先ごろ、こんなニュースを目にしました。
<日本語指導が必要な子ども、最多6万9123人…昨年度・10年で倍増>
https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyoiku/news/20240808-OYT1T50235/
人材のグローバル化などで、海外にルーツを持つこどもたちが増える一方で、
その子たちの日本語習得がままならず社会問題化しているそうです。
記事によると、実数、前回(2021年度)との比較ともに過去最多を更新しているとのこと。
国や自治体も対応を急いでいるものの、
そうした子どもたちの増加に人員や対策が追い付いていないのだとか。
自分の立場に置き換えても、
もし英語が分からないのに留学して現地で授業を受けたら……と考えると、
学校の授業がどれだけ苦痛で退屈かよく分かります。
当然、内容なんて理解できるはずもありませんし、勉強が嫌いになります。
結果として、彼らの多くは進学や就職でも大きなハンデを背負っており、
高校進学率90.3%(中学生全体で99.0%)、大学進学率46.6%(高校生全体で75.0%)、
高校中退率は8.5%(同1.1%)、高卒就職においても非正規雇用が38.66%(同3.1%)と、
不利な状況に追い込まれています。
また、小中学校に通う(はずの)年齢の子どものうち、
8601人が就学すらできていない可能性も明らかになりました。
いかがでしょうか?
これって、かなり由々しき問題だと思います。
塾で何とか助けてあげることはできないでしょうか。
やりようによっては、事業化も可能かもしれません。
ここからは、あえてビジネスの観点に絞ってお話しますが、
日本全体で子どもの数が少なくなる中で、
学習塾経営も多角化が進んでいるのはご存じのとおりです。
学童保育や放課後等デイサービスの分野に乗り出す塾さんもありますし、
弊社も別事業で通信制高校サポート校やフリースクールを運営しています。
そうした意味で「日本語サポートができる民間教育機関」も
ニーズがあるのではないかと思います。
調べてみたところ、そうした専門塾のようなものはいくつかあるようですが、
NPOやボランティアによる運営になっている団体も多く、
市場としてブルーオーシャンになるかもしれません。
こうした子どもたちは、主に製造業の工場などがあり、
そこで働く外国人労働者が暮らす地域に多いようですが、そればかりとは限らないはずです。
みなさんの地元ではいかがでしょうか?
人知れず困っている家庭があるかもしれません。
一度、実態を調査してみるのも良いでしょう。
これは仮説ですが、そうした家庭は
そもそも「塾に頼る」という発想がない可能性があります。
日本語が不自由で学校の授業さえままならないのに、
「塾なんか行けるわけがない(行っても仕方ない)」、
「少なくとも日本語による学習に支障がない子が行くところ」と思っているかもということです。
確かに、サポート体制のない現状ではそうかもしれませんが、
他にないからこそビジネス的にはチャンスと言えます。
「人の困りごとで金儲けをするのは……」と思われるかもしれませんが、
すべてのビジネスは誰かの困りごとの解決のために存在するものですし、
決して悪いことではないはずです。
実際、社会福祉的な対策が追い付いていないなら、
民間事業者がそれをカバーするのはおかしいことではありませんし、
「塾」とは本来そういう存在だったはず。
補習型の塾にしても、超進学塾にしても、
公教育の枠や体制ではカバーしきれない子どもたちの力になるべく生まれました。
だとしたら、「日本語指導」を含めた学習サポートもまた、立派な社会貢献です。
ちなみに、外国籍を持つ児童生徒の母国語の内訳は、ポルトガル語(20.8%)が最も多く、
次いで中国語(20.6%)、ベトナム語(6.5%)、スペイン語(6.4%)と続くそう。
一方、日本国籍を持ってはいるけれど日本語に不自由な子どもたちの言語は、多い順に
日本語(30.5%)、フィリピン語(19.4%)、中国語(16.6%)、英語(14.9%)となっています。
近年はオンライン英会話などもありますし、
必ずしも教室の地元地域でバイリンガル講師を探す必要はありません。
そう考えると、チャンスはあるのではないかと感じます。
いかがでしょうか?
ビジネス的な新規開拓という面はもちろんながら、
「学習面で困っている子どもたちを助ける」という塾の本懐にもピタッと当てはまります。
考えてみても良いかもしれませんね。
【今回のまとめ】
・日本語指導が必要な子どもたちの数は過去最多
・塾事業におけるブルーオーシャンとなるかも