【Vol.838(2024.10.18)】大学ランキングを通して、生徒さんに教えてあげたいこと

みなさんすっかりお馴染みかもしれませんが、
恒例の「世界大学ランキング」が発表されましたね。

<“世界大学ランキング” 東京大学は28位 京都大学は55位>
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241009/k10014605261000.html

記事の見出しにもあるように、このランキングが発表されると
毎回注目されるのが「日本の主要大学は何位だったか」という話題です。

もちろんそれはそれで良いとは思うのですが、
これを話題にして生徒さんと話をするなら、どんな着眼点で話すと良いでしょうか?

確かに、単に東大が何位だったとか、世界に比べると日本の大学はまだまだだとか、
ちょっとした雑談や話の掴み程度にそうした切り口になることが多いと思うのですが、
どうせならより生徒さんの糧になるような話をしてあげたいですよね。

そこで今回は「塾が大学ランキングを話題にするとき、生徒さんに伝えてあげたいこと」
というテーマで一緒に考えてみたいと思います。

そもそも、このいわゆる“世界大学ランキング”にもいろいろ種類があり、
評価基準なども異なることはご存じでしょうか?

リンク記事で紹介したのはそのうちの一つで、
イギリスの権威ある教育誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」が取りまとめたもので。
通称「THE 世界大学ランキング」と呼ばれます。

おそらく「世界大学ランキング」と聞いて、真っ先に取り上げられることが多いのが、
このランキングなのではないでしょうか。

その基準は「大学の教育環境(学士号の取得率や、学生と教員の比率など)」
「研究の量や引用数」などに重きが置かれています。

しかし他にもグローバルな知名度や国際性が重視される「QSランキング」や、
ノーベル賞や著名な研究者の排出数が重視される「ARWUランキング」、
研究成果が重視される「US Newsランキング」などがあるわけです。

当然、その結果としての順位にも違いがあります。

したがって、生徒さんに話すときにまず伝えてあげたいのが
「何をもって『いい大学』とするのかは様々な見方があり、一概に決められるものではない」
ということではないかと思います。

それは、国内の大学だけで比較するにおいても同じです。

塾という機関の特質上、ついMARCHだの関関同立だのという
難易度や偏差値基準のくくりで生徒さんに話してしまうことってあると思います。

しかし、みなさんもご存じのように
それぞれの大学は理念や教育環境もまったく異なる存在です。

本来は括って語るようなものではないのです。
(実際、大学側も嫌がっていますしね……)

もちろん、各大学の入試難易度を比較するために便宜上使うのはアリかと思うのですが、
志望校選びの方法として「MARCHのどこかに入りたい」といった考え方をするのは、
本当ならズレていると言えるわけです。

できるだけそうならないような進路サポートやアドバイスをしてあげたいところですよね。

そこでまず大事なのは、先述のように「ランキングの評価基準は異なる」と
教えてあげることではないでしょうか。

そしてその際、生徒さん「自分が重視するポイントが何か」を考えさせることが大切です。

例えば将来の就職を重視するならQSやTHEランキングが有用かもしれませんが、
研究活動を大事にしたいならARWUが参考になるかもしれません。

次に、大学のランキングは有益な情報源の一つですが、それだけに依存してしまうと、
重要な情報を見落としてしまう可能性があることを教えてあげてください。

例えば、ランキングが高い大学でも、自分が興味のある専攻に
力を入れていない場合もありますし、
逆にランキングが低めでも特定分野で世界的に評価されている大学もあります。

「どの大学が自分にとって最適か」という視点を持ち、オープンキャンパスに行ったり、
卒業生の声を聞いたり、もっと個別に情報を集めることの重要性を伝えてあげたいですね。

それと絡んで、「大学のランキングの数字だけに惑わされないこと」も強調してあげてください。

実際に通う大学での生活、キャンパスの環境、
学習内容や教授陣との相性も非常に重要です。

高いランキングに位置する大学が必ずしも生徒さんにとって最適な場所とは限らないため、
「ランキングは大学を理解するためのツールの一つに過ぎない」と言えます。

例えば、「THE」や「US News」のランキングでは研究成果が重視されるため、
学部レベルの教育が必ずしも高評価されているわけではないのです。

「研究を重視するのか、それとも学びの環境を重視するのか」を考えさせるのも良いでしょう。

そもそもこうした大学ランキングには、
特定の国や地域、学問分野に偏りがあることもあります。

例えば、アメリカやイギリスの大学が上位に多くランクインすることが多いですが、
それは、それらの国に有利になるように
ランキングの評価基準が設定されているからだという指摘は以前からありました。

生徒さんたちに「ランキングの背後にある構造」を理解させ、
必ずしも、「順位が1位=1番良い教育を提供している」ではないことを
説明してあげてください。

最終的には自分が何を学びたいか、どの環境で成長できるかが最も重要であり、
多面的な視点で大学選びができるようにしてあげたいですね。

【今回のまとめ】
・大学ランキングに惑わされすぎない進路選びを
・「自分が学びたい環境がそこにあるか」という視点を教えてあげて

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安多 秀司のアバター 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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