業務改善を図る手法として「PDCAサイクル」は有名ですね。
Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)をぐるぐる回していくというやつです。
PDCAサイクルのメリットは、やるべきことが明確になることや、モチベーションの向上、
サイクルを回すことで経験値を得るたといったところでしょうか。
一方でデメリットは、時間がかかりすぎたり、
サイクルを回すことが目的化してしまったりすることでしょうか。
あとは、過去の経験から次の計画を練っていくのが基本になりますので、
変化の激しい現代にはマッチしない、あるいは想定外のできごとに対応しにくい
といった面も考えられます。
そこで最近、「OODA(ウーダ)ループ」という、
スピード感を持って意思決定できる思考法が注目されているそうです。
私も最近知りました。
OODAループは、個人の裁量で現場判断ができ、素早く行動できるのが特徴です。
今回は、そんなOODAループの考え方を一緒に学んでみましょう。
私も勉強中ですので解釈が不完全な部分があるかもしれませんが、ご容赦ください。
「OODA(ウーダ)ループ」とは、下記の4サイクルで
ビジネスやプロジェクトを回していくフレームワークです。
(1)Observe(観察):客観的な現状の把握、情報の収集
(2)Orient(状況・方向性):把握した現状から、課題を明確にする
(3)Decide(意思決定):現状が変わらないうちに、対策を考え決定する
(4)Action(実行):対策を行動に移し、状況の変化を再びObserve(観察)する→(1)に戻る
私はこの「OODAループ」が、これからの教室運営に役立つのではないかと考えています。
例えば、こんな感じで活用できそうです。
【事例1】
・Observe(観察)
7月に想定の2倍、20名の入会があった。
夏期講習の空き枠を確認する。
↓
・Orient(状況・方向性)
夏期講習期間中、空いている座席を確認したら、15名までは対応が可能。
だが、5名を入れる枠が足りない。
↓
・Decide(意思決定)
講師に理由を説明し、夏の間、勤務日数や1日あたりの勤務コマ数を増やしてもらう。
社会人になった元講師に連絡を取り、副業としてヘルプに入ってもらう。
↓
・Action(実行)
講師が勤務日数や1日あたりの勤務コマ数を増やしてくれた。
2人の元講師がヘルプで入ってくれることになり、枠をカバーできた。
↓
・Observe(観察)
枠をカバーでき、夏期講習期間中はやりくりが可能。
↓
・Orient(状況・方向性)
しかし9月以降、講師の数が足りない。
↓
・Decide(意思決定)
8月中旬までに3名の講師を採用するため、求人広告を出す。
↓
・Action(実行)
8月中旬に採用と研修を行い、9月以降の授業にも対応できた。
【事例2】
・Observe(観察)
ここ半年、毎月1〜2名の退塾者が出ている。
非受験学年だけでなく、受験学年でも退塾が出ている。
↓
・Orient(状況・方向性)
退塾生のほとんどが成績アップしていない。
↓
・Decide(意思決定)
成績アップするために、特別講座を開講する。
↓
・Action(実行)
毎週月曜日に「計算&英語教科書暗記講座」を開講。
↓
・Observe(観察)
以前より退塾者は減ったが、まだ完全ではない。
↓
・Orient(状況・方向性)
退塾生の保護者とコミュニケーションが取れていない(関係性が薄い)ことが判明した。
↓
・Decide(意思決定)
最低でも月1回は電話やLINEで家庭のフォローを行う。
↓
・Action(実行)
毎月、連絡リストを作成。リストで連絡状況を把握する。
これってとても個人塾向きだと思いませんか?
当メルマガでも繰り返し「個人塾は小回りが効きやすいことが強み」とお伝えしていますが、
それを体系化したものとも言えます。
もちろん、個人塾だけでなく、学習塾全般で有効な手法だと思いますが、
組織規模が大きくなればなるほど、扱いにくくなりそうだと感じています。
また、PDCAとの使い分けも大切です。
PDCAは、そもそも品質管理や生産管理を目的としており、
状況が変わらないことを前提に、事前に目標を定めてから計画を立て、
実行した上で業務改善を図るアプローチです。
一定の条件のもと、継続的な業務改善が必要な、中長期的戦略において有効になります
一方で、OODAは意思決定が目的であり、イレギュラーな対応や新規事業など、
即時対応や臨機応変さが必要な場面に適しています。
状況変化が頻繁に起こり、先の読みにくい状況において効果的な手法です。
どちらが良い・悪いではなく、目的に応じて使い分けるとよいと思います。
いかがでしたでしょうか。
同じ方向にぐるぐる回るPDCAサイクルとは異なり、
必要に応じた箇所へ変化しながら小回りが利くのがOODAループという感じですかね。
この小回りを利かせまくることで、個人塾はスピード感を持って変化を続けていけるはず。
周りの塾(特に大手)さんの2倍のスピードで行動していけば、
どちらが有利になるかは一目瞭然です。
恥ずかしながら私自身、いまだに感覚で仕事をしている部分も多々あります。
しかし、その感覚が間違っていることもあるでしょうし、
年齢とともに感覚がズレて時代と合わなくなっていたり、衰えたりすることもあるでしょう。
今後はOODAループにしっかりはめ込んで、目に見える形にしていきたいと思います。
もちろん、PDCAサイクルも大切な仕組みですから、合わせて活用していきます。
【今回のまとめ】
・感覚でやっていたことをOODAループに落とし込む
・OODAとPDCAの両方をうまく併用する