【Vol.743(2023.11.15)】1:2の個別指導塾で、1:1コースの作り方

弊塾は基本的に1:2の個別指導塾です。

講師1名に対して生徒2名、
真ん中に講師が座ってその両サイドに生徒さんが座り、1回の指導時間は75分。

よくある個別指導塾の形です。

ただ、ケースに応じて1:1を実施することがあり、
今回はその1:1の作り方をお伝えしたいと思います。

さて、1:1で開講するのは、
「英語長文(高2・3)」、「現代文(高1〜3)」、「古文読解(高2・3)」と
「過去問解説(高3)」のケースです。

簡単に言えば「ガッツリ解説を要する系」の授業ですね。

英語長文や国語読解、過去問解説などは、
生徒さんが事前に予習を行った上で、解説や対話などを行うため、
つきっきりになる前提です。

生徒さんも質問を大量に準備して授業に臨みますからね。

これを1:2で行うと、もう一人の生徒さんを放置する可能性が高まります。

逆に、平等の時間配分をしてしまうと、
今度は解説を聞きたい生徒さんが放置されることになりますので、
質の高い1:2の指導は実質上成立しないと言えるでしょう。

そもそも生徒さんは、予習しても分からないところをピックアップしてきているのに、
「もう一度考えてごらん」では通じませんものね。

このように、今でこそ「1:2」と「1:1」のコース設定がしっくりきていますが、
ここに至るまでは色々と試行錯誤の連続でした(まあまあ大変でした・笑)。

大きく分けて3段階のステップでここまで作り上げてきたのですが、
みなさんの参考になれば幸いです。

【第1段階】 1:1コース(1コマ75分)新設

そもそも当初は1:2コースしかなかったのですが、高校生比率が増えてきたこともあり、
過去問や読解解説などのニーズが増えました。

そこで、ある年の夏期講習から1:1コースを新設したのです。

1:1コースの時間は、1:2コースの時間と同じ1コマ75分ですが、
指導単価は1:2の5,000円/1コマに対して、1:1は1.5倍となる7,500円の設定にしました。
(※当時の単価とは異なりますが、分かりやすくするため高3の現単価で解説します)

ただ、問題点がすぐに噴き出してきました。

まずは、単価がアップしたことです。

もちろん保護者さんには夏期講習前の面談で1:1コースの必要性を伝え、
費用についてもご説明していましたが、ご理解いただけたご家庭もあれば
「厳しいから、週あたりの授業回数を減らして調整してほしい」という要望もありました。

毎月40,000円の月謝が、急に60,000円になるのですから当然です。

しかも、年度途中から実施したコースでしたので、
入会面談で伝えたわけではなく、後出しになってしまいます。

それでも「子どものために」とご理解くださった保護者の皆さんには感謝しかありません。

もう一つの問題は、座席枠が足りなくなる問題です。

1:2を1:1にするわけですから、必然的に全体のコマ数は倍に増えます。

そのため講師が足りなくなり、出勤日数や1日あたりのコマ数を増やしてもらったほか、
社員(私含め)も授業を担当するなど、みんなで対応してなんとか乗り切ったのです。

これが新設1年目の状況で、なかなかハードでした(笑)。

翌年も同様の仕組みで進めていきましたが、1年目の反省を生かして
起こりうる問題にはある程度事前に対処できていたので、
1年目ほどの混乱はありませんでした。

【第2段階】 1コマ75分から55分へ変更

1:1コース導入の3年目、
「1:1コースだと、解説に75分もいらないケースがある」ことが分かってきました。

そこで1:1コースの1コマを75分から55分に変更したのですが、
メリットは大きく2つあります。

1つ目は「指導単価を1:2コースと同じにできたこと」です。

●1:2コース(75分)=5,000円→そのまま
●1:1コース(75分)=7,500円→55分 5,000円

にすることができ、月謝増を抑えることができました。

また私たちも、面談で
「過去問対応に入る際は1:1コースになりますが、指導単価は変わりません」
と提案ができるようになり、非常にやりやすかったです。

もう1つは、授業時間が短くなった分、回転率がよくなったことです。

75分を2回行う授業を、55分なら3回行うことできます。
回転率が150%になったのは大きかったです。

講師のシフトに余裕ができました。

また授業時間が55分しかなければ、それに合わせた段取りを講師が考えてくれるので、
授業の質は75分の時と変わらないどころか、むしろ向上したのではと感じます。

一方で、問題点も同じく2つ出てきました。

1つは「講師の休憩が5分しか取れない」ことです。

75分授業の場合、「75分授業+10分休憩」が通常の形なのですが、
55分授業の場合「55分授業+5分休憩=60分」を1クールとしました。

60分(1時間)が1クールだと、スケジュール管理もしやすいという判断からです。

しかし、休憩時間が短くなれば、その間はバタバタしてしまいます。

加えて弊塾の生徒さんは授業開始5分前には通塾する習慣があるので、
授業が終わった途端(もしくは終わる前に)、次の授業の生徒さんが来ることも。

不幸中の幸い(?)か、講師たちも授業を55分で確実に終わらせるための
段取り力が向上したのは良かったですが、それでもキリ良く終われない場合もあるので、
私や教室長が次の生徒さんと立ち話をするなどして間を繋いでしました。

もう1つが、75分授業(85分1クール)と55分授業(60分1クール)が入り混じったので、
座席組みや時間管理に苦労したことです。

1:1と1:2を両方担当している講師もたくさんいたので、絶妙な配当が必要になります。

そこは座席担当の私が、日々死にそうになりながら組んできましたが、
それでも授業と授業の隙間時間が15分~20分できることもあったので、
その間に講師にやってもらう事務作業を用意するなど、
手持ち無沙汰にならないように工夫しました。

2つのタイムテーブルを同時に管理するのは大変でしたが、
それでもバランスの取れた仕組みだったこともあり、うまく3年ほど続けることができました。

【第3段階】 1コマ55分から50分へ変更

これが最終形態ですが、やはり5分の休憩時間が短いということで、
・55分授業+5分休憩

・50分授業+10分休憩

の仕組みに変更しました。

講師も授業準備を行う時間や、余裕を持ってトイレに行く時間が必要ですしね。

この形を取り入れたことで、講師たちに気持ちの余裕が生まれたようです。

「時間通りに終わらないと次が待っている」と、常に追い立てられる感じから
「休憩時間が10分あるので、もう少し(授業を延長して)話そう」という感じになったのです。

人間味のある対応をしてもらえる機会が増え、感謝しています。

今までそんな対応がしづらい環境を作っていたこちら側に
大きな問題があったと反省しています。

いかがでしたでしょうか。
これが山あり谷ありで行きついた、1:1コースの現状です。

淡々と解説していますが、当事者としてはプロジェクトXに負けない気分ですね(笑)。

試行錯誤や失敗を重ね、ベストに近いベターな仕組みを作ることができたと思います。

ただ、今の仕組みには十分満足していますが、
さらに良い形がないかを常に考え続けていますので、
もしかすると今後また改善をするかもしれません。

その際はまたみなさんにシェアできればと思います!

【今回のまとめ】
・コース新設する際は、周りへの配慮や気配りが大切
・「さらに良い仕組みにならないか」と考え続けることが大切

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安多 秀司 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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