【Vol.1046(2026.09.30)】高品質・高価格の1:2か、指導スタイルを変更するか

10月より随時、全国で最低時給が改定されていきます。

それに伴い、従業員の意欲向上も兼ねて、
アルバイト講師やパートさんの時給も引き上げる塾さんもあるのではないでしょうか。

最低時給が上がれば、相対的に今の時給の価値は下がります。

したがって、よい人材を確保・維持していくのであれば、
時給アップも選択肢に入れておくことは必然です。

特に塾講師という仕事は、10年ぐらい前から
ブラックバイトというネガティブな印象も出てきています。

自宅での無償の予習を求めたり、残業代も出なかったりなどする一方で、
「生徒のため」という言葉を人質に“やりがい搾取”が横行するという、
悪しき慣習を作ってしまった私たちも大いに反省すべきでしょう。
「塾講師は魅力ある仕事」と、あぐらをかいていた部分も少なからずあると思います。

昔は塾講師といえば魅力的で時給も高く、誰もが憧れるアルバイトという印象でしたが、
今では飲食店でのバイトもさほど時給は変わりません。

コスパやタイパを重視するZ世代からすれば、
むしろ、まかないも出る飲食店のほうが魅力的と言ってもいいほどです。

また、業態別だけでなく、学習塾同士の間で
大学生アルバイトを奪い合っているのが現状です。

弊塾の地元の兵庫県でも、大手の個別指導塾さんを中心に、
研修後すぐに時給1,600円以上至急を謳うようなところも出てきています。

探せば時給1,800円や2,000円もあるかもしれません。

仲には、時給1,300円程度の無難なラインを提示する大手さんもありますが、
このあたりはネームバリューがあるぶん「多少時給が安くても」というブランド力でしょうか。

それでも、最低時給が1,172円で、個別指導塾の講師の時給が1,300円なのは、
業界としてちょっと寂しい気がします。

魅力ある仕事であるためにも、時給は最低でも1,500円オーバーを目指したいところです。

しかし、時給をアップするのは簡単ですが、そのぶん利益が削られます。
するとその原資確保は、指導単価を上げて売上をアップするしか方法はないのです。

例えば弊塾(1:2、1コマ75分)で1人の講師が、
高2の生徒2名×2コマの授業を実施した場合、このような計算になります。

<売上>
・4,950円×2名×2コマ=19,800円

<支出(給与)>
・1コマ2,000円×2コマ=4,000円
・準備給25分、休憩5分の30分・・・586円
・交通費・・・440円
・合計:5,026円

<人件費率>
・25.4%(理論値)
・当日欠席などのロスで、実態としては27%台に落ち着く。

1:2の個別指導塾の人件費率について、私は以下のように定義しています。

・25%未満:非常に優れている
・25%以上28%未満:優れている
・28%以上30%未満:無難
・30%以上:危険水域

弊塾の、1:2で1コマ75分が高2で4,500円(税別)という指導単価は、
高いほうだと思いますが、これぐらいでなければ講師にもそれなりの時給も払えませんし、
適切な人件費率になりません。

そこから考えると、とにかく安さをウリにするタイプの1:2個別指導モデルは、
事業形態の維持が難しいかもしれません。

周りの塾より安い時給で募集しても、よい人材を確保できる確率は極めて低く、
質のよくない講師を採用して指導レベルも下がり、
クレームが多発するという悪循環になるのは目に見えています。

やはり、単価を上げてよい人材を確保し、満足度を上げるモデルが、
これから1:2の個別指導塾が生き残る道になるのではないでしょうか。

私の知人が経営する個別指導塾さんでは、
卒業生をそのまま講師にする仕組み(自家発電)を上手に作っており、
極端に時給を上げなくても質の良い講師を確保できています。

この仕組みが確立できれば、指導単価を上げず低価格帯のサービスを打つ出しつつ、
講師人件費率も適正範囲に抑えることができますが、相当な努力と時間と工夫が必要です。

正直なところ、1:2という個別指導のモデル自体、
もう崩壊寸前になっているといっても過言ではありません。

それなりの特異性がなければ、1:2で質の高い指導を提供することは難しく、
生徒さんに迷惑がかかりますし、結果としてこちらも利益が残らず疲弊するばかりです。

だとすると、1:2というシステムを思い切って変えるという方法もアリかもしれません。
1:3や1:4、ひいては1:10みたいな少人数集団指導に近い仕組みです。

ただ、「1:2が厳しくなったから1:3〜多数の仕組みにする」というのは、
安易な理想論であって現実的には難しい部分も多々あります。

指導の方法や回し方も変わりますので、
システムを変えると同時に質の高い指導をも維持するのは簡単ではありません。

1:3や1:4のスタイルで長年工夫を重ねてこられた先生からすると、
「いやいや、1:3や1:4をなめんなよ!」という話でしょう。

実は私も5〜6年前、1:4に変えようと本気で思っていた時期がありました。

しかし、私のメンターの一人から
「それは絶対に失敗するからやめておきなさい。
自分のことばかりで、顧客のことをまったく考えていない」と厳しくご指導いただきました。

今思えばやめておいて本当によかったと思います。

それ以降1:2の指導に磨きをかけ高品質なものとし、
そのぶん指導単価をアップして今の形に行きつきました。

もし1:3~4に変更するとしても、2〜3年は1:2と並行しながら熟成させていったり、
別ブランドで立ち上げたりする形であれば、うまくいく確率も少しは増えたかもしれませんが。

したがって、個別指導塾を運営されているみなさんは、
今のシステムでこれからもやっていけるのか、
講師給与を上げるために指導単価をアップできるのか、あるいはシステムを変えるのか、
これからの塾運営のスタイルをじっくり考えてみてもいいかもしれません。
(すでに考えておられる先生方も多いとは思いますが)。

私は、1:2で長年やっている先生は、
1:2に磨きをかけて指導単価アップ・講師の時給アップという形がいいと思いますが、
本気でやるならシステムを変えるのもアリだとは思います。

このままの仕組みでいくか、それとも時代に合わせて仕組みも変化させていくか。

自分が決断した答えが正解となるように突き進んでいきましょう。
私も全力で突き進み、生き抜いていきます!

【今回のまとめ】
・1:2の質を高めることで、指導単価をアップし、時給アップに繋げる
・今の指導スタイルをこだわり抜くか、新たなスタイルに挑戦するか

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安多 秀司のアバター 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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