【Vol.956(2025.11.19)】未入金は百害あって一利なし

今回は、未入金について考えてみたいと思います。

過去にもお届けした内容ですが、塾経営とは切り離せないとても大切なテーマです。
ぜひみなさんにお読みいただきたく、リバイバルでお届けいたします。

さて、未入金は、お月謝として「こちらがいただく」場合でも
業者さんなどへ「こちらがお支払いする」場合でも発生しうるものです。

そこで、両方の立場から未入金について考えてみましょう。

まずは、お月謝などお金をいただく立場にあるケースです。

お月謝の口座振替を行っている場合、
未入の原因はその大半が口座の残高不足によるものです。

弊塾では毎月20日(土日祝の場合、翌営業日)を口座振替日としており、
20日に引き落とせない場合、25日に再度振替を行うよう設定しています。

20日に振替が確認できなかった場合、
LINEや塾運営システム「Comiru」を利用して、当日にはご家庭へ連絡し、
25日の再振替に間に合うよう24日までにご入金をお願いしています。

たまに「忙しくて、入金する時間がない」という反応もありますが、
「代わりに私がご自宅までお月謝をいだだきにあがる」旨を伝えれば、
たいていお支払いいただけます。

そもそも、ほとんどが口座への入金忘れなどの「うっかり」ですので、
このやりとりをすることで大半が問題なく解決するのですが、
それでも入金が滞ることもあります。

これが毎月続くと、ツケが積もり積もって支払いができなくなる恐れも。

もしくは生徒さんが急に塾に来なくなり、そのまま焦げついて……
という最悪のパターンも考えられるでしょう。

年1〜2回程度、クライアント塾さんや他塾さんから、
「焦げ付いて回収できなかった」とお聞きすることがあります。

弊塾では、焦げつかない取り組みとして、未入金が2ヶ月続いた時点で、
生徒さんの通塾を断るようにしています。

たいへん心苦しいのですが、生徒さん本人にその事実を伝えます。

かなり言葉を選び、申し訳ないという謝意を織り交ぜつつ

・お月謝を2ヶ月間滞納されている状態であること
・支払うのはお父さんやお母さんであって、あなたに責任はないこと
・ルールとして、2ヶ月滞納した場合、通塾ができない決まりになっていること
・支払いが完了するまで、通塾を控えてほしいこと

を理路整然と伝えています。

「生徒さんに言うのはどうか」というご意見はよく分かります。

しかし、これは弊塾の方針として、家族である以上、
連帯して事実を知っておくべきだという考えです。

きちんとお支払いしてくださっている方に説明がつきません。
本当に心が痛みますが、ブレないよう心がけています。

弊塾は開業して18年になりますが、こうした早め早めのリマインド連絡や、
必要に応じた厳しい対応を実施していることで、
幸いにして未入金のお月謝が焦げ付いたことが1度もありません。

また、そもそも未入金(特に悪意のあるもの)が続く場合、こちらも人間ですから、
その保護者さんに対して良い印象を持つことができなくなりますよね。

こちらとしては「塾のことを軽視されているんじゃないか」と思ってしまいますし、
保護者さんからしても「また催促の連絡がきた! しつこい!」
「お金、お金ばっかり!」と感じられるかもしれません。

結局は、未入金が原因で信頼関係が破綻し、お互いがいやな思いをするのです。

別の言い方をすれば、未入金さえ出さなければ、
そもそも起きない問題だと考えることもできるわけで、
信頼関係も築けたままです。

もし、みなさんの塾で未入金で悩んでおられるのであれば、
日頃のコミュニケーション不足なども含めて、
今の支払い方法のオペレーションに問題がないかを考えることも大切かもしれません。

未入金を発生させない支払い方法を確立するということですね。

例えば最近では、「Comiru」さんをはじめ、
クレジット決済ができる教室運営システムが色々と増えてきました。

保護者さんがクレジットカードを解約しないかぎり、確実に決済することが可能です。

システムによっては手数料が2~3%かかりますが、年々値下がりしてきています。

未入金の連絡をする労力や、双方の心理的ストレス、信頼関係が壊れることを思えば、
数%の手数料を支払う価値は十分にあるのではないでしょうか。

口座振替や現金袋が中心の塾さんであれば、
教室内でクレカ決済できる仕組みを作っておけば、面談などで来られた保護者さんに
「あっ、先月分の授業料が未納となっておりますので、
今ここでクレカ決済させてもらってもよろしいでしょうか」とさらっと伝えるのも有効です。

高確率で、財布にはクレジットカードが入っていますので。

次に、こちらが支払いする立場にある場合を考えてみましょう。

まず「こちらが支払うお金」について未入が発生すればどうなるかは、言わずもがなですね。

そう、当たり前ですが「信頼」を一瞬で失います。
今までコツコツと積み上げてきた信頼があっという間に崩れ去るのです。

家賃、教材、模試、ICTツール、など、
さまざまなサービスの対価への支払い義務がありますが、
それが滞ると先方は多大な迷惑を被ります。

社員スタッフや学生アルバイトに支払う給与も同様です。

例えば、業者さんへの支払いが1日遅れて着金したとしましょう。

「1日ぐらい、いいじゃないか」と思われますか?
実際に先方も気を使って「1日くらいいいですよ」と言ってくれるかもしれません。

しかし、その考え方は改めることを強くお勧めします。

先ほどのお月謝の未入金があったケースと、逆の立場で考えてみてください。

業者さんも強くは言ってこないにせよ、
内心では「あの塾さんは支払いが毎月ルーズだなあ……」という印象が蓄積されていきます。

これが、今後の取引にプラスに働くかマイナスに働くかは一目瞭然ですよね。

人間同士の関係性ですから、どうしても感情が働きます。

例えば「いい情報があるけど、あの塾さんには教えたくないな」
「あんまり値引きしてあげたくないな」と思われるかもしれません。

当然の心理だと思います。

確かに保護者さんと同様、私たちも「ついうっかり」ということはあり得ます。

これだけ言っている私も、正直なところ1〜2年に1回程度、
振り込み忘れをしてご迷惑をおかけすることもありました。

ただそのときに、「本当に忘れてただけなんだな」という印象になるのか、
「また忘れてたのか(嘆息)」となるのか、その違いの分かれ目も、
日頃から当たり前のことを当たり前にやり続けているかどうかです。

支払いに関しては、遅かれ早かれどのみちお支払いする義務のあるお金なのですから、
早めに振り込む習慣をつけるに越したことはありません。

請求書が届いたらすぐに振り込むという習慣の塾さんもいらっしゃると思いますし、
とても素敵な取り組みだと感じます。

ちなみに私の場合、月末期限の支払いは、
月末ギリギリではなく、毎月20日~25日の間で済ませるよう心がけています。

支払期限最終日に慌てて振り込もうとして、
「口座番号が分からない」「銀行支店名が変わった名前で読めない」
「請求書がない」など、小さなトラブルが起こるかもしれませんしね。

とにかく、結果として同じ金額を払っているのに、たった数日で、
相手に与える印象が真逆になるのはもったいないと思いませんか?

銀行に行かずとも、ネット振り込みもできる時代です。

早め早めの入金を心がけておくことで、
取引先の担当者さんにも「この塾さんは信頼できる」と感じていただけますし、
「あの塾はしっかりしているから我が子を通わせよう」
「我が子の進路相談に乗ってもらおう」なんてこともありえます。

もちろん逆だってあるはずです。

取引先と言えども、いち消費者であり、いち人間であることを忘れてはいけません。

支払いする側・される側の両側に私たちはいますが、
まずは自らが襟元を正すことが大事です。

自分は支払いが遅れているにも関わらず、保護者さんには「しっかり支払ってください」なんて
どの口が言うかって話ですよね。

いずれにせよ、期日までに「確実に」入金することは、取引における最低限のマナーです。

未入金は百害あって一利なし!

未入金ゼロで2025年を終えたいですね。
私は絶対に終えますよ!

【今回のまとめ】
・月謝の未入金は、生徒さん・保護者さん・私たち、全員が疲弊する
・業者さんへの支払いは早めに済ませる習慣をつける

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安多 秀司のアバター 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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