【Vol.883(2025.03.28)】教科書検定から学ぶ、「塾だからこそ」のアレンジ

みなさんの教室では、どんな教材(テキスト・問題集など)を使っておられますか?

自塾の生徒層やご自身の教育方針などさまざまな観点から吟味して、
「これだ!」というものを選んでおられると思います。

ただ当然、同じ教材を使えばどの生徒さんも同じ成果が得られるわけではありません。

いつ、何を、どのくらい、どんなふうにやるのかで成果は変わってきますし、
もちろんそれも生徒さんによって何がベストかはさまざまです。

教材会社さんの推奨するマニュアル(セオリー的な使い方)だけでなく、
自塾なりのアレンジを加えて使っておられる方もいらっしゃるでしょう。

そんな中で、こんなニュースが目に止まりました。

<高校教科書「現代の国語」、半数に小説 掲載見送り一転>
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE2396D0T20C25A3000000/

記事の論点は、現行学習指導要領で新設された高校の必履修科目「現代の国語」で、
論理的・実用的な文章を重視する方針にもかかわらず、
(芸術的要素の強い文章である)小説を教材として扱う教科書が増加しているということです。

ご存じの方もいらっしゃるでしょうが、前回の教科書検定では、
「現代の国語」の趣旨をふまえて小説の採用を見送る教科書会社が多かったのですが、
蓋を開けてみれば小説を採用した会社の教科書が検定に合格し、
かつそれがシェア1位となったことで物議を醸しました。

「正直者がバカを見た」という不満の声も多く上がっており、
今回の検定では小説を採用する会社が増えたのです。

今回は、小説を「書くこと」「話すこと・聞くこと」の学習活動として
活用するという解釈で掲載が認められましたが、
実際には「読むこと」に偏っている指摘され、修正を求められた教科書もあったようです。

私はここから、学習塾での教材の使い方においても学べる点があると感じました。

指導要領は「現代の国語」において「論理的・実用的な文章」を重視していますが、
文学的な教材も表現力育成には欠かせません。

つまり塾の現場でも、同じ教材をどう使うか(どのような目的や解釈で使うか)で、
生徒さんの成績向上に大きな違いが出るのではないかということです。

このニュースでは国語の教科書が主題になっていますので、国語を前提に考えてみます。

例えば芥川龍之介の「羅生門」を題材にした授業では、単に読解問題を解くのではなく、
生徒さんに「羅生門」のテーマをもとに短編小説を書かせたり、
登場人物の立場になって意見交換や討論を行うという方法があるでしょう。

もちろん、日常の個別指導塾の授業でそれをやるのは難しいかもしれませんが、
大事なのは具体的手法ではなく、「読むこと」に留まらず「話す・書く」を組み合わせることで、
思考力や表現力を同時に鍛えるという視点です。

そもそも検定で「書くこと」「話すこと・聞くこと」に重点を置いた教材が合格した背景には、
単なるインプットからアウトプット重視の教育への転換があります。

同じ教材や題材を使っていても、そこにアレンジを加えて
文章を「書く」「話す」「発表する」要素を取り入れることができたら、
表現力だけでなく論理的思考力も身につくはずです。

論理的な思考力は、他教科でも大いに役立つ普遍的なスキルですから、
一石二鳥・三鳥になる可能性だってあるのではないでしょうか。

もちろん、英語や数学でも同じ視点を取り入れることは可能です。

個別指導塾では、英語力を伸ばすために
文法解説や読解問題演習を中心にすることが多いでしょう。

しかし、現代の学校教育では
「読む」「書く」「話す」「聞く」の4技能のバランスが重視されます。

「学校の成績を向上する」ことを念頭にするなら、
塾でもこの流れを意識することで、より効果的な指導ができるかもしれません。

例えば、テキストの読解問題の文章を要約したり、
異なる視点から意見文を書いたりする「英作文トレーニング」や、
要点をまとめて口頭で説明する「ディスカッション形式」「プレゼン形式」も
取り入れることができると思います。

数学指導では公式や解法の暗記がメインになりがちですが、
先ほどの「論理的思考力」にスポットを当てれば、
生徒さんに解法を口頭で説明させるプレゼン形式を取り入れてみるのも一興です。

正誤だけでなく考え方の道筋を評価してフィードバックするプロセス重視型の添削、
あるいは学んだ公式を使って生徒さんがオリジナル問題を作ってみるという手もあるでしょう。

統計データ(例えば家計など)を用いて実社会と関連する題材で公式を利用し、
興味をかき立てるというアプローチもあるかもしれません。

いずれにせよ、個別指導塾の魅力の一つは、
こうした「柔軟で実践的な学び」を提供できる点にあります。

学校教育では、良くも悪くも指導要領から逸脱することがなかなかできません。

それを思えば、教材など、すでに成立しているプロダクトも、
もっと自塾なりの解釈やアレンジを加えることはできるはずです。

ひいてはそれが、「選ばれる塾」としての強みにもなっていくのではないでしょうか。

【今回のまとめ】
・マニュアルどおりに教材を運用するだけではもったいない!
・自塾なりの目的やアレンジを加えて、強みを創出してみよう

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安多 秀司のアバター 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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