【Vol.834(2024.10.04)】塾の名前、どうつける!?

今回は、塾(教室)の名前の付け方について、ちょっと違う角度から考えてみましょう!

おそらく多くの人が、自分の教育に対する思いを「塾名」として表現されていることでしょうし、
それが塾として理念や個性のアピール、ブランド形成にも繋がっていきます。

「名は体を表す」とはよく言ったものですね。

基本的には自分の好きな名前をつければいいと思いますが、
先ごろこんなニュースを見ました。

<茨城県立ナンバースクール 校名の影響議論 県教委、検討委設置へ>
https://news.yahoo.co.jp/articles/6faf40d06fc11a7dd3b14e771d5d8d749d0e03e4

「○○一高」「○○二高」などの、いわゆる“ナンバースクール”について、
校名をナンバリングすることの影響などを考える検討委員会を設置するというものです。

「校名の伝統という枠にとらわれ、高校の新たな魅力づくりや変化を妨げてないか」
という議論を受けてのものでした。

これを、塾のネーミングに置き換えて考えてみましょう。

まず茨城県の事例では、高校名に数字が入る「ナンバースクール」が特色となり、
その名前が伝統と結びついているため、簡単には変更できないというジレンマがあります。

この問題は、学習塾も同様に
「ブランドの固定化」と「進化」のバランスをどうとるかというテーマが浮かび上がります。

ナンバリングによって考えられるメリットはいくつかあると思いますが、
大きく以下の2点でしょうか。

数字によるナンバリングだけに限らず、
ここでは「○○塾 ◆◆教室」のように地域名をつけることも
ナンバリングに含むものと定義して考えてみます。

■メリット1:分かりやすさと認知度の向上

塾名に番号を付けると、その名称がシンプルで覚えやすく、
地域の人々にすぐ認識されることがメリットです。

例えば「○○学習塾第1教室」「第2教室」などとすることで、
初めての保護者さんや生徒さんも分かりやすいですし、
新しい教室に別のブランド名をつけるよりも、
「ああ、あの塾が新しい教室を作ったのね」と分かってもらいやすいはずです。

■メリット2:規模感と安定感のアピール

また、ナンバリングは規模の大きさや安定感をアピールする手段にもなります。

複数の教室を持っていることを示すことで、
生徒さんや保護者さんに「大手学習塾にも劣らない規模や信頼性がある」と
感じてもらえる可能性があります。

茨城県のナンバースクールも、多くの高校が同じ形式で名前を付けていることで、
地域全体での一体感が生まれ、生徒や親の間で伝統や信頼感が共有されているようです。

同様に学習塾でも「多店舗展開している塾」というブランドイメージを作り上げ、
安心感を引き出すことができるかもしれません。

しかし、デメリットがないわけではありません。
こちらも考えてみましょう。

■デメリット1:個性の欠如と画一化

ナンバリングは、塾の個性を失わせるリスクもあります。

茨城県のナンバースクールが「数字で学校が画一化されている」と批判されているように、
学習塾でも「どこも同じように見える」という問題が生じる可能性があります。

品質の安定感を印象付けることができる裏返しで、
教室の強みが見えにくくなるということですね。

ナンバリングに頼りすぎると、他塾との差異を生み出す機会を失ってしまうかもしれません。

■デメリット2:進化や変化を阻む可能性

茨城県の議論でも指摘されているように、
ナンバースクールの名前が「新しい魅力づくりを妨げている可能性がある」という視点は、
学習塾にも当てはまります。

数字で名前が固定されてしまうと、柔軟な進化や変革がしにくくなることがあるでしょう。
ナンバリングにより既存のイメージに縛られてしまうのです。

ナンバリングは、一度定着するとその名称の持つイメージを変えることが難しくなります。

茨城県の高校名のように、「一高」「二高」という名前が伝統として残る一方で、
「一高と言えば○○」というイメージが定着すると、
新しい教育や学校運営の改革が進みにくくなるかもしれません。

学習塾でも、名前が固定化されることで、
塾の成長や進化が妨げられるリスクはゼロではありません。

これらを総合的に考えると、地域に密着した柔軟な運営が求められる個別指導塾としては、
ナンバリングによる一貫性を重視するか、もしくは個性を重んじた教室名を選ぶか、
慎重に判断する必要があります。

さらに、塾の成長や時代の変化に合わせて、
教室名や塾名も進化させることができるかどうかが、長期的な経営において重要です。

ナンバリングによる学習塾のブランディングは一長一短で、
短期的には親しみやすさや安定感をアピールできますが、
長期的には個性の喪失や進化を阻むリスクも伴います。

茨城県のナンバースクール問題が示すように、
伝統と革新のバランスをどうとるかが、今後の塾経営にも鍵となるでしょう。

ちなみに、茨城県のナンバースクールに関するニュースには続報があり、
結局は検討委員会設置が見送られたとのこと。

「高校改革は、校名にこだわらない議論のほうが大切だ」などの
意見が多かったためだそうです。

個人的には、上記のようなブランドイメージの問題から考えても、
せめて議論の場だけでも作ったらいいのにとは思いますが(笑)。

【今回のまとめ】
・塾名をナンバリングするのは一長一短
・中長期的な視点を持って検討を

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安多 秀司 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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