【Vol.626(2022.09.30)】あのスタンフォード大学が、約70年ぶりに新学部

世界的名門大学、アメリカのスタンフォード大学に
新学部「グリーンテック」が創設されるそうです。

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豪雨や砂漠化、温暖化など地球期の環境問題となっている
気候変動対策に関する専門学部です。

ポイントは名前に「テック」(=テクノロジー)とついているところでしょうか。

エネルギー技術、食や水の安全、持続可能な都市の在り方などを研究し、
その解決を科学的に担う専門人材を育てると発表しています。

国際政治や政策からの切り口ではなく、
解決に向けた具体的技術や知識を育てるということです。

ところで、「グリーンテック」は通称であり、正式名称は
「スタンフォード・ドーア・スクール・オブ・サスティナビリティ―」。

Googleなどに投資してきたことでも知られるシリコンバレーの有名な投資家である
ジョン・ドーア氏が約1500億円もの巨額を寄付して設立されたことを受け、
学部名に彼の名前を冠しています。

それにしても、1500億円ってすごいですね!

よく言われる話ですが、一定規模以上の財を成した人は個人の蓄財に関心がなくなり、
いかにそれを社会のために還元できるか、世界への貢献を考えるようになります。

特に欧米では、相応の地位にある人はその地位に応じた社会的義務があるという
「ノブレス・オブリージュ」の文化が強いです。

要は「寄付をするのは金持ちの務め」ということですね。

注目したいのは、それだけの巨額がこの学問分野に寄付されたことです。

投資家たちは、何もお金が余っているから道楽で適当に寄付しているわけではないでしょう。

この分野が、今後の世界に必要だ(=これだけの額を寄付すべき価値がある)
と考えているからです。

実は、ビル・ゲイツやジェフ・ベゾスなども
気候変動対策分野への寄付に非常に熱心なのだそう。

報道によると、この分野から次世代を担う
巨大IT企業が生まれるのではないかと目されているそうです。

ここで大切なのは、この動きを
「遠い外国の、超エリートたちのための学問であり、自分(や自塾の生徒たち)には関係ない」
と思ってはいけないということです。

上述したように、気候変動対策分野が、これからの注目学問になる可能性があるからです。

また、スタンフォードが新学部を設置するのはおよそ70年ぶりであり、
そのことも注目を集めています。

これまでの傾向から見ても、往々にして新しい学問分野は、世界のトップ大学で新設され、
世界に広まっていく流れが一般的でした。

実際、現代の花形学部となりつつあるデータサイエンス系も、
スタンフォードやUCバークレー、ジョンズホプキンスなどでは
かなり前から力を入れて来た分野ですが、
ここにきて日本でも学部新設ラッシュが進んでいます。

そう考えると、おそらくこの気候変動対策系も、断言はできませんが、
今後日本にも入ってくるのではないかと思います。

当メルマガでも、「私たちは、学校の進路指導の先生より大学事情に詳しくなる必要がある」
と常々お伝えしておりますが、こうした動きをチェックしておくことも大事ではないでしょうか。

例えば、「理系だから理学部か工学部」とか「公務員になるなら法学部」といった
狭い視野で進路を選ぶ生徒さんはいまだ少なくなりません。

また、例えば「地域活性がやりたい」と思ったら
「地域○○」と名のついた学部でしか学べないと思いこんでしまっている生徒さんもいます。

しかし本当は、政策系や社会学系、公共系の学部でもいいはずです。

こうしたことを私たちがきちんと押さえておくことが大事だと思うのです。

今後、環境保護やSDGs的なことに関心がある生徒さんであれば、
「グリーンテックはどう?」と勧めてあげることができます。

工学系を目指す若者は、こちらに流れていくかもしれませんね。

推薦系入試が増え、入試形態も大きく変わりつつある大学ですが、
それだけでなく「何を学べるのか」についてもキャッチアップしていきましょう!

【今回のまとめ】
・グリーンテックがこれからの注目学問になるかも
・海外名門大の動きは、いずれ日本にも入ってくる

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安多 秀司 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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