【Vol.776(2024.03.13)】職場のコミュニケーションを考える

東京都教育委員会が調査し、取りまとめた
「教職員のためのコミュニケーションガイドブック」がニュースになっているようです。

<教職員のためのコミュニケーションガイドブック>
www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/staff/personnel/training/files/teacher_communication_guidebook/guidebook.pdf

こちらは、都内の若手教員5,280人を対象にアンケートを行って、
メンタルヘルスの専門家の意見をもとに、学校という職場でのコミュニケーション、
ひいては働きやすい環境づくりなどについてまとめたものです。

教職員の方を対象としたものですが、中身を読んでみると
塾でもかなり応用がききそうなものがたくさんありました。

同じ「教育関連の仕事に就いている若手」という意味で
資料内の「若手教員」を、講師や若手社員(部下)と置き換えて考えてみると、
人材マネジメントの観点からもかなり役立つと思います。

私が気になったデータをいくつかピックアップしてみましたので、一緒に考えてみましょう!

1.教員になった理由

なんとなく「子どもが好き」という理由がトップなんだろうなと思って見てみましたが、
意外(?)で興味深い結果が出ていました。

小学校では「子どもが好き」が1位だったものの、
中学校では3位、高校ではトップ3圏外だったのです。

ちなみに中学校の1位は「あこがれる先生がいたから」、
高校の1位は「教科の勉強が好きだから」。

2位は中高共に「教えることが好きだから」でした。

学校種別が上がるにつれて、
純粋に「教育」「学習」に対する関心の比重が高くなっていることが分かります。

これを塾で考えると、講師や社員を採用するときに、
自塾の生徒層などを鑑みて、採用したい人材像を考えることに役立ちそうです。

例えば実際のところ、「子どもが好き」というだけで塾講師は務まりません。

自塾が高校生メインの生徒層であるなら、
学業指導に喜びを見いだせるタイプのほうが向いているかもしれませんね。

2.働きやすい職場=人間関係が良好な職場

これは塾や学校に限った話ではないかもしれませんが、働きやすい職場の条件として
「職場の人間関係や雰囲気がよいこと」が9割の支持を得てダントツでした。

私たち(昭和世代?)は、「仕事=やりがい」と考えがちですが、
まずは人間関係ありきだということなんでしょうね。

ちなみに2位は「ライフワークバランス」、3位は「相談しやすいこと」でした。

塾、特に個人塾業界は塾長の強烈な個性やカリスマによって
地域に支持されていることも多いです。

しかし、それと同じことを若手やバイト講師に求めるのは酷なこと。

「先輩や上司に期待すること」という質問でも、
「いつでも相談しやすい雰囲気がある」が1位でした。

「俺ができるんだから、お前にもできる」という精神論もときには大事ですが、
しっかり若手とコミュニケーションを取っていくことが大事だと言えそうです。

3.上司・先輩からの態度でつらいのは「無関心」「高圧的な態度」「人前での否定」

「上司・先輩からの言動で落ち込んだりつらい思いをしたことがある」と答えたのは50.1%。

具体的なエピソードがいくつか取り上げられていたのですが、
中でも私が気になったのは「人前で叱責」という項目です。

生徒さんのいる前で叱責されたり、感情的な発言での指導を受けたりとか、
自分の授業を見学していた他の教員が、やはり生徒さんのいる前で
「もっとこう教えたほうがいい」などと注意してきた、などの事例が見られました。

確かに、これはさすがにマズいですね。
間違ったことをしていたのだとしても、後で個別に注意すべきでしょう。

他者がいるところ、ましてや生徒さんの前でそれをやってしまうと、
講師・社員と生徒さんとの信頼関係が崩れてしまいます。

生徒さんに「この先生はダメな先生なのかな?」という印象を与えてしまうと、
いろんなところでほころびが生じてしまうでしょう。

他にも「指示がない」「高圧的な態度」という項目もありましたが、
上述の「コミュニケーション」と合わせて考えても、
昔ながらの「見て盗め」「自分で考えろ(考えたら考えたで否定してくる)」や、
体育会系的なノリは受け入れられないと考えるべきでしょうね。

他にも、若手がメンタルの不調に陥ったときに見せるサインや、
支援の方法などについてもレクチャーされていますので、ぜひ参考になさってみてください!

【今回のまとめ】
・学校も塾も、大事なのは職場のコミュニケーションの在り方
・昔ながらのやり方も悪くないけれど、時代が変わってきていることにも留意

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安多 秀司のアバター 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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