【Vol.775(2024.03.08)】女子大共学化の先に

みなさんもご存じかもしれませんが、
この1〜2週間で女子大が共学化するというニュースがなだれ込んできました。

【神戸松蔭女子学院大、25年度に共学化へ】
https://www.kobe-np.co.jp/news/society/202402/0017381593.shtml

【共学化の決定について(園田学園女子大学)】
https://www.sonoda-u.ac.jp/news/news_20240301_reborntop.html

【ジェンダーフリーの生活共創学、男女共学でスタート!(東京家政学院大学)】
https://shingakunet.com/gakko/SC000431/newfoundation/9002159191/

【上田女子短期大学 来年4月から男女共学へ】
https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagano/20240229/1010029952.html

まだ見落としている情報もあるかもしれません。

女子大が学生募集で厳しくなり、学びのジェンダーレス化も伴って、
徐々に共学化の流れになるとは思っていましたが、あまりの多さにびっくりです。

少子化の影響をモロに受けているという部分と、
少子化で厳しくなっていくことが分かっていてもテコ入れできなかった結果なのだろうと
私は考えています。

女子大側からすると、共学化で計算上は市場が2倍になるわけですが、
単純にそううまくいくわけでもないでしょう。

理由は明確で、私だったら男子生徒に共学化した元女子大を簡単には勧めないからです。
勧めないと言うより、(今は)勧めるメリットがないと言った方が正しいでしょうか。

上述の「神戸松蔭女子学院大学」「園田学園女子大学」は、
弊塾の地元からも近く女子に人気の学部も充実しているため、志望する生徒も多いです。

じゃあ、男子に勧めるかといえば多分「NO」で、そもそも男子が希望する大学もある中で、
共学化した女子大にそれを上回るような価値があるのか、現状では疑問です。

もちろん、それは女子大側だって百も承知でしょう。

今から大改革をしていくと思いますが、
女子大特有の「家政」「人間科学」「食物栄養」「保育」の学部学科だけだと、
現時点では現実として男子の志望者は少ないため、苦戦を強いられそうです。

もちろん、職業選択とジェンダーという観点から考えれば、
男子が家政や保育を学びたいと考えるのは何らおかしなことではないですが、
あくまで客観的な事実として、社会の認知はまだそこまで醸成できていないと言えます。

したがって、学部・学科の増設は必要だと思うのです。

ただ、そうすると今以上に募集定員が増えることになり、本末転倒になる可能性もあります。

加えて、増設した学部・学科はすでに他の大学にも山ほどありますので、
よほど魅力的なものを作らないとなかなか太刀打ちできません。

3月21日のセミナーでご登壇いただく「日本の大学全部行った男」山内太地先生には、
このあたりのことも含めて聞いてみたいと思います。

忖度なしでグサッとくるコメントをくださるはずです。

ただ、私たちとしても思い込みだけで大学を判断し、
受験生にその大学を勧めもせず終わるわけにはいきません。

適切に判断するため、共学化した女子大へのオープンキャンパスや公開授業に参加して、
情報を集めていく必要もあるでしょう。

もしかすると山内先生のようなブレーンがついて大改革がうまくいくかもしれませんし、
女子大の共学化が成功した場合、大学再編における一つの成功モデルになると思います。

どちらにせよ、大学再編の波はこれからどんどん大きくなっていくはずです。

もしかしたら、最終的に関西の女子大は
「同志社女子大学」・「京都女子大学」・「武庫川女子大学」ぐらいしか
残らないんじゃないかとさえ思います。

あと10〜15年もすれば、関西で言う「産近甲龍」、関東で言う「日東駒専」レベルの大学も、
全入時代になることは目に見えています。

このような状況になってしまったら、
多くの大学の入学数は目も当てられない悲惨な状況になるでしょう。

そして、大学が経営破綻したり、大学同士がくっついたりなど、
今まで以上に激流の時代がやってきます。

それでも、いやそれだからこそ私たちは冷静に進路指導できるよう
知識をつけておく必要があります。

「女子大が共学化したことさえ知らなかった!」なんてことのないようにしなくてはいけません。

また、仮に将来なくなる可能性が高い大学があるとして、
生徒さんにその大学を勧めるのなら、その責任も考えておく必要があります。

自分が卒業した大学が破綻したら少なからずショックを受けると思いますし、
最悪は在学中にそれが起こる可能性だってあるのです。

したがって、存続に対する安定性も加味した進路指導が必要ですし、
経営や人気が安定している上位大学を目指して学力を上げたり、
総合型選抜で合格してもらえる仕組みを作ったりすることも私たちの仕事かもしれません。

もちろん、単純に難易度が高い大学に行けば良いということではなく、
自分が学びたいことがそこにあるのかという進路選びが大事なのは当然で、
あくまで「安心して学び続けられる」という観点が考えた場合の話です。

一方で、大学全入の状況はマイナスばかりではないはずです。

大学進学で今までをリセットでき、新たな気持ちで大学生活を過ごすチャンスが増え、
中・高時代にうまくいかずしんどい思いをした生徒さんへの門戸が開けるとも言えます。

ともかく、日頃からアンテナ感度を高くしておき、
新鮮な大学情報をキャッチしていきたいところですね。

激流で変わりゆく大学の中身をしっかり理解していきましょう。

ということで、餅は餅屋から仕入れるべく、
3月21日の山内先生のセミナーにはぜひご参加ください!

【今回のまとめ】
・大学再編の波について傾向を知っておこう
・安心して学び続けられるかも、進路指導の観点に

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安多 秀司 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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