【Vol.751(2023.12.13)】教室運営で変えたこと・変えなかったこと(後編/変えなかったこと編)

前々回(12/6)のメルマガで、「教室運営で変えたこと・変えなかったこと」
というテーマでお届けしました。

記事はこちらから
=====
【Vol.749教室運営で変えたこと・変えなかったこと(前編/変えたこと編)】
https://r-partners.jp/951/
=====

教室運営をする上で、ルールや決まりごとは必須です。
しかし、そのルールが「本当に今のままでいいのか」を考えてみる必要があります。

前編となる前回は「考えた結果、変えたもの」をお伝えしましたが、
今回は後編として、考えに考えた上で「変えなかった」事例を挙げてみたいと思います。

それではいってみましょう!

(1)1:2の個別指導のシステム

弊塾は講師1名につき生徒が2名の1:2の個別指導塾です。

16年間、変わらずこの形でやっていますし、
前職・前々職も1:2の個別指導塾で働いていました。

1:2の形が自分の中のステータスとなっていましたが、
ある時、私の師匠が「個別指導は1:4の形が今後うまくいくかもしれない」とおっしゃられ、
「おぉー、マジか」となったことがあります。

その後は色々とシミュレーションをして
「よし、来期からは1:4でいくぞ」という寸前までいたのですが、
最終的には1:2を決断しました。

確かに指導単価を下げたとしても、
1:4だと講師人件費比率がそれ以上に下がり利益が増えます。

講師の数も、理論上は1:2の半分で済みますしね。

また、私や教室長であれば、
1:2の授業の質を1:4でも発揮できる自信もそれなりにありました。

それでも最終的に1:2を選んだのは、塾側の自分勝手な行動による
顧客満足度低下を避けるためです。

1:2を希望して通塾いただいている生徒さんに「来年から1:4に変わるからね」では、
嬉しいはずはないでしょう。

普通に考えて、先生と接する時間が1:2の半分になるのはすぐに分かりますし、
指導単価を下げたところで「安っぽくなった」と思われると判断したからです。

「指導単価を下げる=授業の質を下げる」と見なされる可能性は高いです。

新規で別の場所に1:4の個別指導塾を作るのであれば大いにありでしたが、
現状1:2で行っているものを1:4に変更するのは、
生徒さんや保護者を裏切るような気持ちになり、やめたというわけです。

1:2をメインのままにして、サブ的な講座(理社講座)などを
1:4~1:8にして運用するのはアリだと思い、これは今も行っています。

(2)開校中は社員・事務員が常駐

弊塾は、開校中に常に社員か事務員(=責任者)が教室にいます。
理由はシンプルで、生徒さんの安全面の確保です。

スマートロックなど、生徒さんのスマホで教室を開錠できたりするシステムを導入し、
社員・事務員が不在でも教室が使用できるようにしている塾さんもいらっしゃると思います。

しかし弊塾では、今の世の中を考えると、
生徒さんだけしかいない環境となるのはリスクが高いと判断しました。

弊塾は年間360日開校しているため、この体制を作るのはなかなかハードですが、
保護者さんの立場で考えると、
やはり「責任者が常駐している」ことは大きな安心感になるはずです。

また、自習室開放の日に責任者が不在であると、
生徒さんがおしゃべりばかりして勉強しないのではないかという懸念もあるでしょう。

弊塾の生徒さんたちは静かに勉強する習慣がついているので、
その心配はあまりありませんが、一般的にはやはり誰かに見られている環境のほうが
生徒さんも勉強が捗るとは感じています。

実際、私は誰かに見られていないとすぐにサボっていたので(笑)。

(3)学生講師の採用基準

弊塾の講師採用基準はとても厳しく設定しています。
ここで妥協をしては授業、ひいては塾そのものの質が下がり、
結局は生徒募集にも影響するからです。

やはり相応に大変ですので、正直なところ、
何度、採用基準を下げようかと思ったか分かりませんが、
そこは超えてはならない一線だと思いました。

個別指導塾あるあるで、自塾も基本的には講師数が慢性的に不足しています。

個人塾ですので、講師数が少なければ入塾をストップするなどの荒技も使います。

今年も応募数54件に対して採用は2名と、なかなかの採用率の低さです。

常に「まあボーダーかなって思う子でも、取ってみたらうまくいくかも」と悪魔が囁くのですが、
それに負けないように心を鬼にして戦っています。

面接はすべて教室長が行うのですが、教室長には
「絶対に妥協しなくていい。この子はめちゃいい!と思った子だけ採用するように。
応募数数は私が増やすから」
と伝えています。

採用基準を下げれば、在籍講師数を賄うことはできるかもしれませんが、
それ以上に問題が起きてしまい、教室満足度の低下は避けられません。

10年以上前、「人材としてはちょっと微妙だけど、先生が足りなくなるから」という理由で
少し妥協した採用を行ったことがありました。

しかし、最終的には講師間の輪を乱すわ、私の言うことも聞かずに暴走するわ、
仲の悪い講師と勤務日をずらしてほしいと要求してくるわ、
結局その対応だけで私の時間が奪われました。

一時的ではありますが、教室の雰囲気も悪くなりましたね。

この痛い経験を胸に刻んで、いくら講師が足りない状況でも、
妥協して採用することだけは絶対に行わないと心に決めた次第です。

個別指導塾は講師がキモですので、いい人財に来てもらってナンボの世界だと思います。

(4)手書きメッセージ付きの残暑見舞いや年賀はがき

毎年生徒さんには、残暑見舞いと年賀状を送っています。

ただ単に印刷された味気ないものではなく、
教室で1度でも関わったことがある講師からのメッセージ付きです。

残暑見舞いも年賀状も、塾の繁忙期と重なるため楽ではありません。

また、こうしたアナログな挨拶状をもらって現代の子どもたちが喜ぶのか、
本当に必要なのかと考えたこともありましたが、こんなデジタル時代だからこそ、
手書きのメッセージ付きの温かみが大事なのではないかという結論になりました。

逆張りというんですかね。

かなりの手間暇がかかりますが、
講師も協力的にメッセージを書いてくれますし(もちろん事務給は支払います)、
何より生徒さんの喜ぶ顔を思い浮かべると、「やっぱり、やり続けないとね」と思います。

今年はすでに年賀はがきの宛名も書き終わり、
来週からは講師に手書きのメッセージを書いてもらう予定です。

(5)高3の厳格ルール

弊塾は、高3生に対して厳格とも言えるルールを設けています。

一例を挙げると
・強制自習日の設定・・・4月は平日週3回、5月は平日週4回、6月以降は平日毎日
・単語テスト・・・英単語・英熟語・古文単語を毎週行い、70点未満は日曜日に追試
・外出禁止・・・通塾したら、塾が終わる21:40まで外出禁止
・夏休み・・・平日は10:00~21:40、土日は10:00~19:00で通塾
・私語一切禁止・・・教室内では、私語は一切禁止

などです。

昭和風のスパルタ塾みたいだという自覚はあり、
Z世代の子たちにマッチしてないのではと何度も考えたことがあります。

「自分には合わないのでやめます」という生徒さんも今まで何名かいたことも事実です。

ただその反面、この形がうまくハマり偏差値をグイッと上げて行きたい大学に合格する子や、
「この環境がなければ自分は勉強できませんでした」と言ってくれる子も多数いるので、
やはりこの形を継続したいなという思いで取り組んでいます。

こうした厳しいスタイルについては、数年前から事前告知を行うようにしました。

高2の12月の面談で内容を伝え、
「そのまま通塾する」か「他塾にうつる」か選んでもらうようにしています。

気に入らないなら辞めろということではなく、必要性をしっかり説明した上で、
それでも納得いただけないのであれば、
生徒さん本人のためにもその子に合った塾に通うほうが良いという考えです。

その甲斐もあって、高3になったから退塾するというケースはほとんどありませんが、
結果的に、こうした厳格ルールのもとでも納得して頑張れる生徒さんに通ってもらえるので、
受験などの結果にも結び付きやすく、ルールを変えなくてよかったと心から思います。

いかがでしたでしょうか。

考えた上で、変えないということも本当に大切だと思います。
変えないものは、自塾のこだわりとも言えるかもしれませんね。

「変えたらどうなるだろう」「変えるとどんな良いことがあるだろう」と考え続けることは大切で、
その結果「やっぱり今のままでいこう」となれば、
それが自塾にとってベストに近いやり方なのだと再確認することができます。

何でもかんでも変えればいいと言うものではなく、
変わらないもの・変えないものも大切にしていきたいですね!

みなさんの教室で「変えたもの」「変えなかったもの」があればまた教えてください。

【今回のまとめ】
・むやみやたらに変える必要もない
・変えないものは自塾のこだわりとも言える

この情報をシェア
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

安多 秀司 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

目次