【Vol.593(2022.06.08)】学習塾も「人検索」の時代

以前、オンライン講演会でお話しいただいた
キングコング西野亮廣さんのブログがあります。

【企業間の取引も『人検索』の時代へ】
https://chimney.town/3154/

まとめると、昔のあらゆるサービスは、
商品のクオリティーや値段に大きな差があったからので「機能」で検索していたが、
今は昔ほど商品のクオリティーに差がなくなってきて、
「誰から買うか?」という『人検索』が始まっているという内容です。

この内容、とても共感できるとともに、
学習塾も「人検索」の時代にすでに入っているのではと感じています。

例えば、紹介からの入会です。

元生徒・保護者さんなどから話を聞いた方が
「ここの塾がすごくいいと聞いて」とか
「安多先生という塾長先生に任せておいたらいいよ、と聞いたので」
とご相談(入塾面談)に来られることも多いです。

こういうケースも、本質的には「人検索」と同じだと思います。

正直なところ、生徒さんや保護者さんが1:2の個別指導塾を選ぼうと思って、
各塾のチラシやホームページを見ても、
どんぐりの背比べだったしります(もちろん工夫次第で差別化は図れます)。

システムやコンテンツの情報だけでは、違いが分かるようで分からないのです。

じゃあどうやって決めるかと言えば、
知り合いからの紹介やネットでの口コミはもちろん、
広告媒体に記載されている塾長や教室長、働いているスタッフの様子も、
要素になってくるのではないでしょうか。

したがって、ホームページやチラシには、
塾長や教室長、講師スタッフのプロフィールや自己紹介、
想いなどを記載した内容があればすごくいいと思います。

まったく情報のない塾でも
「教室長の雰囲気が良さそうだから、一度問い合わせてみよう」
「この先生の想いにすごく共感できるから一度会って面談してもらいたい」
という流れになりやすいはずです。

塾で勉強するのは子どもですが、お金を出すのは保護者さんなわけで、
「どうせお金を出すのなら、安心して我が子を任せられそうな先生がいる塾へ」
と考えること(=人検索)は極めて自然は発想ではないでしょうか。

また、きょうだい入会も同様で、
「兄(姉)がすごく良くしてもらってので(入会したい)」というのも
人検索だと言えるでしょう。

ただ、紹介のケースもきょうだい入会のケースも、
生徒さん本人の同意がない状態で、
保護者さんからの一方的な入塾希望となっている場合もあります。

ともだちやきょうだいがが自塾と相性が良くても、他の子も同じとは限りませんし、
そもそも塾に通いたいと思っていないかもしれません。

このあたりは、本人の同意確認は必ず必要ですね。

学習塾も少子化の影響を受けていて、
多くの塾さんで生徒数の確保に必死になっていると思います。

営利組織ですから、売上確保や利益確保は当然のミッションです。

生徒数確保のために「夏期講習無料」「2ヶ月間無料」といった
無料キャンペーン合戦が繰り広げられたりと、色々と大変な時代です。

資金力の豊富な大手塾さんなら、
無料キャンペーンの連続に耐えられる体力を持っているでしょうが、
個人塾が同じ土俵に乗っては絶対にいけません(そもそも乗れません)。

個人塾は個人塾のやり方がありますので、
周りの塾さんのキャンペーンに流されずにしていきましょう。

それが、やはり「人検索」だと思うのです。

塾選びを料金という絶対的な指標で行うのであれば、
大手さんだろうと中小だろうと、そこに差はありません。

そうなると、どうせなら安いほう、どうせなら有名なほう、
という顧客心理が働くのは当然でしょう。

だからこそ「人」で勝負をかけたいところです。

いつもお伝えしていることですが、個人塾の場合、社員の異動がありません。

私たちが常にずっと同じ場所にいるわけで、これほどの強みはありませんよ!

ですから「何かあったら○○先生に相談しよう」と思ってもらえるように、
普段から内部充実を高めておく必要もありますし、
私たち自身を成長させておく必要があります。

もちろん個人塾だけの話ではなく、多店舗展開している塾さんでも、
社員さんが3〜5年ぐらい同じ教室で働くこともあるでしょう。

かなり珍しいケースですが、上記のような個人塾的効果を狙って、
意図的にほとんど人事異動を行わない大手さんもあります。

また、もし異動で教室長が変わっていたとしても、
「前任の◯◯先生には大変お世話になったので、今回も下の子をお願いします」
といったケースもあります。

こうなると、かなり強いですよね。

人(個人)の評価を、会社組織としてのブランドにまで高めているわけですから。

このように、塾が提供するコンテンツに大差がなくなればなくなるほど、
そこで働いている人で判断される「人検索」に寄っていくはずです。

もちろん「塾長はいい人だけど、成績が上がらない」というのでは
意味がありません。

あくまで、塾としてのミッションを果たすことは大前提で、
その上に「人検索」が乗っかってくるということですね。

そのために大切なことは「自分磨き」です。

向上心を持っていきいきと働くことで、魅力的な人間になっていきますし、
そういった姿勢・行動が、保護者さんや生徒さんのファンを増やすことになります。

今に満足することなく、驕ることなく、共に成長していきたいですね。

個人塾であれ、大手塾であれ、立場は違えど、
目の前にいる生徒さんに全力を尽くしておくことが、
数年後の「人検索」になって返ってくるはずです。

大切なのは結局、いつも言っている内部充実になります。

王道なくして、塾の発展はありません!

【今回のまとめ】
・塾も「人」で決まる時代に

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安多 秀司 安多 秀司 株式会社リアル・パートナーズ代表

大学卒業後、京都・滋賀・大阪・兵庫等に教室を持つ「成基の個別教育ゴールフリー」に入社。
最年少教室長として、川西教室(兵庫県)で3年間務める。その後、「スタンダード家庭教師サービス」を運営する株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに尽力し、事業責任者として30数教室の 新規展開を行う。
その後独立し、平成20年7月「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヶ月で35名の入会があり、わずか1ヶ月で損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域No.1の個別指導塾を運営している。
今でも現場主義を貫き、常に通塾中の顧客に対して満足度を高める工夫を実践している。

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