【Vol.837(2024.10.16)】多店舗展開に向いていない(1教室特化型)塾長の特徴

先日、新大阪で塾経営者勉強会を開催しておりました。

今回は「利益」をテーマとして勉強会で、第1部では株式会社ZEST・林大輔代表による
「着実に『利益を上げる』塾経営の方法」のご講演、
第二部では「自塾の悩みをみんなで解決する」というテーマで、
参加者同士で意見交換していきました。

とても有意義な4時間でしたが、その中で出た話題の一つが
「広く教室展開していくか、1教室に絞るか」というテーマです。

結論としては「やりたいほうで」「自身が適性のあるほうで」という話になったのですが、
私自身は意図的に1教室主義で教室運営をしています。

言い換えれば、私は多店舗展開に向いていないから
1教室に特化せざるを得ないとも言えるわけです(笑)。

それをふまえ今回は、「教室展開に向いていない塾長の特徴」という
テーマでお届けしてみたいと思います!

まさに私がそうなのかもしれませんが、多店舗展開に向いていない人が、
そこに手を出してしまうと目も当てられなくなる可能性が高いです。

では、さっそくいってみましょう!

まず、多店舗展開するに当たっては、
そこに社員さん(教室長)を配置するという前提で話を進めます。

向いていない(1教室特化型)塾長のポイントは、このあたりでしょうか。

1.他人の行動にいちいちケチをつけ、良い部分を評価しない
2.自分が1番すごいと思っている
3.自分と同じ力量を他人にも求める
4.授業ばかりして、スタッフ育成や教室全体の管理を怠る
5.他人から意見やアドバイスを受けても、結局自分の考えを貫く

自分で書いていてなんですが、ここだけ読めばかなり性格悪いですね……。
自分でも耳が痛いです(苦笑)。

ただ、あながち間違ってないとも思います。

教室展開が向いていない人は、他人への配慮や気遣いより、
自分中心の傾向があると思います。

もし、多店舗展開をお考えの方がいらしたら、
上記に該当しないかぜひチェックしてみてください。

当てはまらないようであれば、教室展開してもうまくいく可能性が高いです!

それぞれ、もう少し詳しく解説していきます。

1.他人の行動にいちいちケチをつけ、良い部分を評価しない

塾長ですから、自身のやり方にこだわりがあると思います。

もちろんそれは今まで積み上げてこられた経験からくるものですから、
とても大切なことですし、自信やこだわりももつのも当然です。

ただ、それと他人(社員など)の行動が違うからと言って、ケチばかりつけるのは別問題です。
他者は独立した個人であり、決して自分の分身ではないのですから。

また、他人の良い部分は評価せずに、粗探ししてしまうのも良くありません。

減点主義的な人事考課では、社員さんも頑張ろうとは思えませんものね。
前向きになる環境ではありませんし、早から遅かれ辞めることになります。

多店舗展開をする場合は、社員さんに教室をお任せすることになるわけですから、
その社員さんがイキイキと働けるために何ができるかを考える必要があります。

2.自分が一番すごいと思っている

確かに多少の過信でも、自分こそナンバーワンだという自信を持つことは、
教室運営する上で大切だとは思います。

しかし、教室内において、すべて自分が1番と思うことは危険です。

例えば、大学生講師と指導力比べた場合、塾長のほうが圧倒的に高いでしょう。

ただ悲しいかな、生徒さんのウケがいいのはどちらかというと学生講師だったりします。
学生講師のほうが生徒さんと年齢が近く、話しやすいからです。

生徒さんからしたら、親と同年代のおじさんやおばさんに教えてもらうよりも、
話しやすい大学生に教えてもらうだけでテンションが大きく変わります。

この部分を上手に使えば、生徒さんのやる気を最大限に引き出し、
経験値不足を補って余りあるほどの効果に繋げることもできるはずです。

自分以外の講師や社員さんも十二分にすごい部分を持っていて、
自分には叶わないところがたくさんあるという謙虚な考えを持つことが大切です。

3.自分と同じ力量を他人にも求める

これも教室展開して失敗する塾長によくあるケースです。
「自分がこれだけできるんだから、周りもできるだろう」という発想です。

しかしそれは基本的に無理だと思ってください。

そもそも塾長と同じ仕事ができる力量を持っているのであれば、
あなたの教室では働きません。

自分で塾を開きます。

性格や仕事への価値観などもそうで、
「仕事とプライペートのバランスを充実させたい」という人も、
「夢を実現するために仕事をしている(仕事が1番ではない)」という人もいるのです。

個人塾の塾長は、独立をしたぐらいですから、仕事への熱量も行動力も違います。
それを他の人も求めるのは間違っているのです。

たまに「将来独立して塾をやりたいので、ビシバシお願いします」という方が出てくれば、
同じレベル感で接すればいいと思いますが、それは宝くじがあたるぐらいの少数派です。

やはり基本的に、自分と同レベルの仕事量を他人に求める時点で
教室展開はあまり向いていないと言えるでしょう。

4.授業ばかりして、スタッフ育成や教室全体の管理を怠る

私を含め、塾を経営している人のほとんどは、基本的に授業が大好きだと思います。
だからこそ、塾をやっていると言っても過言ではありません。

ただ、ワンオペの塾ならいざ知らず、学生講師を雇う個別指導塾にも関わらず、
塾長自らが授業ばかりして、スタッフ育成をおざなりにしているようでは難しいと言えます。

原則として「学生講師にもできる仕事を塾長がしてはいけない」と考えたほうが良いです。

授業するということは、目の前の生徒さんのことしか見えないわけでもありますから、
教室全体を見ることもできません。

こうした状況で、1教室しかないのにスタッフ育成や全体の管理ができないようであれば、
多店舗展開などできるはずがありません。

スタッフ育成や教室全体の管理ができていて、
かつ時間が余っていれば授業に入るのも良いと思いますが、
「塾経営者」としてやるべきことをないがしろにし、
自分の欲求に負けて授業を優先する塾長さんには多店舗展開は無理です。

5.他人から意見やアドバイスを受けても、結局自分の考えを貫く

言い換えると「人の話を全く聞かない人」です(笑)。

多店舗展開する場合、2教室目には社員さんを配属することになるので、
その社員さんの考えや意見も尊重する姿勢は欠かせません。

提案に対して「いいね、それやってみよう」と言えるかどうかです。

「そんなのダメだ。言われたとおりにしろ」や「それもいいけど、やっぱりこうしようか」だと
社員さんの教室責任者としてのモチベーションも上がりません。

「何を言っても塾長の考えは変わらない」と感じるはずですし、
「言っても無駄だ」とだんだん意見も言わなくなって、最終的には辞めることになります。

同時にそれは、教室の改善チャンスを失うという大きな機会損失でもあるのです。

したがって、他人の意見やアドバイスを参考にすることなく、
結局は自分の考えを貫き通すような人に多店舗展開は向いていません。

人の意見やアドバイスを真摯に受けとめる姿勢が必要です。

いかがでしたか?

私自身の自己否定を重ねているみたいで、なんとも複雑な気持ちです(笑)。

私自身、独立前の経験でそうした失敗を痛感しており、
教室展開に向かないことを嫌と言うほど理解できました。

私の未熟さでたくさんの部下が辞めましたし、会社にも迷惑をかけたと思います……

その反省をもとに、今でも1教室に特化した運営をおこなっている次第です。

ただ、1教室だけだと、複数教室運営に比べて経営の安定感に欠けることもあります。

そこで私は、多店舗展開するのではなく、
1教室の中で複数の事業の柱を持つ運営を行なっております。

「個別指導塾」、「通信制高校サポート校」、「フリースクール」の3本柱ですね。

私たちは完璧な人間ではないので、得意分野と苦手分野が存在します。

それをきっちり理解して運営を進めていくことが大切なのではないでしょうか。

みなさん自身が、「1教室特化型」なのか「教室展開型」なのか
考えるきっかけになれば幸いです。

【今回のまとめ】
・自分の特性を見極め、「1教室特化型」か「教室展開型」を知る
・自分の向き・不向きを見直すきっかけに

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安多 秀司 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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