【Vol.628(2022.10.07)】背の順に並ぶのはいじめ!?

先ごろ、こんなニュースを目にしました。

<小学校“背の順”は「差別」 現役教員「いじめの一つと考えてもいい」
https://news.livedoor.com/article/detail/22941881/

学校の集会などでは、いわゆる「背の順」で並びますが、
背の高さにコンプレックスを抱く子もいるので、
名簿順に変えたほうが良いのではないかという主張です。

近年、社会に浸透してきた「ポリティカル・コレクトネス」(通称:ポリコレ)の考え方と
言ってもいいかもしれないですね。

ポリコレとは、性別や宗教、民族など特定の条件や属性を持つ人たちに、
不快感や不利益を与えないようにしよう、
あるいはそのために中立的な表現を用いることを意識しようという発想です。

例えば「スチュワーデス」ではなく「客室乗務員」と呼ぶのも、
「障害」ではなく「障がい」とするのもポリコレの一環です。

さて今回の一件ですが、記事内での子どもたちや保護者さんの声を見る限りでは
「(背の順でも)別に気にしない」という声が主流のようですので、
そこだけ見れば、過剰に心配しすぎではないかという気もします。

ただ、私たちが忘れてはならないのは
「たとえ少数でも、嫌な思いをしている子がいる」ということです。

ほとんどの人が気にしないのだから、
気にするほうが悪いんだという発想はいじめと同じ構造です。

よく、いじめているほうが「いじめという認識はなかった」と弁解しますが、
本当にそう思っていたとしても、相手がイヤだと思っているならそれはいじめですものね。

これをふまえ、塾でもある程度はポリコレを意識しておくべきだと思います。

例えば、成績で席順を決めたり、定期テストの結果を壁に貼り出したりしますよね。

もちろんそれにはきちんとした理由や意義があるのは重々承知ですし、
否定するものではありませんが、それがイヤな子がいるかもしれない、
という意識だけでも持っておく必要があると思います。

頑張った成果を貼りだしてもらえことがモチベーションに繋がるのは分かりますが、
逆に傷つく人が一部にでもいるなら、配慮する余地はあってもいいのかもしれません。

また、性差も意識することが大事です。

以前の当メルマガでも少し触れたことがありますが、
大学生の講師(男性)に何気ないコミュニケーションのつもりで
「大学で彼女はできたかい?」と聞いたとしましょう。

しかし、その講師は性的マイノリティ―で、そのことを隠しているかもしれません。

だとすると「いやー、できないっすね!」と笑ってごまかしながらも、
心は傷ついている可能性があります。

だとしたら、「恋人はできたかい?」でもいいかもしれませんよね。

そもそも恋愛に興味がない人もいるわけですから、
「誰もが恋人がほしいと思っているはず」という前提での接し方や言葉は
相手を傷つけてしまう場合もあるのです。

確かに、ポリコレも行きすぎるとキリがありません。
揚げ足取りや、言葉狩りのようになってしまっては、誰も何も言えなくなってしまいます。

ただ、学習塾のようなサービス産業の場合、対生徒さんにしても保護者さんにしても、
講師にしても、対応や言葉選びは少し神経質なくらいでちょうどよいかもしれません。

ハラスメント問題にもなりかねませんしね。

大事なのは、こちらが当たり前だと思っていたり、気にしていなかったりすることでも、
相手はそうとは限らないという思いやりを持てること。

そこから始めてみるだけでも、かなり違うのではないでしょうか。

【今回のまとめ】
・自分の当り前が、相手にとっても当たり前とは限らない
・少数派の意見も忘れずに

この情報をシェア
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

安多 秀司のアバター 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

目次