【Vol.703(2023.06.28)】映像コンテンツ、本当にあなたの教室に必要?

今回は、映像教材について思うところを。

一部、否定的な表現をしているところもありますが、
映像教材やそれを使うこと自体を否定しているのではありませんので、
悪しからずご了承いただけますと幸いです!

さて、多くの塾さんが何らかの映像コンテンツを利用されています。
確かにとても便利ですよね。

しかし、本当にうまく活用できている個別指導塾さんは、
導入塾全体の2~3割程度ではないかと感じています。

もしかすると、もっと少ないかもしれません。

具体的に言うと、他塾さんの多くが利用しているからなのか、「とりあえずウチも」と、
単に「お守り」のような感覚で導入されている塾さんが多いと感じます。

あなたの塾では、映像コンテンツを上手に活用できていますか?
毎月、管理費だけ支払う感じになっていませんか?

映像コンテンツは、なくても意外とやっていけます。
実際に弊塾では、ほとんど映像コンテンツを使わなくなりました。

理由は簡単で「使わなくても問題なく教室運営ができる」からです。

映像コンテンツに関しては中学生と高等生で使い方が変わってくると思うので、
少し分けて考えてみますね。

まず中学生の場合、数学や英語よりも、理科や社会で利用する塾さんが多いと思います。

数学と英語はリアル授業で個別指導を行い、
理科と社会は映像を利用して少人数制の自立型指導にしたり、
自習の際に使ったりという形ですね。

「理社セット月○○円」といった形の追加オプションや、
「5教科セット(数英は個別、理社は映像、国はテキスト配布)で○○円」といった
オールインパッケージとして設定されている塾さんも多いかと思います。

もちろんこれでうまく回っているのであれば問題ありませんが、
もしそれらのオプションやパッケージの受講者が1~2名だとか、
視聴IDだけ渡してほぼ放置している状況なのであれば、
1度見直されたほうがいいと思います。

1~2名しか受講しない講座が、本当に必要なのかということですね。
(「一人でも必要とする生徒さんがいるのであればそれに応える」という心意気とはまた別で)

また、IDだけ渡して「あとは自分でやっといて」で、
本当にちゃんとやる中学生がどれだけいるでしょうか。

それに、お金をいただく以上、きちんと進捗管理はするべきだと思います。

もし、このような状態に陥っているのであれば、
正直なところ映像コンテンツを導入しなくてもいいのではと思います。

受講者が1~2名であれば、映像ではなく個別指導をすれば良いだけですし、
1:2がメインの個別指導塾でも、理科と社会は1:4~6の少人数の形式をとり、
テキストを使って進めたらいいだけです。

映像のコンテンツ費用も掛からなくなるので、支出削減にもなります。

業務の効率化という点でも、映像コンテンツをやめて、
すべて個別指導に切り替えるという選択肢は大いにありです。

続いて高校生の場合です。

高校生に対する映像コンテンツの導入理由の一つが
「高校の教科指導ができる講師がいないから」だと思います。

しかしあえて厳しく、かつ顧客(保護者さん)目線で考えたとき、
そもそも高校数学や高校英語を指導できる講師がいないのに、
高校生を受け入れている塾さんって大丈夫なのと思われても仕方ありません。

自塾にはそのスキルはないですよ、と公言しているようなものですからね。

指導できる講師がいないために「この映像コンテンツを見ておきましょう」では
サービス業として役目を果たせていないと言えます。

もし、指導できる講師がいないのであれば、
せめて塾長であるあなたがそのレベルまで指導スキルを高めるのが筋ですし、
どんな手を使ってでも、高校生を指導できる講師を採用&育成しなければなりません。

とにかく「高校生は個別指導ができないから、映像コンテンツに頼る」というのは
個人的にはどうかと思います。

これは中学生にも言えることなのですが、
勉強が苦手と言われる層(偏差値で言えば40台)に、
一方通行の映像コンテンツを使ってもなかなか効果が上がりにくいものです。

映像を見てはいるけど頭に入っていなかったり、寝てしまったりするケースが多いです。

逆に、自分で勉強のやり方を確立できている、
あるいは計画も自ら立てて進めることができるといった層(偏差値60台)なら、
映像コンテンツもうまく取り入れて自分のものにできると思います。

したがって、平均点前後の生徒さんが多い一般的な個別指導塾さんでは、
映像コンテンツとの親和性はそもそも低いと私は感じています。

一方で、映像コンテンツをうまく活用しておられる塾さんももちろんあります。

そうした塾さんに共通しているのは、映像教材を使った少人数指導や管理型の仕組みを作り、
映像コンテンツを「しっかり見ざるを得ない」環境を整えていることです。

そして、それが一定の形になるまでも、非常に手間暇がかかります。
うまく活用されている塾さんは、この手間暇を惜しまないのです。

少なくとも、先述したような「とりあえずこれを見て勉強しなさい」ではありません。

映像コンテンツを提供していらっしゃる会社さんは、
「導入すると、教室運営が楽になる」とアピールされていることが多いです。

そして、それは間違いではありません。

「生徒さんに丸投げできるから楽」という意味なのでしょうが、
そこまで持っていくための制度設計には、
努力と工夫と手間暇が必要であると理解しておかないといけません。

繰り返しになりますが、映像コンテンツ自体が良くないと言っているのではありません。

本当に面白い映像もたくさんありますし、
生徒さんの集中力に合わせて1講座5分ほどに短くしたり、
映像とテストがセットといった工夫されたものがあったりなど、とても充実しています。

だだ、あなたの塾に必要かどうか、使いこなせるかどうかは別問題。

「使うならきちんと使い込む」「中途半端になるくらいなら導入しない」、
これくらいでちょうどいいと思います!

【今回のまとめ】
・自塾に映像コンテンツが本当に必要かどうか再考してみる
・映像コンテンツをうまく活用できれば、飛躍的に学力アップの可能性も

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安多 秀司のアバター 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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