【Vol.761(2024.01.19)】そのルールは誰のため?

特にここ数年、話題になることが多くなった「ブラック校則」。

髪型、制服、スマホの扱いなど内容は多岐にわたり、
子どもたちからも「理不尽だ」「意味が分からない」と不満の声が多く挙がっています。

確かに、下着の色まで指定するとか
大人の私でも「???」と思わざるを得ないようなものもたくさんあります。

そんな中で、こんなニュースを目にしました。

全国の主要自治体の約8割が、校則の見直しに取り組んでいるそうです。

<校則見直し、主要自治体の8割が進める 大都市と地方で温度差も>※有料記事
https://www.kyobun.co.jp/article/2023011002

有料記事ですので、閲覧できない方向けに内容をざっくり要約しますと、
主要自治体の8割が校則の見直しに取り組んでおり、その内容は
「制服のジェンダーレス化関連」「頭髪関連」「制服の夏服冬服の柔軟化関連」などが多く
「スマホ関連」「学校行事関連」「学校に持ち込む飲み物関連」なども散見されたとか。

記事からは個別の細かい内容までは分かりませんが、
おそらく規制を緩和する方向で見直されるものと思われます。

さて、このニュースから塾でもルールの在り方について考えてみたいと思います。

そもそも、ブラック校則はなぜ生まれるのでしょうか。

一つ考えられるのは、ずいぶん昔に作られたものが今でも生きており、
時代に合わなくなったというケースでしょう。

制服のジェンダーレス化などは、まさにそれではないかと思います。
「男子はズボン、女子はスカートでないとダメ!」なんて、時代錯誤もいいところです。

まあ、「ジェンダー」とか「性的多様性」といった概念が社会に浸透し始めたのも、
たかだかこの10年くらいでしょうし、仕方ないと言えば仕方なかったのかもしれません。

今回の校則見直しの動きにも見られるように、時代に合わなくなったルールなら
柔軟に変えていけばいいだけのことだと思います。

ただ、これを他山の石とするならば、
塾にも時代に合わなくなったルールがあるかもしれません。

確かに、塾はあくまで民間の事業体であり、各塾のルールもそれぞれの個性だと考えれば、
個別のルールを取り上げて「これは古いからダメだ」と一方的に断じることはできません。

私も、他塾さんのルールに対して何かを否定しようという意図はまったくないことだけは、
ご理解いただければと思います。

それでもあえて「時代に合わない」という見方だけで考えるなら、
昔に比べると超絶スパルタ塾は減ってきましたよね。

講師(塾長)の暴言はもちろん、ときには暴力さえも是認されていた時代がありました。

それと、これは判断に迷うところかもしれませんが、
スマホ使用の一律禁止なども再考の価値があるのかもしれません。

一見見落とされがちですが、対生徒だけでなく、社員や講師に対するルールも同様です。

講師の髪色について厳しく規定されている塾さんもあると思いますが、
これも最近は「華美すぎなければOK」になってきました。

他にも、惰性でずっと同じルールを適用してきたけれど、
現代の大学生(講師)からすれば、「えっ、いまどき?」と感じるものがあるかもしれません。

いずれにせよ大事なのは、時代に合わなくなったルールを
特に疑うことなくそのまま踏襲し続けていないか、客観的に見直してみることでしょう。

こうして例を挙げてみると「いや、子どもたち自身のためにもそのルールが大事なんだ!」
とおっしゃられる方は多いと思います。

実際、弊塾もルールはかなり厳しく設けているほうですし、
もしそれを否定されたら、たぶんそのように反論するでしょう。

でも、本質はそこだと思うんですよ!

「誰のためのルールなのか」、つまりそのルールが、
生徒さんのため(成績向上だったり、心身の安全のためだったり)なのか、
塾側の都合によるものなのかという違いです。

例えば弊塾では、自習中の私語は一切禁止というルールがあります。

厳しいルールだという自覚はありますが、
生徒さんのニーズの本質(成績向上・志望校合格)のためには、
それが必要だと思うから、自信を持ってそのようなルールを設けているつもりです。

一方でよーく見てみると、ブラック校則と呼ばれるもののほとんどが、
学校が生徒を「管理」するためのものだったりします。

だから子どもたちは違和感を覚え、反発するんです。

塾のルールも同様で、生徒さんに言うことを聞かせるとか、統制しやすくするとか、
先生(塾)のためのものになっていることがあるのではないでしょうか。

先述したスマホ禁止ルールもそれに近いかもしれません。

みなさんの塾でも一定のルールを設けて
生徒さん(保護者さん)に守るようお願いしていると思いますが、
そのルールは何のため、誰のためにあるのか改めて振り返ってみると良いと思います。

もちろん、塾の都合だけでルールを決めるなとまでは言いませんが、
生徒さんや保護者さんに理不尽な負担を押し付けるようなルールがあるのなら、
それは見直してみても良いのかもしれませんね。

【今回のまとめ】
・ブラック校則の根本は「管理すること」が目的になっている
・塾でのルール作りも「子どもたちのため」という意識を忘れずに

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安多 秀司 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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