【Vol.671(2023.03.08)】授業料値上げのタイミング

前回、「新規開校時の授業料設定」というテーマでお届けいたしましたが、
今回は開校後のお話です。

「授業料の値上げのタイミング」についてお届けしたいと思います。

前回の内容もふまえた上でお伝えしますので、未読の方はぜひ下記よりご一読ください。

【新規開校時の授業料設定】
https://r-partners.jp/669/

さて、弊塾は2008年7月に兵庫県宝塚市に開校しました。
指導形態は、一般的な個別指導でもある1(講師):2(生徒さん)、指導時間は1回75分です。

開校当時(2008年)の指導単価(1回・75分)は、
●中1~2・・・2,450円
●中3・・・2,700円

でした。ともに税込(当時の消費税率は5%)です。

ちなみに現在(2023年)は
●中1~2・・・4,070円
●中3・・・4,400円

です。消費税率がアップしたぶんを含めて、開校時の約1.5倍になっています。

現在に至るまで、価格改定(値上げ)は5回行なっていますが、
下記は2008年〜2023年における中3の指導単価(1回・75分)の変化です。

消費税率も変わっていますので、ここでは分かりやすいように税別で表記します。

・1回目・・・2,570円(2008〜2011年)
・2回目・・・2,700円(2012〜2013年)
・3回目・・・3,500円(2014〜2015年)
・4回目・・・3,700円(2016〜2021年)
・5回目・・・4,000円(2022年〜)

ちなみに1〜4回目の値上げは「新規生」のみで、
既存生は入会当初の指導単価のままにしていました。

昨年実施した5回目の値上げに限り、既存生も同様に新単価とさせていただきました。

弊塾で値上げを行う際の判断材料となったポイントは2つあります。

(1)需要と供給のバランスが崩れたとき
(2)コロナによるさまざまな影響

です。

(1)需要と供給のバランスが崩れたとき

弊塾は、運も良かったのかおかげさまで開校からある程度順調に生徒数が増えていきました。
地域最安値という価格設定も、うまくハマってくれたのだろうと思います。

生徒数は2年目(2009年)で80名、3年目(2010年)には100名を超えました。

もともと地域に密着した個人塾を作りたいという想いが強く、
教室長と話し合って4年目(2011年)からは定員制としました。

年によって最大生徒数は多少異なりますが、上限を設けた形です。

そうしたとき、当然ながらそれ以上の入塾希望についてはお断りすることになります。

当時、毎年80〜100件近く問い合わせをいただいていたのですが、
新規で受け入れられる数は限られます。

中3生も8割近く高校継続してくれていたので、
実質「高3卒業生数+数名」の計20名前後が新規入会で対応できる数でした。

「塾に入りたい」と言ってくださっているのに対応できない形が3〜4年ほど続き、
本当に心が痛みました。

需要と供給のバランスがとても悪かったと今でも反省しています。

そこで「指導単価が高くなっても、フォレスト(弊塾)に通いたい」と思っていただけるご家庭に
フォーカスを当てることにしたのです。

それが2014年の価格改定(中3単価:2,700円→3,500円)です。

一気に約30%値上げですから、かなり思い切った設定だったと思います。

その甲斐もあり(?)、問い合わせ数は半減(年間40〜50件)しました。

しかし、弊塾にとってはそのあたりがちょうど
需要と供給のバランスが取れた問い合わせ数だったのです。

それでもまだ需要のほうが過多気味だったため、
2年後の2016年に3,500円→3,700円(6%増額)とさせていただきました。

その後は年間40件前後の問い合わせで推移しており、
弊塾としては需要と供給のバランスがほどよい教室運営となっております。

ただし先述したように、このとき既存生は値上げしなかったことが重要です。

入塾時の指導単価に納得してご入会いただいたわけですし、
彼らにしわ寄せがいかないことには徹底的にこだわりました。

そのため、同じ学年でも指導単価が異なるケースがあり、
お月謝などの請求は少し煩雑にはなりました。

(2)コロナによるさまざまな影響

これはみなさんも痛烈に感じておられるのではないでしょうか。

コロナの影響だけではないかもしれませんが、物価や光熱費の上昇は止まりません。
コンビニでお弁当を買うときも「うわ、高くなったな」とつくづく感じます。

学習塾に関連することであれば、什器やコピー用紙、教材なども値上がりしています。
教室の電気代なんて2倍近くなっていて気絶しそうです(笑)。

これは仕方ないことですが、物価や光熱費が上昇するということは、
単に経費がアップするというだけにとどまりません。

物価水準の合わせてスタッフさんの給与もアップさせないと、
彼らが以前の生活レベルを維持できなくなります。

そうしたインフレ状態に対応すべく、
弊塾は講師給与の基本給のベースアップを2回行ないました。

社員の給与も上げています。

すると、経費や人件費の上昇で教室の収支バランスが崩れるおそれがあり、
自社努力だけで今までと同じサービスの質を維持することは困難になります。

そこで、昨年値上げに踏み切りました。

今回は初めて既存生も値上げしましたが、保護者のみなさまも、
コロナをとりまく現状をご理解してくださったと思っています。

いかがでしたか?

弊塾の値上げのタイミングは、「需要と供給のバランスが崩れたとき」と「コロナの影響」でした。

値上げをすることでご家庭の負担額は増えてしまいますが、
それ以上の価値を提供するよう工夫も大切です。

「生徒さんや保護者さんのために値上げしない!」という
強い思いの方もいらっしゃると思いますが、それによってあなたやスタッフに無理が生じたり、
塾のクオリティが安かろう悪かろうになったりしては意味がありません。

値上げという行為はお互いがハッピーになる要素も秘めていることを忘れずに、
必要であれば思い切って価格を見直すことも大事です。

ただし、単なる便乗値上げにだけならないように気をつけてくださいね!

【今回のまとめ】
・需要と供給のバランスが崩れた際、値上げは有効
・コロナの影響は大。値上げも検討を!

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安多 秀司 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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