【Vol.939(2025.09.19)】どうすれば教室内のわいせつ犯罪をなくせるのか

ご存知の方も多いかもしれませんが、
先日、個別指導塾の教室長による生徒へのわいせつ行為で、逮捕事案が発生したようです。

本人も認め、勤務先の会社が謝罪コメントを出していることから、
事実であると判断し、当メルマガでも引用する判断をしました。

生徒さんがカウンセラーに相談したことから発覚したそうですが、
本当に勇気を出して言ってくれたと思います。

一方で、容疑者に関しては同情の余地もありませんし、厳しい罰を受けるべきでしょう。

もちろん、小児性愛などの性的志向と、犯罪行為は分けて考えるものです。

問題は、こうした性犯罪傾向がある人間が簡単に塾関係者に簡単になれてしまうこと、
事前にそれを完璧に見抜くのは実質的には無理だということでしょう。

そこで、そのリスクを想定した上でいかに予防策を講じるかが大事になってくるわけですが、
これをテーマに、2ヶ月ほど前の当メルマガでも取り上げたばかりでした。

【安心して通わせられる塾になるために(2025.07.09配信分)】
https://r-partners.jp/1670/

(1)防犯カメラの設置
(2)男女別のトイレの設置
(3)女性スタッフの存在

などを強化することによって、未然に防ぐように心がけましょうといった内容です。
よろしければ1度ご覧ください。

上記記事でも取り上げていますように、
さまざまな対策の中でも防犯カメラは必須だと思っていますが、
今回の事件はどうやら防犯(監視)カメラが教室内にあった中での犯行だったようです。

【やる気スイッチグループが謝罪、元従業員「不同意わいせつの容疑」 監視カメラ等“対策”も】
https://news.yahoo.co.jp/articles/caefde7c516443ea25cdcacea4f11940c4c56942

相応の対策をしていたにも関わらず、発生してしまった――

運営会社側としては痛恨の極みだと思いますが、事実として発生してしまった以上、
まだどこかに“穴”があったのかもしれません。

これを他人事とせず、同じような事例が出ないためにも、
自塾を振り返る機会にしてみませんか。

それにしても、なぜカメラがあったのに事件が起こってしまったのでしょう。

推測の域にすぎませんが、もしかしたら防犯カメラに死角があり、
その死角を理解・把握した上での犯行だったのかもしれません。

だとすると、防犯カメラを設置するだけでは不十分であり、
さらなる対策が必要だということになります。

考えられる対策としては、以下あたりでしょうか。

(1)死角のないように複数台カメラを設置する
(2)録画機能付きのカメラを設置する
(3)個別指導特有の衝立(ついたて)をなくす
(4)座席表の管理をマネージャーやオーナーが行う
(5)教室長や社員は異性の生徒さんを担当しない

それぞれ、もう少し詳しく解説してみます。

(1)死角のないように複数台カメラを設置する

今回、カメラが教室内に何台設置してあったかわかりませんが、
死角の中での犯行だったとすると、まずは設置台数を増やして死角をなくすことでしょう。

パーテーションなどで授業ブースが死角にならないよう、設置場所にも工夫が必要です。

ちなみに弊塾は18坪ほどの広さで、
死角がないよう教室内にカメラを5台設置しております。

(2)録画機能付きのカメラを設置する

防犯カメラは録画機能が必須です。

リアルタイムで状況を確認するだけ(録画機能なし)のカメラだと、
もはや単なるダミーに等しく、防犯性能は大きく下がってしまいます。

録画機能がなければ証拠を残せず、
「やった」「やってない」の水掛け論になってしまう可能性もあるでしょう。

1週間~10日は常時録画できるようなカメラを設置しておくことが大切です。

本当にやっていない場合の冤罪防止にもなりますので、
必ず録画機能を搭載したいところです。

(3)個別指導特有の衝立(ついたて)をなくす

個別指導塾に多いのが、席ごとの衝立(ついたて)による仕切りです。

「ザ・個別指導感」は出ているのですが、極論を言えば衝立は不要だと思います。
集団授業で使用する机でも十分です。

静かな環境や生徒さんが集中できる授業ができれば、周りの声も気になりません。

防犯面から言えば、衝立があればあるほど死角とリスクが増えます。

「個別指導ブースは衝立があるのが普通」みたいな習慣は、
24年間この業界にいて私も理解していますが、弊塾でも10年ほど前に、
「いらないんじゃないの?」とふと思いたち、思い切って取り払ってみました。

その結果、かなり見通しも良くなりましたし、
防犯カメラからの映像も学校の教室を映しているようなイメージで、
めちゃくちゃ見やすいです(笑)。

教室も広く感じることができますし、個人的には本当に不要だと思いますよ!

(4)座席表の管理をマネージャーやオーナーが行う

座席表の管理は基本的に教室長が行っていると思いますが、
この権限を教室長ではなく、マネージャーかオーナーが持ってみましょう。

教室長が悪意を持ってこれを操作することも可能だからです。

例えば、自分の好みの生徒さんの授業予定を他の生徒さんがいない日や講に持っていき、
「講師がいないからしょうがなく自分が」と、担当するなどできてしまいます。

個別指導塾の多くは1教室1社員が基本です。

この密室性を防ぐためにも、web上でマネージャーやオーナーが
座席をチェックできる体制を作ったり、座席表をスプレッドシートで共有したりなど、
全権を教室長にもたさないことが大切です。

(5)教室長や社員は異性の生徒さんを担当しない

どんなことがあっても講師と異性の生徒さんは担当しないルールを徹底できれば、
こういった犯罪は起きにくくなります。

入社の段階で契約書に
「異性の生徒は授業を行わない。行なった場合、減給・降格・解雇とする」
という文面を入れるだけでも効果的です。
(実際に解雇まで断行できるほどの法的拘束力があるかは分かりませんが)

確かに、講師不足で社員が授業に入らざるを得ななかったり、
急病で休むことになった講師の代講をせざるを得なかったりなどはよくあることでしょう。

同性愛傾向を持つ講師だっていると思いますし、
性差で担当を分けても完璧に防げるわけではないかもしれません。

しかし「このような取り組みをしていますよ」とアピールするだけでも、
生徒さんや保護者さんからの安心を得ることはできるのではないでしょうか。

いかがでしたでしょうか?

人それぞれの性癖は様々ですから、それは自由です。
ただ、犯罪行為は言語道断ですし、生徒さんを対象にするなど許せるはずがありません。

また、個別指導という構造に隙や問題が多くあることも課題です。
こうした犯罪の多くは、個別指導で起こっている比率が高いように感じます。

99.999%のまともな私たちが、こうした取り組みを積み重ねていくことで、
業界内の悪しき構造や慣習を変えていくしかありません。

度重なる学習塾内の不祥事で、全国の保護者さんも
「我が子が通っている塾は大丈夫なのかしら」と必ず思っているはずです。

【今回のまとめ】
・防犯カメラを取り付けるだけではダメ
・生徒さんや保護者さんは塾に不安を感じている自覚を

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安多 秀司のアバター 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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