【Vol.721(2023.08.30)】新学期の始まりは、アンテナをしっかり立てよう(夏休み明けver.)

地域にもよると思いますが、ようやく長い長い夏休みが終わりましたね。

しかし、これだけ長期の休み明けには、生徒さんにかなりのプレッシャーがかかります。

生徒さんによってプレッシャーの度合いは様々でしょうが、
「学校に行きたくない」と精神的に追い詰められる生徒さんが必ず出てくるものです。

今は、クラスに1〜2名は不登校の生徒さんがいる時代ですから、
みなさんの塾に通われている生徒さんの中にも、
本気で辛いと感じている子がいるかもしれません。

そうした生徒さんの気持ちや変化にアンテナを張ろうというのが今回のテーマですが、
実は春休み明けのタイミングでも、同じテーマをお送りしています。

重複する部分も多いですが、大事なことなので「夏休み明け版」としてお話しさせてください。

さて、春休み明けはクラス替えなどもあり、生徒さんを取り巻く環境も大きく変わりますので、
生徒さんにストレスがかかりやすくなります。

一方で夏休み明けは、1ヶ月以上にわたり学校が休みであることが影響する
トラブルやストレスが発生することが多いです。

教育評論家の親野智可等(おやの・ちから)先生の記事がとても参考になりました。

【夏休み明け「子どものSOS」親が知らない“危機”】
https://toyokeizai.net/articles/-/696727

親野先生は、夏休み明けに不登校になる理由をこう挙げておられます。
1、夏休み前に友達とトラブルがあった。またはいじめに遭っていた
2、夏休み中にSNSでのいじめやトラブルがあった
3、夏休み前から先生との関係がうまくいっていなかった
4、夏休み中にSNSやゲームなどをやりすぎて生活リズムが乱れてしまった
5、新学期の学校生活・行事・勉強への不安(給食の時間がつらいとか部活動がつらいなども意外に多い)
6、夏休み中に起立性調節障害が発症したり悪化したりした
7、集団的な行動が多い学校のシステムそのものが苦手
8、家庭環境や親子関係の急激な変化による不安感
9、発達障害、知的障害、情緒的障害など各種障害
10、漠然とした不安

現場の体感としては、やはり1ヶ月半もの長期休みだと、
非受験生は生活リズムが乱れがちだと感じます。
(弊塾では、受験生は全員10:00から通塾していたので、その点は安心です)

塾は週1~2回しか生徒さんと顔を合わせることができませんが、
彼らの表情や発する言葉などは注意深く観察しておきましょう。

「ちょっと顔色悪いな」と思ったら、面談室で1on1をしたり、保護者さんへ連絡したりと、
周りを巻き込んで生徒さんのフォローをしていくことが肝要です。

常に元気いっぱいの子でも、意外とストレスを感じているものです。
先入観は判断を鈍らせますから、フラットな状態で生徒さんと接するように心がけましょう。

また、自分1人や社員さんだけでなく、学生講師やスタッフにも通達して
元気がない生徒さんや「学校に行きたくない」などの発言が見られた場合は、
すぐに報告するようにルールを共有しておくことをお勧めします。

生徒さんの変化やストレスに気付くためのアンテナを立てておくべきポイントは、
以下のようなものが挙げられます。

・普段遅刻(欠席)しない生徒さんが遅刻(欠席)する
・あいさつや返事などに元気や覇気がない
・授業中にぼーっとしている
・ため息をよくつく
・目に生気がない(うつろ)

私は専門家ではないのでありきたりのことしか書いていませんが、
常に生徒さんの様子を見ている私たちだからこそ、
ちょっとした変化に気づける可能性があります。

もちろん、精神的なものではなく、
単に学校が始まったことで体力的に疲れているだけのこともあるでしょう。

それでもしっかり、面談や保護者連絡を行うようにしてください。
やりすぎるぐらいがちょうどいいです。

「電話しておけばよかった」と後悔だけはしないことが大切です。

また、保護者さんにも、下記のような内容でアラートを出すようにしています。

〜〜〜〜〜
フォレスト生 保護者各位

お世話になります。個別教育フォレストの安多と申します。いつもありがとうございます。

早いもので夏休みも終わろうとしています。
主に中学校は明日から、高校は金曜日から新学期が始まります。

新学期が始まりましたら、
しばらくの間はお子さまの表情を今まで以上に見ていただきますようお願いいたします。
色々な悩みや不安などから、学校へ行きたくないと思われる可能性があるからです。

もし「学校へ行くのがイヤだ」と言われた場合は、
まずお子さまのお話を共感して聞いていただけけると幸いです。

話を聞かずに「学校は行くものだ」「学校は行って当然」というように、
無理に登校させてしまった場合、お子さまがさらに苦しんでしまう可能性があります。

ご自宅が安心できる場所にしておかないと、お子さまの逃げ場がなくなります。
お子さまが安らかな気持ちで幸せに生活できることが最優先です。
ご自宅でのサポートどうぞよろしくお願いいたします。

参考<夏休み明け「子どものSOS」/親が知らない”危機”「想像以上につらい」>
https://toyokeizai.net/articles/-/696727

私たちもお子さまの様子が気になりましたらすぐに連絡いたします。
保護者さまもご自宅で気になることがございましたら、いつでもご連絡くださいませ。
よろしくお願いいたします。

個別教育フォレスト 安多
〜〜〜〜〜

「学校へ行かない選択肢」も昔に比べ、かなり一般化してきた感じも受けます。

個人的にはとてもいいことだと思っていますし、
我が家では年に3回ほど「学校を休みたかったら休んでもいい日」を設けています。

それと、今年度からの大きな変化として、マスクの着脱問題もあります。

「やっと外せた!」という生徒さんも多いと思いますが、
一方で「マスクを外すのが怖い」「マスクをしていない人と話すのが怖い」
という生徒さんもいまだに一定数いるであろうことを忘れてはいけません。

ちなみに、小学生の我が子は、
「給食をグループで食べるのが嫌だ」
「机を動かさずに各自が前を向いて黙食する形のほうが、自分のペースで食べられて気楽」
と言っています。

机を向かい合わせてグループで食べることになれば、
「学校へ行きたくない」と言い出す可能性もあると思っています。

そもそも、これまで3年もの間、マスクをするのが当然の世の中でしたので、
外すことへの抵抗を感じる人がいるのは当然です。

同じ3年間でも、その長さの感じ方は大人と子どもで大きく違い、
子どものほうが、同じ期間でも体感的には長く感じます(ジャネーの法則)。

こうした違いも、ストレスを増長させ負荷をかける要因となりますので、
気をつけておきたいところです。

なお、弊塾の今のスタンスとしては
・生徒さんはマスク不要で授業を受けて大丈夫
・社員や講師には、感染予防のために着用
としています。

マスクをしていない人に怖さを感じる生徒さんへのせめてものフォローですし、
実際にマスクをすることで、生徒さんからの感染予防にはなりますから。

お医者さんや看護師さんなどはマスク着用されているのも、
マスクの予防効果が高いからではないでしょうか。

いかがでしたか。

生徒さんのわずかなサインもできるだけ見逃さないよう、
新学期の始まりは普段以上にアンテナ感度を高めておきたいですね。

あなたの一言・行動が、生徒さんの心を癒すかもしれません。

塾のミッションは、成績を上げるだけがすべてではないと思います。
伴走者として一緒にサポートしていきましょう。

【今回のまとめ】
・新学期が始まると、生徒さんは精神的に不安定になりがち
・生徒さんのSOSサインを見逃さないようアンテナ感度を爆上げする

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安多 秀司 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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