【Vol.741(2023.11.08)】教室運営での失敗3選

いつもは「こうすれば教室運営にプラスになる」というスタンスでお届けしていますが、
今日は少し趣を変えて、私の失敗事例を3つピックアップしてお届けしたいと思います。

日頃から山ほど失敗していますが、特に印象に残っている失敗3選です。

失敗から学べることって多いですよね。
実際、私はビジネス書籍などでも、成功本より失敗本の方が私は好きです。

成功は属人性が高い場合もありますし、たまたまうまくいった場合もあります。

しかし、失敗はなるべくしてなるので、教室運営のヒントにつながる可能性が高まります。

私の失敗を参考にしていただき、参考にしていただければ幸いです。
ではいきましょう!

(1)春休みに新高1生を勉強させすぎて、退塾に

弊塾の中3継続率は毎年70%前後です。
ありがたい話で、多くの中3生がそのまま高校生になっても続けてくれます。

せっかく続けて通ってもらえることになりましたので、
私たちとしては、充実した高校生活を送ってもらいたい、
良い成績を収めてもらいたいと思うわけです。

そこで気合を入れて、高校入試が終わって2週間も経たない春休みに
「高校先取り講座」として、継続した生徒さん全員にガッツリ授業を入れたことがあります。

春休み中に数学は2次関数の範囲まで、
英語は文型・時制・助動詞・受動態・不定詞を終わらせるという
かなりスパルタのカリキュラムです。

具体的には、春休みの2週間、週4日(1日あたり5時間)の通塾で、

生徒さんが高校に入ってから苦労しないために、
1学期の内容を春休みで終わらせようという内容でした。

しかし、生徒さんからすれば、
「あれだけ頑張った受験が終わったばかりなのに、もうこんなに勉強をやらされるのか」
と、テンションがダダ下がりになりました。

今思えば、まったくもって間違った考えだったのですが、当時の私は逆に
「受験期にあれだけ勉強していたのだから、同じぐらいできるはず」という感覚だったのです。

中3時にあれだけ勉強していたのは、
高校入試で合格するという目標があったからですよね。

言ってみれば、死に物狂いでフルマラソンを完走したと思ったら、
ゴールしたとたんに「あと10km走りなさい」と言われるようなものです。

きついに決まっています。

もちろん、この負荷をきっちりとこなし力をつけた生徒さんもいましたが、
耐えきれなくなって休む生徒さんがちらほら出る始末。

春休みを終える頃に保護者さんから
「子どもがゆっくりと高校生活を送りたいと言っているので、一旦塾をお休みさせます」
という連絡をいただき、そのまま退塾となってしまいました。

せっかく高校からも通塾継続の意思を示してくださっていたにも関わらず、
私のやり方のまずさで最悪の結果となってしまったのです。

良かれと思ってやったことであっても、
必ずしも良い結果をもたらすわけではないと学びました。

それ以来、中3時の猛烈に勉強していた印象をリセットし、
生徒さん(新高1)にも、新中1に接するような意識を心がけています。

高校入学前の講座は継続しましたが、通塾回数や自習時間を減らしたり、
本人の希望を聞いた上で日数などを相談するような仕組みに修正しました。

ただし、本人の希望ばかり聞いていると単なる甘やかしになってしまい、
スタートダッシュに乗り遅れる可能性が懸念されるので、
そのあたりはうまい塩梅で調整するよう気をつけています。

(2)微妙だった学生講師を採用してしまい、トラブルに

弊社の講師採用セミナーでは、
いつも「(職務適正が)微妙な講師は採用してはいけない」と言い切っています。

それはこのような私の失敗談からなのです。

当時、弊塾で働いてくれていた講師の紹介があって、
ある学生の採用面接をしたのですが、正直ボーダーライン(ちょい下)ぐらいでした。

ちょっと雰囲気が暗かったのと、あまり人の目を見ず話すのが少し引っ掛かっていました。

通常の講師募集ルートであればまず採用しなかったと思いますが、
紹介してくれた講師や当人への情もあって採用することに。

働きぶりとしては、頭もいいですし授業も無難にこなすので、
まあ悪くないかなと思っていたのですが、徐々に変わっていきました。

多くの高3生の現代文や、大学過去問の国語を任せていたのですが、
相応のポジションや仕事量を任されたことに勘違いしたのかもしれません。

「授業は自分のやり方でやりたい」、
「ウマが合わない講師がいるので、(その講師の)曜日を変えてほしい」、
「過去問プリントの準備をやっておいてほしい(担当講師が行うルールなのに)」
などと言うようになってきました。

高3生を見てもらっていることや秋の公募推薦入試が近かったので、
要望には応えずしばらくは私が対応し、なだめつつ進めてもらっていました。

しかし、しばらくたってから、
「私の要望を通さないと、今すぐ辞めますがいいんですか」と超絶上から言ってきたのです。

自分が高3をたくさん見ているので、辞めさせるわけがないだろうとタカを括って、
自分の主張を通そうとしたのでしょう。

私は即座に「はい、では今すぐ辞めてください」と伝え、そのまま退職してもらいました。

まさかと思ったのか、本人は唖然とした顔をしていましたが、
やがて逆ギレしながら去って行った姿をよく覚えています。

確かに、労働力としては必要な人材でしたが、
このまま教室に残しておけばいろいろな悪影響が出ると思い、
後先考えずに瞬時に口から出てしまいました。

教室長も講師の退職には納得(というか賛成)していましたので、
高3の授業は教室長がほぼすべて担当してもらい、
授業マシーンのごとく生徒を志望校へと導いてくれました。

本当に、今でも感謝しかありません。

やはり、どれだけ講師数が足りなくても、
微妙なラインの講師を情で採用してはいけないとつくづく思います。

この経験を通じて、良い人材を確保したいのであれば、
応募の母数を思いっきり増やす必要があると学びました。

(3)「やる気ないなら帰れば」と言ったら、本当に帰った

これは10年以上の話です。

私も30代で、勢いもパワーも有り余っている感じでした。

加えて「勉強は気合と根性でなんとでもなる」と本気で思っていた、
無知で単細胞だった時期でもあります。

今思えば恥ずかしい限りですが、そうした刺々しさが招いた失敗です。

高3生で「遅刻する」「自習中寝る」「自習中ダラダラする」といった生徒さんがいました。

注意しても直らず、私もイライラの限界を超えてしまい、感情のまま
「やる気がないなら帰れ。真剣に頑張っている子たちに迷惑だから」と言ったことがあります。

もちろん叱咤激励のつもりでしたし、
それまでも同様のケースで同じような対応をしたことが何度かありましたが、
生徒さんも「いえ、帰りません!頑張ります」という姿勢を見せてくれていたのです。

今回もそうなると思っていました。

しかしこの生徒さんは、逆ギレ気味に荷物をまとめて帰って行ったではないですか。

現代の価値観はそうでもないのかもしれませんが、
まさか「帰れ」と叱られて本当に帰る人がいるとは思わず、私も驚きました。

まあ確かに、帰れと言われたので帰るというのは、理論上は正しいのですが(笑)。

翌日、生徒さんが通塾した際に、1on1で面談を行い、
感情的になって発言したことを詫びると同時に、
なぜ感情的になって発言したかなどを伝えました。

ちょっとは思いが伝わったのか、
その後は生徒さんも少し態度を改めてくれるようになったと感じます。

良いか悪いかはさておき、昔はこうしたスポ根のノリで成り立っていた部分もありましたが、
今の子どもたち(大人も?)は言葉を額面どおり受け取るケースが多いようですね。

また、そうした叱咤激励が良くないという以前に、
この生徒さんとは信頼関係がきちんと構築できていなかったことも反省しました。

自分が心から信頼している人から言われていたら、彼も帰らなかったと思います。
そもそも遅刻もしないでしょうし、自習中も頑張るでしょう。

私の力量不足・コミュニケーション不足が招いた結果だと考えています。

この件があってからは、生徒さんへのアプローチを変えたり、
言い方を上からではなく横から(むしろ下から)にしたりなど、
私自身も良い意味で変わった部分が増えました。

「しんどそうだけど大丈夫?しんどかったら無理せずお家で休んでいいんだよ」
みたいな表現に変わりましたね。

いかがでしたでしょうか。

みなさんも大なり小なりたくさんの失敗をされていると思います。

大切なのは、その失敗から何を学び次に活かしていくかです。
次に活かすことができるのであれば、それは失敗ではなくなりますからね。

同じ過ちを繰り返さないよう、
お互いこれからも元気に楽しく教室運営を行なっていきましょう!

【今回のまとめ】
・失敗したら、その原因と対策を考え、次に繋げる
・いつかは成功するので、実は失敗は失敗ではない

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安多 秀司 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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