【Vol.729(2023.09.27)】働きやすい職場環境を作る工夫を

国が進める働き方改革や個々の価値感の変化から、
社会人の働き方が大きく変わってきたと感じています。

個人的にはどうなん?と思う部分もありますが(笑)、
一方で副業が一般的になってくるなど、良い面も感じています。

みなさんはどう感じておられますか?

個別指導塾では、大学生のアルバイトを雇っているケースがほとんどだと思います。

しかし、Z世代と呼ばれる現代の大学生の価値観は、私たち世代とは大きく異なります。

【Z世代とは?(マイナビ)】
https://saponet.mynavi.jp/column/detail/s_kenshu_s20230428095429.html

特にワークライフバランスを重視し、安心・安定を求める傾向があるそうです。
また自分が成長できるかどうかなどもポイントのようです。

感覚値になりますが、昔に比べたら
「夏期講習、朝から夜まで入ります!」や「週4〜5日働けます!」など、
とにかくめちゃくちゃ働きたいタイプの学生講師は
減ってきたなという印象です(労働時間の問題もありますが)。

【学生アルバイトはどう変わったのか 2018・2023年比較(リクルート)】
https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/assets/20230224_hr_01.pdf

大学生のアルバイトに対する価値観の変化も、私たちが学んでいかないといけませんね。

そういったこともあり、弊塾もできるだけ
学生講師が働きやすい・応募しやすい環境を作るように努力しています。

ここ数年での取り組みを5つほどシェアしてみますね。

(1)授業終了時間を15分早めた

以前は最終授業が21:55に終了していましたが、
帰りが遅くなるのが少し心配・不安という声もあり、
2年前からすべて15分前倒しにして21:40終了に変更しました。

たかだ15分ですが、されど15分。やってよかったと思います。

学生講師だけでなく、社員も15分早く帰社できるわけですから、
みんながハッピーになった仕組みだと思います。

可能な限り終業時間を早めるのも、学生講師にとって働きやすい環境だと感じています。

(2)基本時給をアップした

コロナ禍前は、時給1,208円〜だったのですが、
円安や物価上昇などを配慮して、段階的に賃金をアップしました。

今年の4月からは時給1,400円〜となっています(頑張りました・笑)。

アルバイトでも、時給が高いほうが良い人材が応募してくれる確率がアップしますので、
その分、良い採用ができたと思っています。

今年度は応募数が近年で最高でした。
時給が高いというのも大きなポイントだったと思います。

ただし、講師人件費が以前に比べ15%程度アップしていますので、
それに伴い授業料単価の値上げも行いました。

講師採用にお金をかけれなければ、良い人材が集まらず内部充実も低下します。

そして退塾で売上も減少する負のスパイラルは避けなければいけません。

授業料の安さをウリにするのも一つの戦略ではありますが、
なかなか時給を上げることもできず、良い学生講師の確保が難しくなりますので、
今の時代だとちょっとしんどいのではないかと感じています。

(3)準備手当や休憩給を設定した

弊塾では、「10分前出社・授業後20分残務」として、
授業に対する時給とは別に準備手当をつけています。

賃金が払われますので、堂々と「授業が始まる10分前に必ず出社してください」、
「授業後の残務もきちんと行ってください」と言えます。

授業前後の手当はつけていない塾さんもあるようですが、
給与を払わずにそれを強要していたら法的にも完全にアウトですよ。

また、授業と授業の間には10分の休憩時間があります。

その時間も給与を支払っていますので、
教室での拘束時間すべてに給与が発生する仕組みですね。

同様の対応をされている塾さんも多いと思いますが、
きちんと給料を払ってくれる塾と、講師の善意に頼ってボランティアを強いる塾と、
どちらが働きやすいかは一目瞭然ではないでしょうか。

(4)過去問などの予習手当をつけた

特に今の時期、大学の推薦入試に向けて
過去問を解説する授業を行ってもらっているケースがあります。

しかし、授業が始まる直前に過去問を渡すようであれば、初見でまともな解説はできません。

そこで弊塾では、事前に予習として自宅で解いてきてもらっています。

過去問だけでなく、現代文や古文の読解なども同様です。

もちろんここにも賃金を発生させ、内容に応じて15〜60分の予習手当をつけています。

そうでなければ講師の善意に甘える形になりますので、
自宅に仕事を持ち帰って(持ち帰らされて)いるサラリーマンの構造と同じです。

講師が自塾のための費やしてくれる時間はれっきとした労働であり、
しっかりと対価を払うべきではないでしょうか。

こうした基本給アップ、準備手当や休憩給、予習手当などを考えると、
それなりの人件費となり、それは授業料単価にはね返っていきます。

しかし、投資したぶんだけ質の高い授業が可能になりますので、
授業料を値上げすることに矛盾はありません。

質の高い講師を確保でき、
指導力アップによる合格実績や内部充実の徹底を図れる好循環なります。

(5)就活支援として、外部講師を招いてセミナー開催

大学は就活予備校と揶揄されることもあるくらい、
大学生の学生生活にとっては就活の比重は高いです。

そこで弊塾では、少しでも就活支援ができればと、
定期的に就活に役立つセミナーや研修を行っています。

具体的には、就職活動のポイントや志望理由書の書き方など、
就活に直結した内容のほか、挨拶やお辞儀の作法、第一印象の大切さを学ぶ
マナー研修の開催などです。

就活セミナーでは、お知らせ欄で告知中の「面談研修」講師、
株式会社ZEST・林大輔代表にお話いただいています。

サントリー社で人事に携わっておられた経験から、
企業側の視点がとても勉強になるんですよね。

また、塾講師のアルバイトが就活に(だけでなく社会出てからも)
非常に役に立つ仕事であることも伝えてくださるため、
塾講師の意識やレベルアップにつながって一石二鳥です。

マナー研修ではANAのCAさんを講師にお招きし、プロの視点を学びます。

また、卒業して就職した講師にお願いし、講演してもらうこともありますよ。

今のどんな仕事をしているのか、
社会人にとって必要なことや大学時代にやっておいたほうが良いことなど、
リアルな先輩の声を聞くことができるので、とても役立っています。

講師のころは20歳そこそこだった若者が、
社会人になって立派に活躍している姿を見ていつも泣きそうになっています(笑)

いかがでしたでしょうか。

どの個別指導塾さんも、学生講師をとても大切にされているはずし、
色々と工夫して講師が働きやすい環境を作っておられると思います。

弊塾もまだまだですが、これらの取り組みが少しでも参考になれば幸いです。

最後に、私の超個人的な考えを少し。

今の時代、若いうちから自分の時間を大切にするという考えももちろん素敵だと思います。

一方で、もう少し頑張って、20〜30代はできるだけ仕事をしておいたほうが
市場価値というか、付加価値が高まるのにな~と思ったりもします。

自己投資だと思って、体力や時間のあるうちにどんどん働いておけば
40〜50代になっても必要とされる人材になれる可能性がアップしますしね。

まあそもそも、仕事に全力投球して自分の価値を高めるとか、
社会的地位などに魅力を見出さないのがZ世代なわけですから、
結局は個人の価値観になってしまうのでしょうが……

そこで私は、コミュニケーションがしっかり取れている講師限定ではありますが、
「無理しすぎはダメだが、可能であれば周りの2倍は働くといいよ」と伝えています。

しかし、ブラック企業はすぐにやめるようにと(笑)。

とはいえ、自分達の価値観を押し付けても絶対ダメですし、
Z世代の価値観に共感できなくても、せめて理解する姿勢は必要なのではないでしょうか。

ホント難しいですね!

歩み寄りや、学ぼうという気持ちが大切だと思います。

【今回のまとめ】
・学生講師が働きやすい環境を作る意識を高める
・時代が変わっていることを私たちが受け入れる

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安多 秀司 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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