【Vol.789(2024.04.26)】それって生徒さんのためになってますか?

先日、驚くようなニュースを目にしました。

滋賀県の中学校で、1度決まって公表も済んでいた新年度のクラス編成を、
急きょ取りやめてクラス編成をやり直すというものです。

<一度決まったクラスを再編成 混乱の新学期>
https://www.sankei.com/article/20240415-TM7WBDSKKBNDXKIMQNT7RLTYC4/

詳しくは上記リンクも見ていただければと思いますが、新しいクラスにおいて
「人間関係に問題がある生徒同士を同じクラスにしてしまったのだそう。

教員間の情報共有不足に問題があったのが原因ではないかと見られているようですが、
生徒と学校で、問題の重要度に対する認識の
温度差があった可能性があると見る専門家もいるようです。

保護者らなどからも相応のクレームが出ているようですが、まあそれはそうでしょう。

ただ、さらに注目したいには、過去にもほぼ前例がない対応だったということです。

この対応については賛否両論があるようですが、私は個人的に英断であったと思います。
先生方、すばらしいなと。

過去にも、学校をめぐるトラブルや不祥事はいくつも起こってきました。

そしてその際、世論の怒りを持って迎えられがちなのが、
一部の学校や教育委員会による隠ぺい体質、事なかれ主義です。

いじめがあった、なかった。
指導が適切だった、不適切だった。

そういうとき、学校側が見せる保身の姿勢に憤りを感じたことがある人も多いでしょう。

しかし今回の対応は、言い訳することなく自分たちの非を認めて
すぐさま具体的な対策を講じるものでした。

トラブル対応は初動が肝心と言いますが、そういう面でも素晴らしかったと思います。

クラス編成にミスが起こったことそのものや、
クラス替えをやり直すという対応が正しいか否かは別として、
こうした姿勢や動きは、私たち学習塾も見習うべきではないでしょうか。

しかも、クラス分けのやり直しなんて、作業としても非常に手間がかかるはずです。

「ここの事情を優先すれば、ここに問題が生じる」など続出でしょうし、
何度もやり直しをしながら、パズルのようにクラスのメンバーを構成していくのでしょう。

私たちが夏期講習期間の席決めをするのと同じような悩みで、
それをゼロからもう1度やれと言われたら、気を失いそうになりますよね(笑)。

人は弱い生き物ですから、何かトラブルや不祥事があった際に、
一瞬でも「何とかごまかせないか」という気持ちが働いてしまうものです。

問題の火種になりそうな要素を事前に見つけても、面倒くさい気持ちが勝ってしまって、
「まあ大丈夫だろう」と判断してしまうこともあると思います。

しかし、やはりそれは越えてはならない一線だと思うのです。

生徒さんや保護者さんからクレームがあったとき、
それが本当に自塾の責任に帰することなら、絶対にごまかしてはいけないし、
適当な対応で逃げようとしてはいけません。

そもそも私たちは、普段から生徒さんに「約束を守ろう」とか「正直さが大切」とか、
人としての道を説いているわけですから、自分ができてなくてどうするんだという話です。

ミスを犯さないことはもちろん大切ですが、
ミスを犯したときにどう対応するか(どういう姿勢を見せるか)は、
もしかしたらそれ以上に大事なことなのかもしれません。

それともう一つ、今回の対応で私が感銘を受けたのが、
「子どもたちの利益」を最優先した判断だったことです。

先述したように、クラス替えは骨が折れる作業ですし、
ましてやミスを公表すれば厳しい批判にも晒されることは分かっていたはずです。

それでもこのような判断をしたのは、それが生徒にとって何が大切なのかという
本質を見失わなかったからにほかならず、
教育者としての精神も素晴らしかったなと思います。

私たちも塾を運営していると、ついこの視点が抜け落ちて、
売上優先や合理性だけで判断しようとしてしまうことがあるかもしれません。

しかし、やはり常に「それは生徒さんの利益になっているか」に立ち返りながら
本質的な判断ができるようにしておきたいところ。

結局はそれが内部充実の向上につながり、自塾にも利益をもたらすはずなのですから。

根本の発想が濁らないように、気を引き締めていきたいですね!

【今回のまとめ】
・ミスやトラブルを素直に認め、すぐに対策を取ることが大事
・その判断や行動は、生徒さんの利益になっているか考えよう

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安多 秀司 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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