【Vol.1003(2026.05.01)】入れる努力より、生徒さんが辞めない努力を

タイトルそのままですが、塾経営はやはり
「(生徒さんを)入れる努力より、辞めない努力」が何よりも大切だと思うのです。

定期的に似たようなテーマでお届けしていますが、
塾経営の本質ということで久々に取り上げてみたいと思います。

QW休校期間中にゆっくりされている中で、ぼんやり考えてもらえると幸いです。

さて、この2〜4月に新年度生の入塾もあったと思いますが、
みなさんの教室ではいかがでしたでしょうか?

入塾者数は、ある種の水物(みずもの)的な部分もあるので、
「予想以上に良かった(悪かった)」などもあったことでしょう。

ただ、それ以上に気にしてもらいたいのは、
昨年度生徒さんがどれだけ辞めてしまったかということです。

生徒さんがたくさん辞めてしまっていては、新年度生の入塾が多くても、
退塾者分の補填をするだけで生徒数は増えません。

逆に、生徒さんが辞めていなければ(高3生は除く)、
入塾数が数名であっても、その数名分生徒数アップとなります。

・10名退塾、7名入塾=マイナス3名
・5名退塾、7名入塾=プラス2名
・1名退塾、4名入塾=プラス3名

といった具合で、退塾を抑えれば、
入会数を増やさなくても、トータル生徒数が最も増える構造なのです。

それにもかかわらず、つい塾経営者の発想は
「退塾がたくさん出た、そのぶん集めないと」というロジックになります。

こうなると、生徒さんが「集まる」という本来あるべき思想ではなく、
生徒さんを「集める」という使役的・誘導的な意識となり、
小手先のテクニックでいかに入塾「させる」かばかりを追うようになるでしょう。

袋にどれだけ水を注いでも、穴が開いていればいつまでたっても溜まらないのと同じで、
これも繰り返しお伝えしてきたことですが、「集客」という言葉は、
「お客さんを集める」ではなく「お客さんが集まる」と定義しておくべきです。

こちらの力不足で生徒さんが辞めてしまっているのであれば、
新規入塾者獲得に躍起になるよりも、まずはこの部分から改善していくのが
教室運営の本筋だと思います。

生徒さんが辞めるということは、あえて厳しく言うなら、
あなたの塾に問題があったということです。

「あなたの塾に通う意味がない」と言われているのだと自覚するべきなのです。

これってすごく深刻なことで、付き合ってみたけど
「あなたと続けていくのは無理」と言われているようなものなんですよね。

思っていたのと違った。
こんな人だとは思わなかった。
一緒にいても未来が見えない。
自分の貴重なお金や時間を、この人に使っていられない。

カップルが別れるのも、退塾するのも、本質は同じなのかもしれませんね。

恋人にフラれたときも、退塾が出たときも、そこで大切なのはその事実をどう捉えるかです。
この受け止め方で、今後が変わってきます。

もちろん、それを真正面から受け止めるのはつらいときもあるでしょうし、
「辞めるほうが悪い」と他責にしてしまうのは簡単です。

しかし、それでもそのつらさに向き合って、
「何が原因だったのだろう」「どうすれば退会しなかったのだろう」と、
自分たちのせいとして捉え、改善策を考え実行していくことが大切だと思います。

退塾には絶対に原因があるものです。

退塾の理由として、保護者さんから
「成績が上がらない」、「やる気がないから環境を変える」などを
告げられるケースも多いかと思いますが、
元をたどればほとんどの場合、コミュニケーション不足が原因だと考えています。

生徒さんや保護者さんとのコミュニケーションや信頼関係を築くことができていれば、
退塾を決断する前に私たちに相談が入るものです。

極論、成績が伸びなくても
「この子の成績が上がらないのは、先生方のせいではなくこの子の問題です」
といった言い方になります。

もちろん、こうした言葉に甘えて「そう、だから自分は悪くない」と開き直ってはいけませんし、
そういう問題を抱える子たちにこそ、塾が必要とされるのです。

成績を上げるのは塾の命題ですので、そこは頑張らないといけません。

つまり、保護者さんや生徒さんが「この先生を信じて、この塾で頑張ろう」という
関係性を作ることがすべてなのです。

生徒さんや保護者さんのニーズの多くは、成績アップすることだと思います。

しかし、普通に考えて、成績を上げ続けることは不可能でしょう。

学習は、中長期のスパンで見れば調子がよいときも悪いときもあるものですから、
いわゆるプラトー現象(伸び悩み)として、いくら頑張っても停滞する時期があります。

そのとき「ああ、この塾ではダメだ」と思われるか否かが、
それまでのコミュニケーションの質に対する回答だと思うべきでしょう。

多くの個別指導塾は、成績アップするだけで判断される存在ではないはずです。

一般的に個別指導塾は、勉強が苦手な生徒さんが多く通いますので、
二人三脚で伴走し、できることを増やしたり自信をつけたりと、
生徒さんの成長面のフォローなども行う役割を担っていますよね。

その認識をしっかり共有し、調子が悪いときや伸びが停滞しているときでも
「先生を信じて頑張ろう」という関係性を作ることが求められます。

もちろん、教室での生徒さんとの日頃のコミュニケーションもマストです。

生徒さんが来たのに、顔も上げずパソコン操作をして
挨拶すらしない塾長や教室長なんて論外ですよ!

そんな姿を学生講師も見ているので、同じような質にしかなりません。

塾長や教室長の責務として、まず以下の行動などは100%実践しましょう。

・生徒さんが通塾したら笑顔で挨拶する
・生徒さんと他愛のない会話をする
・生徒さんの表情を見て気になることがあったら、面談室に呼んで話を聞く
・気になった生徒さんがいたら保護者さんへすぐに連絡する
・定期的に保護者さんへLINEやメールで連絡する
・1:2の授業で、ぼーっとしている生徒さんがいればサポートに入る
・学生講師の質を上げる、質の高い講師を採用する
・学生講師に塾の理念を共有する
・年3回は保護者さんと面談を実施する

何も別な内容ではないと思いますが、
これをやるかやらないかだけで、塾の満足度は大きく変わるはずです。            

そういう積み重ねが、退塾を減らす(増やす)結果になると私は考えています。

もちろん、成績を上げることは必須ですから、テスト前の勉強会の実施も、
勉強面で気になる生徒さんがいれば自習の声掛けをするなども、
信用の積み重ねにつながるでしょう。

塾さんによって、さまざまな強みや特徴があると思います。

それを生かして「生徒さんが辞めないために、我が塾だからできることは何だろうか」と
自問自答してみてください。

GW期間中は、そうした内省や改善を深めるにももってこいです。

自分1人で考えるのではなく、スタッフにも
「退塾の出ない塾にしたい。力を貸してほしい」と打ち明け、
みんなと一緒に退塾のでない塾を作っていくのもよいですね。

ご存知の通り、少子化でどんどん子どもの数が減っています。

学校ですら選ばれ、淘汰される時代になっているこの時代、
きちんとコミュニケーションを取って信頼関係を築けている塾しか生き残れないと思います。

生き残るというより生き抜くといったほうがよいでしょうか。

そのためにはやっぱり「生徒さんが辞めない塾」、
「生徒さんが集まる塾」になる必要がありますね。

地域に必要とされ、きょうだいや紹介の問い合わせにとどまらず、
卒業生の子どもや孫まで通塾してもらえるような最強の個人塾を目指していきましょう。

私もがんばります!

【今回のまとめ】
・生徒さんが辞めなければ、生徒数は増える
・当たり前のことを当たり前にやり続ける

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安多 秀司のアバター 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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