近年、性的マイノリティへの社会的認知・理解が広まりつつありますね。
調査によると、日本人の訳8.9%が何らかの性的マイノリティに属していると言われます。
これを塾に置き換えると、仮に50人の生徒さんがいる教室であれば
そのうち4~5人はそれに該当するということです。
意外と多いという印象を持たれるのではないのでしょうか。
そんな中、学校現場でも対応が進みつつあるというニュースを目にしました。
トランスジェンダーに受験や入学を認める女子大が増えているようです。
<女子大5校、「性自認は女性」に入学資格 産経新聞調査、なりすまし懸念も>
https://www.sankei.com/article/20231103-ORNC3S2PLBMXNINIO365OF26CI/
トランスジェンダーとは生物学上の性と自身の性自認が異なる人のこと。
つまり、体は女性だけど心は男性、またはその逆ということですね。
今回の女子大のケースに当てはめると、
身体は男性で心が女性の人たちに入学を認めるということになります。
この報道によると、現時点でお茶の水女子大、奈良女子大、宮城学院女子大、千里金蘭大、
ノートルダム清心女子大の5校がこれを認めており、
今後の数年間で日本女子大、津田塾大、広島女学院大の3校もこれに続くとのこと。
これにおける対応と課題は、そのまま塾にも当てはまる部分が多く、
私たちも非常に勉強になる改革だと思います。
この場を借りてぜひ一緒に考えてみましょう。
まず前提として、上述したように性的マイノリティは身近にいるという
認識に立つことが大切です。
通ってくれている生徒さんの中にも、講師の中にも「すでにいる」と考えるべきだと思います。
なお、ホモセクシュアルやレズビアンは性的な志向のことですが、
トランスジェンダーは「当人の性自認」に着目した分類です。
トランスジェンダーとして自身の性をどう認識しているかと、
性的志向として男性が好きか女性が好きかは別の話ですし、
誰を好きになろうと自由ですから、それば塾が踏み込むような問題ではありません。
塾として講師と生徒さんが恋愛関係になることへの対策は必要でしょうが、
それは異性間の恋愛であろうと同性間であろうと同じことですものね。
性犯罪歴のある人間を教育現場で雇用しないようにする
「日本版DBS」も話題となっていますが、
これも性的志向が異性か同性かは問題ではありません。
シンプルに、性犯罪歴のある人間を子どもたちに近づけなければ良いのです。
したがって同性愛者へは、彼らの性的志向がもとで差別されたり
傷つけられたりすることがなければ、変に特別扱いする必要はないのだろうと思います。
彼らの性的志向を認め、尊重すれば良いだけの話です。
一方でトランスジェンダーは性自認の問題ですから、
ハード面も含めて相応の対応は必要です。
今後入塾してくる生徒さん、雇用する社員や講師も含め、
本人やご家庭から配慮を求められたとき、私たちはどう対応すべきでしょうか。
例えばトイレや服装、着替え場所をどうするか。
合宿行事などがある塾さんであれば、お風呂や部屋割りの問題もあるでしょう。
また、女子大でも懸念されているのが「なりすまし」の問題です。
実質上、トランスジェンダーか否かを他者が客観的に見分けることは難しく、
本人が「私はトランスジェンダーだ」と言うのなら認めるほかありません。
先日は三重県で、「心は女性」を自称する(生物学上の)男性が
女風呂に入って逮捕されるという事案も発生しています。
“彼女”が本当にトランスジェンダーだったのかは別としても、
風呂やトイレなどは身体上の性に沿ったルールが必要なのかもしれません。
生徒対応という意味でも意識を持つことが必要です。
例えば「男らしく」「女らしく」という概念。
「男ならがんばれ!」みたいな言葉を
善意の激励から発してしまうこともあるかもしれませんが、
トランスジェンダーがそれを言われると傷つきます。
トランスジェンダーであることを公表していない人だって多いわけで、
こちらも知らずに言ってしまうこともあるでしょう。
そう考えると、これだけ性的マイノリティへの理解が進みつつあるいま、
過去のやり方を続けていたり、場当たり的に対応していたりでは、
何らかのトラブルを招く可能性が高いです。
一定のガイドラインを作っておいても良いのではないでしょうか。
ちなみに下記は、宮城学院女子大のトランスジェンダー受け入れに関するガイドラインです。
どのような視点でどのように対応しているのか、参考になると思います。
学習塾も、学びたいと思った人が何の障害もなく学べる環境を作っていきたいですね。
【今回のまとめ】
・学習塾でもLGBTへの対応は必須
・性的マイノリティは身近に存在すると認識すべき