【Vol.606(2022.07.22)】オンラインでは成績は上がらない!?

塾は夏期講習に突入していきますが、
こうなるといつオンライン授業への切り替えが必要になるか分かりません。

いつそうなってもいいように準備をしておくことが大事ですが、
2020年の学校一斉休校のときの経験がありますから、
オンライン授業を実施すること自体には免疫ができている方も多いと思います。

しかし、この「慣れ」は少し危険かもしれません。
オンライン授業が普通に行えるようになったからこそ、出てくる問題もあります。

こんな記事を見つけました。

<塾のオンライン授業、成績上向く例は少数?>
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD08CRE0Y2A700C2000000/

会員登録しないと読めない記事ですので内容を要約すると、

・ある集団塾でオンライン授業を実施しているが、対面でもオンラインでも受講は可能
・そんな中、オンラインだけで参加しているある生徒の成績が伸びない
・授業にアクセスしているのは分かっているが、きちんと受講しているかは不明
・なぜ対面に参加しないのか聞くと「オンラインのほうが何となく楽だから」と言う
・確かにオンラインだと、対面授業のような目配りや助言、注意が行き届きにくい面がある
・オンラインは、明確な目的意識がないと易きに流れてしまうのではないか

という内容です。

生徒さんのほうが「オンラインは(先生があれこれ目を光らせてないので)楽だ」と、
うまくサボる技術、すなわり「ずるさ」を覚えてしまったということなのでしょう。

うーん、確かに。

個別指導のオンラインは、そこまで生徒のケアが散漫になることはなさそうですが、
生徒さん側の姿勢に問題が起こりうることは注意しておく必要はありそうです。

記事の中にもありますが、遠方から通塾している生徒の多くは、
オンラインの活用を「時間を有効的に使える」と喜び、実際に成績も伸びたそう。

それは、生徒さん側がやる気や主体性を持っているという前提があるから。

やる気があるからこそ、オンラインの利点を活用してしっかり成績を伸ばしています。
成績を伸ばすために、オンラインを活用しているとも言えますね。

しかし、件の成績が伸びない生徒さんは逆です。

「ずるや楽をするためにオンラインを選んでいる」と言えます。

この場合の「楽」は通塾時間が減るなどの「効率化」ではなく、
単なる怠け心としての「楽」です。

2020年時に早稲田大学が行った、
オンライン授業に対する学生さんの評価を調査したデータがあります。

早稲田大学
オンライン授業に関する調査結果(2020年度春学期) オンライン授業に関する調査結果(2020年度春学期)  新型コロナウイルス感染症の影響を受け、本学では2020年度春学期のすべての授業をオンラインで実施いたしました。こ...

これによると、おおむね前向きな評価をしていることが分かります。

ただ、(こういう言い方はどうかと思いますが)早稲田の学生さんです。

それなりに学習意欲や学力が高い人たちで、
勉強に対して主体的に臨むことに慣れているという
前提条件を忘れてはいけないでしょう。

オンラインが出回り始めたころは、物珍しさもありましたし、
生徒さんたちも慣れないながら、何とかそれを使いこなそうという意識があったと思います。

ところがこれだけオンラインが「普通のこと」になると、
生徒さんたちも悪い意味でレベルアップし、
「手の抜きどころ」を習得してしまうのかもしれませんね。

したがって、もし再び教室全体の規模でオンラインを活用することになった場合、
生徒さんたちの学習意欲や集中力、態度はより注意深く見守る必要がありそうです。

いつもどおりの授業をオンラインで再現しているつもりでも、
生徒さんはモチベーションが低い状態で参加しているかもしれませんよ。

特に対面とオンラインを選択できる、
あるいはオンライン一本で授業を展開されている塾さんは、
いま一度、生徒さんがなぜオンラインを使うのか、調査してみてもいいかもしれませんね。

【今回のまとめ】
・オンライン、慣れてきたからこその落とし穴
・オンライン受講希望者は、なぜオンラインが良いのか確認してみては?

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安多 秀司のアバター 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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