮して捕まる事例など、塾長や塾関係者の性的不祥事は後を絶たず、
塾講師という仕事、あるいは塾業界の魅力(人気)が低くなってきているのは、
こうした事件の影響も少なからずあるのではないでしょうか。
容疑者自身は自業自得だとしても、容疑者の家族、まっとうに頑張ってきた同僚や講師、
塾を信じて通ってきた生徒さん、その保護者さんにだって影響は及びます。
とにかく、せっかく積み上げてきた実績や信用もすべて水泡に帰し、
最悪の場合は塾本体が吹き飛ぶことになるでしょう。
今回は、この報道から私たち塾長や教室長が講師・スタッフにどう接するべきか、
改めて私の考えを中心にまとめてみたいと思います。
いずれも当たり前と言えば当たり前の内容ばかりですが、
自塾や自分の大切な人を守るためにも、客観的に自身を振り返ってみましょう。
なおここでは、一般的な性的志向の塾長・教室長が、
同じく一般的な性的志向を持つ異性の講師やスタッフに接することを前提としたものです。
性的マイノリティの場合はまた違う対応も必要でしょうが、
それはまた別の機会で深く掘り下げてみたいと思います。
さて、私が異性の講師・スタッフへの接し方で、特に気をつけているのが以下の五つです。
(1)異性の講師・スタッフは、食事等に誘わない
(2)異性の講師・スタッフに食事等に誘われた場合、複数人で行く
(3)異性の講師・スタッフに、「かわいい」と言わない・LINEで送らない
(4)異性の講師・スタッフと、物理的な距離感を保つ
(5)異性の講師・スタッフからの相談は、女性教室長に任せる
(1)異性の講師・スタッフは、食事等に誘わない
私は、女性の講師・スタッフを食事やカラオケ、遊びに誘うことはありません。
雇用者と被雇用者の関係上、スタッフは誘われたら断りづらい場合もあります。
ましてや女性を食事に誘うなんて、そもそもリスクのオンパレードですし、
シンプルに「女子大学生が自分みたいなおじさんと食事にいきたいか」と考えたら、
普通は誘わないはずです(笑)。
自身の立場を利用して、異性と食事をしたい・しゃべりたいなどという
不純な下心があると見なされても仕方ありません。
自塾は決して無料のキャバクラではないのですから、
異性とおしゃべりしたければ、お金を払って専門のお店にいきましょう。
逆に男性スタッフであれば、誘うことはあります。
今でもたまに、月に1回程度、勤務後に松屋や王将などに連れて行きます。
私が同性愛者ではないことも要因の一つではありますが、
基本的な理由としては、単純に彼らのお腹をいっぱいに満たしてあげたいからです。
彼らも「お腹いっぱいご飯が食べれるなら、いきます!」というスタンスをとってくれています。
(2)異性の講師・スタッフに食事等に誘われた場合、複数人で行く
女性の講師・スタッフも、塾長である私に気を遣ってか
「ご飯連れて行ってください」と言ってくれたこともあった気がします(記憶はほぼない・笑)。
ただその場合でも、「ありがとうございます。嬉しいです!ぜひまた今度」と
流してしまうようにしています。
しばらくして「食事の件、どうなりました?」と聞いてくるようなスタッフはいなかったですし、
万が一食事をする流れになった場合でも、男性のスタッフに声掛けをして、
複数人で行けるようにセッティングします。
とにかく、異性と2人きりになる環境を作ってはいけません。
当メルマガでも何度か伝えしていますが、
男性講師と女子生徒を2人きりにするのは危険だというのと同じ構造です。
男性講師・スタッフを加えて、みんなでワイワイするのが確実ですね。
ちなみに、開業前に勤務していた塾の卒業生(女子)から、
卒業して5〜6年後ぐらいに「社会人になったので、ご飯でも連れてってください!」と
急に連絡を受けたことがありました。
このときも適当にかわしていたのですが、珍しく何度も声をかけられたので、
何だか嫌な予感もして、講師2名を誘って会食することに。
結果、変なサプリを売られそうになりました(笑)。
やはり、特に親しいわけでもない相手から急にくる連絡はロクな内容じゃないですね……
(3)異性の講師・スタッフに、「かわいい」と言わない・LINEで送らない
これは「誤解させない」と言う理由がすべてです。
例えば、髪を切ってきた女性講師・スタッフに対して、単なる誉め言葉のつもりでも
「かわいい」と言ってしまうのはセクハラと捉えられる場合があります。
また、「かわいい=私に興味を持っている」と
不要な勘違いをさせてしまうリスクも避けることができます。
対面で伝えるのも、LINEなどで送るのも同様ですよ。
特にLINEなどの場合は履歴が残りますし
「かわいいね」という部分だけ切り取られて拡散してしまっては後の祭りです。
いくら弁明したところで、「塾長キモい」「こんなところで働きたくない」などと
炎上するのは目に見えています。
私は髪を切った女性講師・スタッフに何らかの誉め言葉を伝えたい場合は
「似合ってますね」と言うようにしています。
髪型が変わったことに気付いていてまったくその話題に触れないというのも
コミュニケーション上どうかと思いますし、無難な鉄板ワードとしておすすめです。
これは女子生徒に対しても同じですし、
他者の「変化」に気付けるアンテナはきちんと張っておきましょう!
(4)異性の講師・スタッフと、物理的な距離感を保つ
女性の講師・スタッフと話す場合は、男性の講師・スタッフと比べて
5〜10センチほど離れて話すように心がけています。
距離が近すぎると、緊張感や圧を与えてしまいかねません(特に異性に関しては)し、
万が一、誤って触れるようなことがあったら大変です。
「似合ってますね」フレーズと同様に、心理的にも物理的にも、
一定の距離感を保っておくのが大事だと思います。
ポイントは「自分は不快な匂いを醸し出しているかも」と
自分に厳しく考えるようにしておくことです。
自然と、一定の距離を保つことができます。
(5)異性の講師・スタッフからの相談は、女性教室長に任せる
弊塾は女性の教室長がいますので、女性講師・スタッフの悩みなどは、
すべて女性教室長に対応してもらっています。
同性同士だから話せる悩みもあるでしょうし、言いやすいこともたくさんあるはずです。
教室にいる社員(教室長など)が異性だけの場合は仕方ありませんが、
その場合でも、マネージャーや役員に同性がいれば、
相談できる仕組みを作っておくのも良いと思います。
講師・スタッフも安心して働きやすくなりますし、心強いはずです。
そうした形を作れない場合は、2人きりで相談する環境にせずに、
他の社員スタッフなどを交えて、複数人で話せるようにすることをお勧めします。
いかがでしたでしょうか。
立場を悪用するのは論外ですが、気を付けたいのは「そのつもりがない」のに、
不要な誤解や不快感を与えてしまうことです。
それを未然に防ぐのが「仕組み」ですし、
できるかぎり異性に対する配慮を行う環境は作れるはずです。
性的なトラブルについて、魔が差さないのは当然ながら、
魔が差せない環境作りをすることも、塾長に求められる大切な仕事ではないでしょうか。
みなさんのご意見も聞かせていただけると幸いです!
【今回のまとめ】
・異性の講師・スタッフには細心の注意を払う
・雇用関係がある中では、雇う側が優位に立ちがち